アルカ村
なんとか書き上がりました。
10話です。
10話 - アルカ村
馬車に揺られることだいたい3時間くらいかな。
商人のおっちゃんとさっき買った串焼きとかパンを食べながら世間話をしてたらあっという間にアルカ村に到着。
意外と近かった。
商人のおっちゃんとは村の入り口で別れた。
これから商店に品物を卸しに行くそうだ。
村とはいえ想像してた「村」とは規模が違った。
こうなんていうか。。。
10件くらいの家があって、真ん中が広場になっていて。
井戸の周りでは奥さん達が食材洗ったりしてる。っての「村」じゃないのかよ!
家はそうだな。ざっと見で100軒ほどある。
きちんと区画整理もされているようで通りの見栄えもいいな。
大通りに面していくつかの商店があって、夕飯の買い物をしている奥さん達がいる。
さっきのおっちゃんもそのうちの一つの店の前にいるな。
さっき通ってくる時に見たけど村の周りに畑とか果樹園とかができてる感じ。
街まではいかなくても町くらいの規模だよなぁ、どう見ても。
ま、いっか。
もう今日は日が落ちかけてきてるから討伐は明日かな。
とりあえず村長だったよな。
通りを歩いている人に聞いてみっか。
「すみません、村長の家はどこになるのでしょうか?」
「この通りをまっすぐ行ったところの突き当たりの家だよ。かっこいいお兄さん」
「ありがとうございます。お美しいお姉さん」
うん。お世辞にはお世辞でね。
さて、と。あの家か。
ちっこいな、おい。
平屋一戸建てかよ。
権力欲に取り付かれたアホ貴族の真似してないだけ好印象か?
「すみません、ギルドから依頼を受けて来たものですが村長はご在宅でしょうか」
扉越しに声をかけると「はいー」と間延びした声で女性の返事が返ってきた。
あれ?女性?奥さんかな?
「はいはいー。おまたせしましたー」
「初めまして。アルファミラ冒険者ギルドから参りました神威と申します。」
「カムイさんねー。私は村長のレンドの妻でジーナよー。村長は今、中で書類仕事をしてるわー。中へどうぞー」
おう。やっぱり奥さんか。
ずいぶん間延びするしゃべり方だが見た目通りなんだろうな。
身長は低め、ムチムチとぽっちゃりの間くらいの体型で胸も尻もでかい。
ちょっとたれ目で茶髪長髪だけど緩くウェーブがかかっている。
やべぇ、すっげぇ好みだ。
っと、先に行っちゃったな。追いかけないと。
「あんたー。お客さんですよー」
「おう、今行く。居間で待っててもらってくれ」
村長。。。めっちゃ早口だな。
のんびり奥さんと早口村長。いや、これで釣り合いとれてるのか?
なんて考えてたら村長が部屋から出てきた。
ビシっとしたスーツを着た白髪めがねのナイスミドルのおじさま。
身長も高くスラッとした体型。やばいかっこいい。
年とったらこうなりたいもんだ。
「カムイさんでしたな。私が村長のレンドです。ギルドの依頼の件でいらっしゃったとか。」
おや、急に普通のしゃべり口調になったな。
来客用と普段のとは使い分けてるんだろうか。
まぁあの早口じゃ聞き取れない人もいるだろうしなぁ。
「はい。ヒュージボアの件です。詳しい話を聞かせていただこうと思いまして」
「依頼受注証を確認させていただきます。。。はい。問題ありません。では。町の周りにある畑はご覧になりましたか?」
「はい」
「そこにここ2週間くらい前から掘り返されている後が見つかり、周りには蹄後などが見られたことから野生の動物が入り込んでいることがわかりました。」
「ふむ」
「掘り返されているのが結構な範囲で、一回に畑1枚分くらいは掘り返されています。それも三日に一回だったのが二日に一回になり、今は毎日になっています」
「毎日ですか。。。で、それがヒュージボアだった。と。来る時間などはわかっているのですか?」
「畑の持ち主がでかい姿を見た。ということなのでほぼ確定だと思います。時間は夜更けから朝方の間。とまでしか。宿で休んでていただいて見つけ次第お呼びするといった形ではいかがでしょうか」
「いや、その間に逃げてしまう可能性もあるので今晩にでも畑で待機しています。」
「ありがたいことです!一度掘り返された畑には来ないみたいなので次にくるであろう畑も目星はついています。夜更けまで時間もありますのでそれまで宿でお休みください。夜更けあたりに宿へお迎えにあがります。」
「それは助かりますね。無事問題解決できるよう尽力いたします。」
「お願いいたします。宿はこの村に一件しかありませんのでそちらへお願いします。レンドからの依頼で。と言っていただければ手配されていますのでそちらで。」
「わかりました。ではこれで。」
よし、これで村長との会話も終わった。
宿に行って飯食って少し寝よう。
「すみません、宿はこちらであっていますか?」
「はい、こちらです。ってあれ、さっきのかっこいいお兄さんじゃないか。」
「あれ、さっきの綺麗なおねえさんじゃないですか。これは熱い展開」
「やだねー、美しいとか綺麗とか!照れちゃうじゃないの!」
「いえいえ、事実ですし。レンドさんからの依頼の件で。といえばわかると聞いたのですが」
「おや、ギルド依頼のやつかい?お兄さんが受けたのかい?」
「あーまぁ、はい。たしかご飯は別料金でしたよね。一人分お願いします。」
「あいよ!夜出るなら夕飯はしっかり食べてもらわなきゃね!できたら呼びに行くから部屋いっといてくれ。3階の一番手前の部屋だよ」
「了解しました。」
3階か。階段つれぇ。
お、ベッドやわらかいな。こういうのだと普通はもっと堅いベッドとかってのが相場なんだがこの世界はちょいちょい『普通』とは違う気がする。
少し横になるか。。。
********
「おにーさん、おにーさん。ご飯できましたよ」
ん?ん。。。
あぁ寝てたのか。
「今起きますよ。。。っと」
扉の前からおねーさんが他の部屋へ行ったのを確認して、着ている服を直し、一階にあった食堂へ移動する。
そこにはすでに食事が用意してあった。
ビュッフェ的な食事だ。
パンとサラダを適当にとり、ハムのステーキみたいなものと肉団子が浮いているスープをがっつり皿に取る。
はじっこの方のテーブルを陣取り食べ始めた。
「このハムステーキうまいな。スープもコンソメ出汁っぽくてステーキに合ってる。いや、これはパンが進むな」
10分もしないで食べきってしまった。
おかわりしていいのだろうか。
もう結構人いるしやめとくか。
「おにーさん、もう食べ終わったの?味はどうだった?」
「美味しかったですよ。それこそ止まらないくらい。一気に食べ切っちゃってどうしようか迷ってました」
「残ってたらおかわりしてもいいんだけどね。今日のお客さん的に残らないとおもうよ。追加注文もできるけどそっちは別で実費でね」
「じゃあこのパスタっぽいのとパンを1人前ください」
「はーい。後で持ってきますね」
今度はパスタ。どんだけ美味か楽しみだ。
しかしなんだろう。食っても食っても腹が一杯にならない。
外もいい感じで暗くなってきている。
あと数時間もしないうちにボアとの対決か。
ボアってことは豚だよなぁ。
あれか。瞬に持っていってやれば定食屋の依頼で使えそうか?
よし、持って帰ってやろう。
ん?外がうるさくなってきたな。
「出た!ヒュージボアだ!!!!」
まだ料理来てないのに。。。
次の投稿は来週の火曜日予定です。




