~マンション(共同住宅)の物語 其の1 「絶 対 絶 命」
疲れ果て、その場で動けなくなった亭主の目に箸をもって狂乱の表情、顔面も色は蒼白。
そのままBUCK-TICKのメンバーの中に入っていけるほど顔色は悪く、おぞましい形相で近づいてきていることに、漸く脳が反応した!
「ひ、ひえ~っ!」意味不明な奇声を起爆剤にして立ち上がり、亭主は逃げた。
安仁屋さんが持つ箸が、亭主には千枚通しのように見えた。
「こ、こ、殺されるっ。」そう思うことで、自律神経化のように起きて走った。
しかし、走り方が判らない、ランニングのメカニズムなど、まったく理解しないで走る姿は、宛らエリマキトカゲのようであった。
来る、来る!迫ってくる!!
狼か怨霊か、低くくぐもった声で唸りながら安仁屋さんが近づいてくる。
「ダメだ。捕まったら滅多突きだ。兎に角逃げろ。」そう自分に言い聞かせて逃げる、逃げる、逃げる。
「いかん、足が上手く回らない。捕まるぅ。」
そう観念しそうになったとき、偶然にも山から下りて来た猪と衝突した。
獣と化した妖気が、野性の猪に同期したのだろうか、両者が激突した。
その信じられない光景を見て、驚いたが、「今だ!」
亭主はサードベース手前で躓きながらサードベースを掴むランナーのように、躓きながらマンホールの蓋を掴んだ。
振り返ると安仁屋さんの闘気に猪は尻尾を巻いて逃げて行った。
そして、また、こちらに向かって走りだそうとしている。
「ひ、ひぃっ!」




