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学校の死神(改)  作者: 化草野菜子
第二章 雨花の恩返し
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 そして待ちに待った掃除の時間、雨花は授業中先生の話には耳も傾けずに考えていた質問を、頭の中で整理しながら音楽室に向かっていた。

 雨花は音楽室の前で一度立ち止まると、思い切ってドアを開けた。

 ラオはピアノの椅子の上に、ちょこんと腰かけていた。

 今日は音楽の授業があまりなかったようで、ほとんど目立った汚れはない。

 

「おー、来たか」

 

「うん」

 

 雨花はピアノの近くの机の上に座った。

 

「うーん、どこまで話したっけなぁ」

 

 ラオが頭を掻きながらそう言うと、雨花は思い切って疑念を口にした。

 

「あのさぁ……ごめん、私まだ死神とかよくわかんないし、正直ちょっとまだ信じられないかも……」

 

 ラオはやっぱりなというような顔をして、ふぅっと息を吐き出した。

 

「じゃあさ、今日部活終わった後、教室に来てみろよ」

 

「教室って二年B組?」

 

 二年B組は雨花たちのクラスだ。

 

「うん、そうそう、まぁ来たらわかるさ」

 

 ラオはそう言うと、ニッと笑った。




 放課後、雨花は既に二年B組の教室で、自分の席にぽつんと座っていた。

 

(なんかドキドキするような、ワクワクするような……)

 

 雨花は怖さ半分と好奇心半分で緊張していた。

 辺りは既に薄暗くなってきている。

 今日は曇り空だ。

 

「ふうー……」

 

 緊張を和らげるために、深く息を吐き出したそのとき、ポンと不意に肩を叩かれ雨花は飛び上がった。

 

「うわああ!」

 

「ははは、なにびびっとん?」

 

 振り向くとそこには昨日と同じ、死神姿のラオが巨大な鎌を担いで立っていた。

 

「脅かさないでよ!」

 

 憤慨する雨花を他所に、ラオは彼女に触れた手を握ったり開いたりして見つめた。

 

「やっぱりな……」

 

 その様子に眉を潜める雨花を見ながら、ラオはクスクスと笑った。

 

「お前、脅かし甲斐があるなあ」

 

 雨花は少しムッとしながら大鎌を指差した。

 

「それ、本物?」

 

 ラオは鎌の刃を撫でながらニヤリと笑う。

 

「もちろん」

 

 雨花はラオの格好を穴が開くほど観察した。

 

「へぇ……なんていうか……すごいね」

 

「これで信じるやろ?」

 

「う……ん」

 

 雨花はぎこちなくうなずいた。

 この姿だけなら信じられなかったかもしれないが、現に昨日悪霊から助けられたのだ。

 信じないわけにはいかない。

 それに、こんなデカい鎌を趣味で持ち歩く人もそうそういないだろう。

 まず警察に捕まる。

 ラオは急に咳払いをして口を開いた。

 

「よーし。じゃあ、信じてもらえたところで、お前に頼みがある」

 

「えっ……なに?」

 

 雨花は身構える。

 ラオは腕組みをするとこう切り出した。

 

「まあ、お前ももう、こんなに死神のことを知ってしまったわけやし、昨日オレ、お前のこと助(・)け(・)て(・)や(・)っ(・)た(・)し? んで、やっぱ助けてもらった奴は、それなりに恩返しをする必要があると思うんだが?」

 

 ラオはそこで雨花を見ると、ニヤッと不敵な笑みを浮かべた。

 

「そういうわけで……お前、オレの死神の仕事を手伝え!」

 

「はあ?」

 

 突然のことに雨花はポカンと口を開けた。

 

「お前、猫だって恩返しするやろ!」

 

 ラオは何故か自信満々に胸を張る。

 

「いや、それはただの童話の世界でしょ? ていうか、手伝うってなにするの?」

 

「お前は結構、霊が近寄りやすいみたいなんよな、それに、昨日死神姿のオレも、霊の姿もはっきり視えてたよな?」

 

「確かに、あんなにはっきり視えたのは初めてだけど……でも、それってなにが関係あるの? いや、ちょっと待って——まさか、霊をおびき寄せるためとか言わないよね?」

 

「ま、そういうことになるな。やっぱり霊も視える奴に関わろうとしたり、利用しようとしたりするしな。でも、オレがちゃんと片付けるから大丈夫だって!」

 

 ラオはそう言うと、ニカッと笑いかけてくる。

 

「えー! なにそれ? 本当に大丈夫なの? なんか信用出来ないなあ……」

 

「大丈夫、大丈夫! 昨日も助けてやったじゃん!」

 

 雨花はうーんとしばらく頭を抱えて困り果てていたが、キラキラと笑顔を向けてくる彼を無下に出来ずに、渋々承諾した。

 

「なんかモヤモヤするけど……わかった。ホラーは嫌いじゃないし」

 

「よし! じゃあ、早速行くぞ!」

 

 ラオは嬉しそうにうなずくと、踵を返して教室のドアを開いた。

 

「ええ! いきなり?」



 

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