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第12話 高速鬼ごっこ①

ソフィアは、名案を閃いた。それを実行するべく、二人は印刷屋に来ていた。


「これを100枚刷ってもらえるかしら。代金は後で必ず払うわ。」


そう言って、一枚の紙を店主に渡した。


「後で払うって言ってもねえ。そのまま払わずに逃げられでもしたらこっちは困るんだよ。」


「じゃあ、後で払うという保証に、これを預けていくというのはどうですか?」


銀次は、カウンターの上に、誰が見ても分かるほどの業物であるナイフを差し出した。


「ほぉ、これはなかなかのものですな。いいでしょう。これがあれば逃げらてたとしてもこちらに損はでないでしょう。ですが、条件をもう一つ。通常の代金を1.5倍でお願いしますよ。」


「それなら2倍でいいですよ。後払いにしてもらう分ということで。」


「これは随分と太っ腹ですな。わかりました。そのぶんこちらも迅速な対応を心がけますよ。」


「ありがとうございます。ではよろしくお願いします。」


「はいよっ」


店主は、紙を受け取り、奥へと入っていくと早速作業に取り掛かった。それから5分程して、店主が帰って来た。


「はいよっ、きっちり300枚。」


この世界には、電化製品がないため、全て手作業だというのにたった一人で300枚の印刷を、それもたった5分で仕上げてしまうなんてすごいとしか言いようがなかった。数枚見て見たが、漏れなく丁寧に印刷されていた。

一体こんなにたくさん何を印刷をしたのかというと、盗族二人の簡単な似顔絵と、特徴が書かれた手配書を作ったのだった。報酬も銀貨30枚とかなり多めにしたので、食いつく人は大勢いるだろう。

ソフィアの考えは、これを町中にばらまいてより多くの人に捕まえるのを手伝ってもらおうというのだ。ここは、港町で、人も大変賑わっているため、人には困らないし、盗賊たちが下手に攻撃を仕掛けて来ればすぐに騒ぎになるため、危険性もかなり低い。

町中を走り回って紙をばらまいた数分後には、ソフィアの予想通り大勢の人々が動き出した。


「これならきっと行けるわ。さぁ、私たちもあいつらを探しに行きましょ。」






* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *


一方、フリートは、なんとか盗賊の男に追いついていた。


「はぁはぁ、やっと追いついたぜ。ここまで来たらもう逃さないぜ。」


「さすがは聖人だな。瞬界なしのただの身体能力だけで俺っちに追いつくなんてな。」


睨み合う二人の下へ、盗賊のオンナが合流した。


「ビヨンド、あんた何追いつかれてんのよ。そんなんだからダメなんだよ」


「ごめんよ、ビヨンセ姉ちゃん。でもこいつ、ほんとにはやいんだよ。俺っちの瞬界でも逃げ切れないんだよ。」


「ほう、そんなにすごい男なのか。だがそれよりもまずいことになったよ。残りの二人の連中が、アタイらの手配書を作って町中にばらまいてるんだよ。このままじゃ何百人を相手にした鬼ごっこになっちまうよ」


「確かにそれは困るね。今回はただの偵察だから捕まるのはかなりまずいね。」



「さっきからごちゃごちゃ何話してるのか知らねえけど長えよ。俺様がお前らを捕まえようとしてるの忘れてもらっちゃ困るぜ」


二人の会話にフリートが割り込んで斬撃を入れる。


すかさず、ビヨンセが能力による光る玉を近くの屋根に投げつける。


引界(いんかい) "引き寄せ玉"」


投げられた玉に、フリートが引っ張られて屋根にくっついてしまった。


「くそ、なんだこれ。屋根に引っ張られて動けない。」


「あんたはそこで大人しくしてな。アタイたちは十分あんたらを見れたから帰るとするよ。」



すると、下から何人もの声がしてきた。


「いたぞっ、手配書のやつだ。あいつらを捕まえて一攫千金だー。」


「ちっ、みつかっちまったか。急いでずらかるよ、ビヨンド。」


逃げようとした時、斜め前から光線が放たれた。とっさにビヨンドの創界術がそれを防ぐ。


「さあ、盗ったものを返したもらおうか。」


「次こそは逃さないわよ。」



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