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第16話 特訓①

特訓は、アリーが銀次とフリートを、ロゼがソフィアをみることになった。



特訓1日目 アリー&フリート&銀次サイド


早朝、5人は、特訓を始めるべく都市部から離れた海沿いの人気の全くない広場に来た。

潮風が少し冷たいが、周辺に建物もなく、広めの場所なので特訓にはうってつけの場所であった。



「先ずは、お前たちが今現在どのくらいの力を持っているか知りたい。とりあえず今持っている力を全て俺にぶつけろ。武器も使って構わない。」


そう言うと、アリーはグローブを着けただけの拳を正面に構える。


「武器を使ってもいいってあんたは使わないのかよ。」


何も武器を持つ気がないアリーを見て頭がおかしくなったのかと疑問に思ったフリートが問いかける。


「心配はいらん。もともと俺は武器は使わないで拳で闘うタイプなだけだ。」


「でもこっちは二人とも刃物。いくらあなたが強いとはいえ怪我を負いかねない。」


人差し指を立て横に振り嘲笑を浮かべながら銀次を見て言う。


「怪我を負うのが心配?随分と舐められたもんだな。今のお前たちじゃあ俺にかすり傷すらつけられないぜ。まぁ、無駄話もなんだ。時間も限られてるし早速始めようか。」


手でかかってこいと合図をする。


「じゃあ最初は俺様から行くぜ。」


剣で空を斬る動作をして、フリートが自信満々な表情で前に出る。


「何やってんだよ。一人じゃ相手にならねえよ。二人まとめてかかってこいよ。」


また先ほどのように嘲笑うアリー。まるで、これから始まる勝負の結果が見えているように。


「舐めてるのはどっちだか。わかった。銀次、二人がかりで行くぞ。」

「その代わり、怪我しても責任は取らねえぜ!」


「取れるもんならとってみな。」


そして始まった特訓の初戦...

とは言い難かった。たったの30秒で勝負は決した。ボコボコにやられ動けず倒れるフリートと銀次。

その僅かな時間、二人がアリーに傷を負わせることはできず一方的に殴られて終わった。


「どうした、もう終わりか?情けないねー。そんなんでヴラドを倒そうだなんてほざいていたのか」


毎度お馴染みの嘲笑を浮かべながら2人を見下すように言い放った。


「くそ、なにも見えなかったぜ。ちくしょー」


「はやすぎる、、」


予想を遥かに超える実力差を実感させられた。アリーが放った何発かの拳は、いずれも2人の目で捉えられるようなものではなかった。


「やっぱりさっきのパンチは見えなかったか。でもそこまでは想定内だ。まずは敵の攻撃が見えねえと話にならねえ。このスピードに慣れるまでひたすら今のを続けてもらう。」


「続けるって言っても...僕たち、もう立つことさえ厳しいですよ。」


2人が負っている傷が見えていないのかと思った銀次は少し大袈裟に痛がってみせた。



「それなら心配いらねえよ。なんたってここには回復のエキスパートがいるからな!」


自分のことのように自慢げに言い放ち、幼げな少女を指差す。


「はいはーい、私が回復担当かつソフィアに回復系の創界術を伝授する麗しの美少女ことロゼッタ・スプリングでーす!」


ずっと自分の出る幕を待っていた少女は、朗らかな明るい笑顔で元気よく答える。


「そして、戦闘訓練の担当はこの俺、アリー・マホメットだ!今日から五日間ビシバシと鍛えていくぜ!」


まだ、特訓が始まってから数分間しか経っていないというのに、ここ最近で一番、いや、もしかしたら人生で一番の怪我をしてるじゃかと思った銀次。そして、それが今から幾度となく繰り返されるのかと思うと考えるだけで逃げ出したくなる。

いつもは強がりなフリートでさえ、今回ばかりは苦悶な表情を見せていた。

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