天色の髪をした女性
チュン、チュン。チュン、チュン。
朝の鳥の囀り声が聞こえてくる。
今日も良い天気なのかな〜と寝ぼけた頭で考えていると
チュン、チュ「グゥガアアアアア!」バサバサバサ!
突然竜の咆哮が鳴り響いた。
「な、何なんだいったい? ってうおっ!」
竜の咆哮に驚いた僕はベットから起き上がろうとしたら、なぜか起き上がることが出来ずにベットから落ちてしまった。
「痛つつ……何で縛られてるんだ、僕?」
動かない手足を見てみるとこれでもか! というほど縄で縛られていた。
もしかして誘拐された!? とか考えていたら後ろから
「やっと起きたわね、変態」
と、身震いがする程の女性の冷たい声が響いた。
声のした方を何とか向いてみると、昨日見た水色に近い青、確かこの色のことを天色って言うだっけ? まあ、そんな色をした長髪でよく見たら目も青色の綺麗な女性がこちらを睨んでいた。
「え〜〜っと、確か昨日下着で立っていたじょ……ぐふっ!」
昨日の事を話そうとしたら、思いっきり蹴られた……
「昨日の事は忘れなさい! 今度その話をしたら殴るわよ!」
もう殴っているじゃないか……いや、これは蹴っているのか。とそんなどうでも良いことを考えていたら、女性が
「まあ、昨日あなたが気絶した後にローナが入ってきて事情を説明してくれたからもう怒ってないけど。でも昨日の事は忘れて!」
「それはわかったけど、何でこんなにグルグル巻きになってるの?」
「あなた、女性の部屋に初対面の男をそのまま入れると思う? 本当は廊下に放り出したまま寝ようとしたけど、ローナに言われたから仕方がなく私の部屋に入れたんじゃない。その格好で済んだのを感謝してよね」
それもそうか。
「わかったよ、ありがとう。えっと、そういえば自己紹介がまだだったね。僕の名前はエル。昨日この魔国ベルヘイムにやって来たんだ。よろしく!」
握手のために手を出そうとしたら手が出せなかった。そういえば、縛られていたんだった。さっきの今で忘れてた。
「あと、これも解いてくれたら嬉しいな?」
「そうね、あまり害も無さそうだし良いでしょう。私の名前はマリンティア・クラシウス。親しい人は私の事をマリアって呼ぶわ。あなたはダメよ。下着を見た罰よ」
自分から下着の話をしてるじゃないか。忘れようにも忘れられないぞ。……ん? なんか聞き覚えのある名前があったが。
「えっと、マリンティアさん。もし聞き間違えでなければクラシウスって言いませんでした?」
「言ったわよ。私の家名だもん」
「じゃあ、父親はもしかして……」
「あなたも昨日あったんでしょ? 珍しいわよお父様が、ローナやワンさん以外に会ったりするの。昨日は城中大騒ぎ。一体誰が来たんだ! ってね」
そう言いながらクスクス笑うマリンティアさん。うん、笑顔はとても綺麗だ。ついつい見惚れてしまう。すると見ているのに気が付いたのか
「何よ? 顔になんか付いてる?」と怪訝な顔をして聞いてくる。
「いや、ただ笑顔が綺麗だなって思っただけ」と正直に答えたら
「そ、そう」と素っ気ない感じで返された。やっぱり言われ慣れてるのかな?
「まあ、良いわ。この後お父様に会いに行くんでしょ?朝は食堂にいるから一緒に行きましょ」
そう言いながらやっと縄を切ってくれた。魔法で……もう数ミリずれていたら体に縦線がいくところだった……
「う、うん、わかった。昨日の話の続きを聞かないといけないし。あっ、そういえばさっきの竜の声って?」
「ああ、あれはワンさんがここに来た時は毎朝するのよ。何でも1日の初めに気合をいれるためなんだって。私たちは慣れたんだけど、あなたみたいに新しく来た人や子供たちはビックリしちゃうから文句は言うんだけど「これが俺の日課だ!」とか言って止めてくれないのよね。だからみんなもう諦めているの」
2人で話しながら歩いていると、たまに侍女とすれ違うようになった。やっぱり色々な種族の女性がいる。でも一様に僕たちを見ては何故か驚いた顔をしてコソコソと話している。何でだろ?
「みんなどうしたのかな?」そうマリンティアさんに聞いてみると
「それはあなたが私の部屋に勝手に入って覗いたことをみんな知っているからよ」
「な、何だって! それはローナさんが入っても良いって言ったから「嘘よ」……」
何て嘘をつくんだ! 僕は驚いて口をパクパクさせたまま固まってしまった。そうしていたらマリンティアさんにまた笑われた。完全に遊ばれている……
「ふふふ! ゴメンなさいね。そんなに驚くとは思わなくて。本当の理由は私が朝に男と一緒に歩いているのが珍しいからよ」
「なるほど。まあ、ぼくもマリンティアさんもヘルガーさんとローナさんに嵌められただけだけど」
そう言って苦笑いしてると
「へえ〜、あなたお父様のことそんな風に呼ぶんだ。そんな親しい感じで話すの、幹部や知り合い含めてもワンさんぐらいしか居ないわよ」
そう言いながら先ほどのような感じではなく、本当に嬉しそうに笑っている。
「ま、まあ何ていうか、初めは会った瞬間威圧されて、僕について色々ダメだしされてイラっとする事もあったけど、なんか初めて会ったようにはどうしても思えなくて。いきなり馴れ馴れしいかな?」
「良いんじゃないかしら。お父様がどう思っているかは知らないけど、私は良いと思うわ。お父様の知り合いも今は、竜種やエルフを除いた他はほとんど居なくなったみたいだから、寂しいみたいだし」
そういえば昨日、もう生きる意味もないみたいな事を言っていたな。マリンティアさんは知っているのだろうか?
そう、マリンティアさんと話しながら歩いているとようやく食堂にたどり着いた。
そして食堂に入ると、中にはニヤニヤしたヘルガーさんとローナさん。呆れた顔をしているワンディールさん。あとは知らない人が数人ほど座っていた。
「よう! 昨日はお楽しみだったな!」
「ふざけないでよ、お父様! 私の下着姿見られたのよ!」
「はっはっは! 良いじゃないか!」
「何が良いのよ!」
怒っているマリンティアさんにヘルガーさんはとんでもない爆弾をぶち込んできた。
「お前の旦那になるんだからいくら見られても良いだろ!」
「「……はぁっ!?」」
僕とマリンティアさんは驚きに固まってしまい、ローナさんはニヤニヤ、ワンディールさんは苦笑い。他の人は何人か怒ってるし、そのなかでヘルガーさんは物凄く嬉しそう……
こうして2日目が始まってしまった……
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