20/129
死についての思索(20)
2023年2月19日
死は単なる現象ではない。
現象としての死はあまりにも平凡であり、陳腐である。
また死は単なる事実でもない。
事実としての死の宣告はほとんど何事も語っていないに等しい。
死は何事かの解答ではなく、問いの始まりである。そこから新たなる透察が始まるのである。
在るものと在らぬものの立体的な把握が始まるのである。
それは真に主体に迫るということであり、超個人に変貌するということである。
ある正しい死は、そのようにしてある別の正しい死の可能態へとうつる。
故に、死の正統は、今もまた継承されているのである。
そういう人間は、げんに存在している。
死の正統を、死の現在としてまっとうにあらしめること、が求められている。
それは、死が近い、への遡りである。




