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てんせいしますた

 ――気が付いたら、ふわふわとした感覚に包まれていた。


 死後のセカイって、こんな感じなんかー。

 ってか、あれか、やっぱ死ぬ直前に神様が気を利かせてくれて、激レア当ててくれたんかね?

 いろいろ心残りがないではなかったが、ハッピーな気分で死ねた、というのはまあそれほど悪いものではなかった。

 それに隕石が俺の部屋直撃したんなら、ハードディスクの中身を処分する手間も省けたしなー。

 どうせなら、最高級の激レア「女神のぱんつ」が出てくれりゃ文句はなかったんだけどな。

 アレ、公式の資料集にも載ってなくて、存在そのものがデマじゃないかって言われてるくらいレアなんだよな。

 名前と下半身の一部にモザイクがかかった状態の画像がネットで出回っていて、正式な名称は不明。名前と下半身にモザイクかかってるので、どんなぱんつかも不明。ただ、天使のような、あるいは女神のような美少女のイラストから「女神のぱんつ」と呼ばれている。

 公式のツイッターに「これ存在するんですか?」って写真貼ったやつに「ふむー。そうですなー」とあいまいな返答があって、明確に存在は否定されていない派とデマに決まってるんだろ派でネットでは熾烈な争いが行われていた。

 もし、実際に引き当てていたら。噂の真偽が確かめられたのになー。

 今となっては確かめる手段もない。

 しかし。

 いつまでふわふわしてんだ。

 ってゆーか、なんか比喩表現でなくて物理的に俺浮いてね?

 ってゆーか、風に飛ばされてね?

 おうふ、俺どうなってるんだ?

 自分に意識を向ける、と。


  名前:なし

  クラス:ただの布きれ Lv1

  所有者:なし


 ……なんか変なのが頭に浮かんだぞ? ステータスっぽい?

 って布きれ?

 俺、布になってるのか?

 はい、布でした。

 白い布でした。白ブリーフちゃんおもいだすね!

 あれか、まさか一反木綿とかいうやつか。

 ふんす、と全身に力を入れてみるがぴくりともしない。

 どうやら妖怪・一反木綿というわけではないらしい。

 さっき見たステータスらしきものにも「ただの布きれ」ってしか書いてなかったしなー。

 ……ってゆーか、布ってどうゆことやねん。

 なんか死んで生まれ変わったっぽい? けど、布ってなんやねん。

 こういうのは、赤ん坊に生まれ変わって、前世知識で俺スゲーーーーーー!とか、なんかチート能力とかついてて俺THUEEEE!とかなるもんじゃないのか?

 ……あ、そうでした。

 俺、ぱんつになりたいって流れ星にお願いしたんでした。てへっ。

 でも、俺ただの布じゃねーか! 責任者でてこいっオラァ!

 転生神とか土下座神様とかでてこねーの?

 はぁ、どうすっかなー。

 って、うお。

 口もないのに、ため息を吐いた途端、俺の身体?が何かにぶつかった。

「……あら、どこから飛んできたのかしら?」

 わお、美少女はけーん!

 どうやら川で洗濯をしていたらしいカワイイ女の子の顔にぶつかってました。

 年のころは、十五か十六か。アジアンな民族衣装っぽいものに身を包んでいるが、中身は西洋風の美少女だ。どこかのお姫様といっても信じられそうな、ちょー美少女だ。

 聞こえた声は日本語のようだったが、どう見ても外国人だ。あいきゃんとすぴーくいんぐりっしゅ。髪の色が青色とか、アニメみたいだなー。

 てゆーか、あれ、もしかしてここ地球じゃなかったりする?

 俺みたいな思考する布とか存在できてるんだから、魔法とかあったりすんじゃね?

 それともステータスみたいなのあったりするし、ゲーム的ななんかだったりするんだろか。

「……どうやら所有者はいないようね。ちょうどいいからもらってしまいましょう」

 美少女が俺をじっと見つめてつぶやいた。

 所有者?

 そういや、さっき俺のステータスっぽいもの見たときに所有者なし、とかなってたな。

 そういうの、見てわかるもんなんだなー。

「だー?」

 だーってなんだよおい。

 って、あれ、赤ん坊?

 よく見ると、美少女のそばには小さな籠に入った赤ん坊がいた。

 すっぽんぽんだ。ついてない。つまりおにゃのこだ。

 どうやら美少女はオムツを川で洗濯していたらしい。

 ……で、あれ?

 もしかして。

 その、あの。

 ちょうどいいって、まさか。

 そういうことですかーっ!?


≪強制クラスチェンジが発生しました≫

≪ただの布きれ Lv1 → 布のオシメ Lv1≫


 いぎゃー!

 俺、ぱんつになりたいっていったけどっ!

 かわいい女の子のおぱんちゅになりたいって言ったけどっ!

 流石に赤ん坊のオシメはいやーっ!!!


「だうー?」

 だうーじゃねえ。

「ばー」

 ばーじゃねえよ。

「ぶぶー……だぁ」


≪熟練度が一定の値に達しました≫

≪耐水Lv1を獲得しました≫


 うぎゃー! こいつ、さっそくやりやがったっ!

「きゃっきゃ!」

 きゃっきゃじゃねえよっ!

 そこにいる美少女ちゃんの聖水ならまだしも、俺は赤ん坊に興奮するほど道を踏み外しちゃいねえよっ!


「んー、だぁ」


≪熟練度が一定の値に達しました≫

≪防汚Lv1を獲得しました≫


 ……何があったのかは聞くな。察しろっ!

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