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原爆と竹槍  作者: サイシ
77/93

原爆と竹槍77話

「可哀相に」

 老夫の目からも涙が溢れ出た。

「自転車はどうしたの?」

「戦闘機に撃たれて壊れました」

「なんと酷いことを」

「どこへ行くと言ったか思い出せないが、どこで空襲に遭ったんですか?」

「広島市です」

「何?あの遠い広島県のことかね」

 老夫が驚いたように尋ねた。

「はい、そうです」

 老夫は、雪と鈴子を綾の再来のように思ったのか、次から次へと質問をしてくる。

「詳しく話してくれないか」

 雪は、長崎を出た経緯から今までのことを全部話した。

「なんと恐ろしい話でしょう」

 老妻が涙を流した。

「妻や私には、正しい情報が伝わってこないので、不幸は綾だけのように思っていた。だが、あなたが通った各県の人達、否、全国の人達が想像を絶するほど悲惨な目に遇っているんですね」

「そうだと思います」

「大変な苦労をして帰ってきたあなたを、このまま帰す訳にはいきません。どうか、私の家で疲れを取ってから、帰ったらどうですかな」

 老夫の言葉に、老妻が目を輝かせて言った、

「それよりも、今夜は泊まっていってください」

「そうだ、それがいい」

 老夫が相槌をうった。

「誠に有り難いお言葉ですが、早く帰らないと夫が心配していると思いますから」

「そうだろうな」

 老夫が残念そうに言うと、老妻が言った。

「さつま芋を、雪さんに差し上げてもいいでしょう」

 下げていた袋を老夫に見せた。

「それは良い事に気がついたね。これを持って帰りなさい」

「心配しなくていいんだよ。この芋は私の畑でとれたもので、いくらでもあるんだから、今日は知り合いの人に上げるために持ってくたんだけれど、知り合いには明日持って行けばいい。何も心配せずに受け取ってください」

 そこまで言われては、雪は親切な申し出を断ることが出来なかった。



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