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この記憶の片隅に  作者: さんしあ
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20/22

2-16

そこには、男性の死体が横たわっていた。


「う、うわあああああ!!」


僕は大きな悲鳴を上げた。


死体は若い男性のようで、頭部に大きな傷があった。一見しただけでも、何らかの強い衝

撃によって命を失ったことが推測できた。


「この人… !」


結城が震えながら言った。


「確か最初に集められた時、いたような… 」

「待ってください!」


結城が大声を出した。それは、自分の恐怖を搔き消しているのだとわかった。


「とにかく、まずブレーカーを上げましょう。話はそれからです」


結城が迅速に判断する。その声は震えていた。

僕は結城の判断に従い、ブレーカーを探す。

以外にも、それらしいものが死体のそばの壁に設置されていることに気が付いた。


「電気… 点けるぞ… 」


結城はうなずいた。


「分かった」


僕は慎重にブレーカーのスイッチを上げると、建物全体が一気に明るく照らされた。

しかし、その光の中で、死体の痛々しい姿がさらに鮮明になってしまった。

電気室の床に横たわる死体は、間接照明によるわずかな光の中で異様な存在感を放ってい

た。床の冷たいコンクリート上には男性が後ろを向いて横たわっており、そのまま彼が後

ろから何かに襲われたかのように見えた。


「うぷっ… 」


僕は咄嗟に口元を抑える。空腹で良かった。もし胃に何か入っていたら、全てが逆流して

いたに違いない。

シャツの背中側には大きな切り裂かれた傷があり、その傷口からはじわりと血が流れて床

を濡らしていた。血の匂いが鼻を突き、その鉄臭さが空気を支配していた。

彼の顔は部分的に見えるものの、表情は見るも無残で、痛みと後悔で歪んでいた。

あやさんは涙を浮かべて言った。


「ひどい… 」


結城はしっかりとあやさんを支え、深呼吸をした。


「… はぁ… はぁ… 」


結城も動揺を隠せないでいた。あやさんを支えるので精いっぱいのように見える。


「一体… 誰がこんなことを… 」


頭に血が回っていない。僕も今にも倒れこんでしまいそうだった。

ただ、ハッキリとわかったことが一つだけある。


これはどっきりじゃない。本当に、殺人ゲームなんだ。


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