17/25
3万円
塾が終わり、だれもいない教室をてんが掃除していると
そこへまきおがやってきた
「よう!青年!」
と、てんが威勢良く言った
「あ・・・そうじのお姉さん」
「聞いたよぅ、パティシエなるんだって、もうびっくりだよー」
「・・・・知ってたくせに・・・」
「え?なんで・・」
「だってここでケーキの本読んでるの見てたでしょう?」
「あ!・・ばれてたか・・さすがだねっ、まきおは・」
「これ・・渡しといてくれますか?」
と言ってまきおが封筒をてんに手渡す
「最後の月謝です」
「あ・・・月謝?」
とてんがちょっと困ったように言った
「塾やめるんだけど、もう今月入っちゃたから払わないと、もうみんな
帰ってるみたいだから、渡しといてください」
「あ・・うん、いいよ、OK」
「じゃあ、失礼します」
と言って帰ろうとするまきおにてんが言った
「がんばれよ! 作品第1号ができたらもってこい!食ってやるから!」
「・・・最初のケーキはお母さんとお姉ちゃんに食べてもらうから、2番目でいいですか?」
「やっぱ、まきおだねぇ、OK!2号でも3号でも失敗作でも待ってるからー!」
そしてまきおが教室を出て行った
一人になったてん
封筒をそっと開けてみる
「・・・3万円か・・・」
そして小さくつぶやいた
「たしかに・・・預かりました。」




