第517話・炸裂! 最終兵器魔砲幼女!!!
本作のマンガ版の今後について、活動報告に纏めています。
まぁ、よくあるお話です。
「ワープ!!!」
操舵手がハンドルを引くと同時に、艦隊は大規模転移魔法を発動。
一瞬で消え去り、地球軍連合艦隊の上空へ姿を現した。
巨大な円盤艦隊が、数十隻……空へ浮かんでいた。
「ワープ完了! 船体各部に損害多数認めるも、戦闘可能!!」
「敵艦隊視認! 本艦隊直下です!!」
見れば、海原には鋼鉄の城とも言える大艦隊が浮かんでいた。
間違いなく、地球軍の主力。
ハブとしての機能を半壊させた今、もうここで殺してもダンジョンのエネルギーにはできないが、この脅威さえ消し去ればまだ立て直せる。
コカビエルがそう思考した時――――
「ッ!! 魔力反応の異常膨張を検知!! これは…………!」
その答えは、Z旗を掲げた航空母艦『かが』の甲板にあった。
幼い躯体、しなやかな銀髪、それに似つかわしくない規模の大魔力。
「念映クロスゲージ、明度20。照準固定!!」
全ての航空機を発進させ、本来は何もないはずの『かが』飛行甲板に立っていたのは、執行者テオドール。
その両手には、果てしない規模の魔力が握られていた。
嵌められた……!!!
コカビエルが即断する。
「下部主砲! 斉射準備!! 目標、執行者!!!!」
『セラフィム』の下部砲塔が急速に動き、直下のテオドールを指向した。
スピード勝負、あんな子供に艦隊が殲滅できるとは思えないが、今ここで最優先に葬る――――!!!
2連装主砲が紫色の輝きを見せるも、彼女は冷静に発射シークエンスを進めた。
「薬室内、魔力粒子圧力上昇! 74、87、100。エネルギー充填120%!!」
『かが』の艦橋内で、自衛官たちが用意していた遮光ゴーグルを急いで着ける。
こんな真似をするのは、アニメだけだと全員が昨日まで思っていた。
「発射10秒前、8、7、6――――」
威力を上げるための完全詠唱。
エネルギーの充填、先に完了したのは。
「撃てぇッ!!!」
エンジェル・フリート各艦から、下部砲塔が発射される。
目標は『かが』および執行者テオドール。
荷電粒子砲なので、迎撃ミサイルやCIWSは通じない。
しかし、乗員たちは確信していた。
今この瞬間だけ、この艦は――――”宇宙戦艦”なのだと。
「3、2、1――――『拡散・爆雷波動砲』!!! 発射ァ――――ッッ!!!!!!!」
空間の引き裂かれる音が響いた。
彼女が両手を前に出すと同時、青い極太のビームが2本撃ち出される。
螺旋状に渦巻きながら上昇していくそれは、エンジェル・フリートの放った主砲を巻き込みながら全て撃墜。
――――カァンッ――――!!!
上空でそれら2つのエネルギーが互いにぶつかると、螺旋状だったビームがシャワーのように拡散。
無数の小弾となって、エンジェル・フリートに襲い掛かった。
「――――申し訳ございません、アダム様」
旗艦『セラフィム』を、拡散爆雷波動砲が粉微塵に砕く。
その他全ての艦体も、いずれの例外もなく貫通して爆散。
連合艦隊上空を、眩い閃光が覆った。
「はふぅ…………っ!」
縛りを活用しての限定的な大規模転移魔法に加え、決戦魔法の使用。
執行者テオドールは、全エネルギーを使い果たしてその場に倒れた。
ほぼ同時に、担架を担いだ自衛官たちが走ってくる。
彼らは脱力したテオドールを乗せると、無線機に怒鳴った。
「厨房に連絡!! 戦いはまだこれからだ! 在庫内のありったけを調理せよ!!」
運ばれていく執行者をモニターで見ていた山口海将補は、椅子に体重を掛けた。
「彼女、ジャンキーな食べ物が好きなんだっけ? 艦長」
「新海透3尉からは、そのように聞いてますね。配信でもラーメン食べて号泣してましたし」
「大した女の子だ、日本の誇る兵器と同じパフォーマンスをラーメンで……。面白い」
「おや、貴方が他人に興味を示すなんて……”防大の問題児”以来じゃないですか?」
「彼女だけじゃないさ、第1特務小隊の全員に同じ気持ちを持っている。その上で――――」
別のモニターには、鉄壁だったバリアが数段薄くなったダンジョンが映る。
その光景は、市ヶ谷で指揮を執る四条陸将も見ていた。
かつての先生2人は、同じ言葉を揃って呟く。
「頼んだぞ、錠前」
――――富士山頂
「じゃあ、始めようか」
雲海を見下ろす霊峰の天辺。
現代最強の自衛官――――錠前勉が、普段は閉じた紅い眼を見せた。




