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~マンション(共同住宅)の物語 其の1 「命が勝った」

駐在所に亭主は飛び込むと、急いで鍵を閉めた。


目から血が噴き出しているかのような赤い目でアイスピック片手に追ってくる安仁屋さんは、最早理性を失った獣のようであった。


亭主は叫ぶ。

「警察さま!警察官さまっ!」


最近は駐在員不在や無人ポリボックスが多い絶望的な状況が多い中、亭主は運が良かった。


「どうされましたか。」

奥にいた警察官が亭主の声を聴き出て来た。


警察官が目の前に見た光景は、恐ろしく悍ましい光景であった。


警察官は、まず応援を依頼し、外にいる安仁屋さんを確保させることを冷静に選択した。

扉を開けると男2人でも、鬼気迫った安仁屋さんを止めることは難しいと判断した。


応援で駆けつけた警察官は2人。

屈強な体の男二人はガラス扉にしがみつく女の姿に、一瞬たじろいだ。

しかし、すぐ、我に返り、掴まえにかかった。


ところが、何かに取り憑かれたような女は、およそ一般女性のそれとは違っていた。


警察官は振り飛ばされ、防刃ベスト深く千枚通しが幾度も突き刺さり、もし、一般人であったら、どうなっていただろう。


警察官が2人、半時間の格闘の末、ようやく安仁屋さんを確保した。


その光景をみて、亭主は「助かった…。」と安堵した瞬間、腰が抜けた。


妻が現行犯逮捕の状況をみても、自分の命が助かったことが勝っていた。


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