神槍
身長は140ほどの女の子。地面につきそうなほど長い金色の髪。微かな風でもサラサラと揺れる髪にマリアさんもミルさんも見惚れている。
「よう参った、魔王殿。我が名はクリエル・ディスパーニャじゃ」
そう言い玉座に座るクリエル女王。見た目は子供なのだが、誰もが見惚れるほどの美しさ。傷どころかシミひとつ無いとても綺麗な肌。まるで作り物みたいな綺麗な顔立ち。この顔で微笑まれたら落ちない男はいないだろうというほどだ。
「それでお主たちが参った要件を聞こうか。なにようで参ったのじゃ? まさか挨拶だけではなかろうのう?」
顔は笑っているが、目は真剣だ。足を組んで上段から見下ろしてくる女王を見ると、普通の人間だと萎縮してしまうだろう。
「はい。私たちはクリエル女王にお願いがあり参りました」
僕がそう言うと、周りの重鎮たちが殺気を放つ。少し話しただけで過敏すぎるでしょ。
「ほう、妾にお願いとは何じゃ?」
そんなことも御構い無しと、クリエル女王は話しかけてくる。顔はニヤニヤとして僕を見てくる。しかし、重鎮たちはそんな顔でも見惚れている。
「はい。ゼルテア帝国との戦争を停戦してもらいたいのです」
僕がそう言った瞬間、空間全てが殺気に包まれる。この殺気は。
「小僧! こちらが黙っていれば好き勝手言い寄って! クリエル様! このような無礼な者は即刻追い出すべきです!」
「そうですぞ、クリエル様! 何なら私がやりましょう!」
龍人族の男や、ドワーフの男がそう言うと、他の重鎮たちも騒ぎ出す。そんなに殺気立たなくても。そう思った瞬間、桁外れの殺気が全員に降り注ぐ。さっきまでのがまるでお遊びだったように。
一般の兵士などは気を失い、重鎮たちは膝を付くものや、顔を真っ青にする者もいる。マリアさんもミルさんも立っているがしんどそうだし。エステルさんは耐え切れず気を失ってしまった。
「騒がしいぞお主ら。今は妾と魔王殿が話しておるのじゃ。黙っておれ」
クリエル女王がそう言うと殺気が収まる。
「くっくっく。あれほどの殺気を当たっておったのに顔色ひとつ変えんか。面白いのお主は」
そう言い笑い出すクリエル女王。少しは気に入られたかな?
「それでなぜお主はゼルテアとの停戦を求める? お主に何の得があるのじゃ?」
「私はディスパーニャとゼルテアの国境にある伯爵領を手中に収めました。私はその伯爵領を足がかりにゼルテア帝国を掌握しようと考えています。そのため私が不在の間に、攻められては困るのでお話しに参りました」
僕がそう話すと、クリエル女王はまた、面白そうに僕を見てくる。
「話はわかった。だが、そう簡単にわかりましたとは言えんのが現状だ。奴らは新しい魔道具とやらで、我が軍の民を沢山殺したそうでは無いか。その復讐に燃える兵士たちもいるだろう。それを無理に止めることなど妾にはできん」
そう言い、悲しそうな雰囲気を出して首を振る。周りの重鎮たちも悲しそうにするクリエル女王に、いろいろな言葉をかけていく。
「なら、殺してもいいんだね?」
僕がそう言うと重鎮たちが一斉に僕を見てくる。すでにナイフを取り出している者までいる。……ここは武器の持ち込みは禁止だったはずだけど?
「どういうことじゃ?」
そんな事は気にしないとばかりに僕に話しかけてくる。ナイフが持ち込まれていることすら触れない。
「僕の領地に攻めてくるんだ。逆に殺されても文句は無いはずだ」
僕の領地に攻めてきた敵をわざわざ生かしておく必要も無い。皆殺しにされても文句は言えないはずだ。そういう思いでクリエル女王を見ると、
「カッカッカ。先ほどから面白いことばかり言うのうお主は。余りにも可笑しすぎて、お腹が痛いわ」
そんなに笑う要素は無いと思うんだけど。しかし次の瞬間
「そこまで大口を叩くのじゃ。ならそれ相応の事を成し遂げるための力はお主にはあるのか?」
と、真剣な声で聞いてくる。僕の返事は決まっている。
「もちろんだ」
僕とクリエル女王の視線が交わる。先ほどまで可笑しいと笑っていたクリエル女王の視線ではなく、この国の頂点として威厳のある視線が。
「なら、見せてもらおうか。来い」
クリエル女王が右手を前に出した瞬間、地面に波紋が揺れる。そしてその中心から槍が飛び出してきた。あれは
「いくぞ」
次の瞬間、僕は直様レーヴァテインを抜き、防御する。しかし、余りの力に吹き飛ばされる。ちっ! 何て力だ。あの細身の体のどこにこんな力が。俺は体勢を立て直して元いた場所を見ると、そこには
「簡単にはやられてくれるなよ。小童」
先ほどとは違う獰猛な笑みを浮かべるクリエル女王が立っており、右手には、蒼色に輝く三又の槍が握られていた。
これからも不定期になりますが、頑張って更新したいと思います。(最低でも1週間に一回は)
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