偽善者と配信イベント前篇 その08
新たに【怠惰】の魔王少女となったセジュラス・スロースに、能力の説明をしてみる。
成長ブーストと魔武具創造(今は×)を説明したところで、次は実戦を交えることに。
「──はい、爪術で戦うならこんな感じになるかな? 可能な限り、自力でエネルギーを手に集めてパワーアップできるようになると戦いやすくなるよ」
「…………」
「ん? ああ、大丈夫だよ。さっきのはあくまで、レベルの暴力。セジュちゃんもスキルでカバーすれば、再現できるから。むしろ、石に関する職業やスキルがある関係上、私より上手に戦えるようになるかもだよ?」
爪術の動きは眷属たちと検証済みなので、それを最適化した動きでゴーレムを処理。
ついでに身力操作のお手本もやってみせたのだが、かなり呆然としている。
俺のは反則ギリギリだし、割と無茶苦茶を言っているのも承知の上。
だが、その無理難題でも可能にできてしまうのだが、{感情}系列のチート補正だ。
[なんだろう、サッカーでボールのドリブルの仕方を聞いたはずなのに、11人抜きのやり方を聞いた感じ]
[いや、短距離走のコツを聞いたのに世界新記録の出し方とかじゃね?]
「いろいろとツッコミたいけど、まあ今のセジュちゃんなら本当にできちゃうんだよ? だってほら、ゲームのラスボスってそういう理不尽さを演出するのが定番じゃん?」
[あるある、強制イベントで絶対勝てないと思わせるような技出してるヤツ]
[魔王ってそういうものだっけ?]
[昔は創作物で弄ばれてたけど、普通に考えて『魔』の『王』だし妥当だろう]
「スキルを習得するのにポイントを使うのもいいけど、武術・身体・技能系のスキルは基本的に頑張れば自前で取れるからね。魔王少女はみんな補正が有る分そっちも簡単になっているから、やってみた方がいいよ」
「は、はいっス!」
あとで、『誰でもできる簡単スキル習得本(完全版)』の情報を教えておこう。
配信越しに外部へ漏れるだろうが、それはそれで絞っておけばいいだけだし。
パワーレベリングのやり過ぎも配信的にはつまらないだろうし、ここからは結界魔法で魔物を事前に遠ざけながら迷宮を進む……もちろん、当人には内緒でな。
◆ □ ◆ □ ◆
上層辺りに戻ってきたところで、彼女を戦わせることに。
ここに来るまでにある程度気配を掴むスキルは学ばせているので、戦闘にも役立つ。
「ハァーー!!」
「ふわぁ……暇」
[言葉に出すなよ]
[セジュちゃん、滅茶苦茶頑張ってるのに]
[いや分かるよ、裏でサポートしてるのも]
[スロー再生しないと分からんけど、石弾いてる……漫画の強キャラかよ]
「……あ、バレちゃう? ちなみに、誰でも理論上はできるよ? 指に充分な力があればできるし。まあ、コントロールの方も鍛える必要があるし、素材の厳選も必要だけど」
一方、俺は彼女が一対一で戦えるように場の掃除を行っている。
具体的には迷宮の壁をこっそり抉り、指で弾いて魔物にぶつけるだけ。
ほぼ壊せない迷宮の壁だからこそ、ぶつけた時に相手も相応のダメージを受ける。
あとは弾く際の指の力、ついでに的確に当てる器用さがあれば充分だ。
なお、それらを可能とするために必要な数値が尋常じゃないことは言うまでもない。
俺の場合、コントロールについては眷属たちと頑張った結果なので自力だぞ。
「っと、そうこう言っている間に今のヤツが終わったみたいだね。じゃあ、次の準備をしておこうか──“仮命委託”発動!」
「ッ……!?」
「見てて思ったけど、もう少し強い方がいいし……ここで【怠惰】の出番だよ。簡単に言うと、自分でカスタムした魔物を創れるのがこの能力。コストに経験値を使うから、初めの内は使えないけどね」
魔物を倒したはずのセジュラス・スロースの前に、再び現れたゴーレム。
だがそれは迷宮が生み出した個体とは違った、見た目から──根本的に異なる個体。
[えっ、ロボ!?]
[【怠惰】の……デリバリー? でこんなのも作れるの!?]
[消費するコスト次第か。たしかに、代償さえ払えればいちおう可能なわけだ]
メタリックかつ効率度外視なフォルム、創作物でしか実現できないような在り方。
機械仕掛けでも科学技術でもない、ガワを似せただけの紛い物。
言わばなんちゃってロボ、周囲の金属と鉱石ででっち上げたパチモン。
だが実力だけは本物、そんなゴーレムが彼女の前に立ちはだかる。
「か、“鑑定”! ……な、何にも視ることができないッス」
「さっきまでのゴーレムとは違って強いよ。でも大丈夫、これは倒せなくてもいいから。今回はスキルを育てていくのがメインだよ」
「ほ、本当っスカ!?」
「強い相手、攻撃を通しづらい相手の方……つまり難しい相手にスキルを使った方が、効率がいいからね。大丈夫、私も支援するし」
「そ、それなら……頑張るッス!」
[セジュちゃん、騙されてるよ]
[おかしいな、言っていることと映ってる情報が違ってるんだけど]
[『従事種族(傀児)』、レベル250じゃん]
[なにアイテム出してるの? なにまったりくつろぎだしてるの?]
実際、レベルは上がらずともこの方法ならスキルを磨くことが可能だ。
戦闘中も絶えずスキルレベルは上がるし、格上ならそこにブーストが掛かる。
いろいろと条件があるのだが、その辺を考慮しての選択。
使えるスキルはすべて使って、ここでレベリングをしてもらおう。
※『従事種族』
某作品でいう奉仕種族
あの作品は試作版として作られた職業の能力で構築されているが、その前提が違っているこの作品だと……
どちらかというと、怠惰は怠惰でも、虐殺する人形の方が元ですね……
続き出ないかな…………大罪のツリーとか、パク……よく参照していました
p.s. 無字×1273
エイプリルフールネタがまだ書けていない作者です
…………やるしか、ないのか
そもそも誰にするのか、まずはそこからですね





