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Souls gate  作者: 大野 大樹
四章 神様参戦する。
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8-2.神様参戦する。

ゲームセンターは駅前にあるようだ。

「来るの久しぶりだなあ」

 尊が面白そうな顔をしてそれを見た。

 駅前は、夕方でも夜でも賑やかだ。

 24時間営業しているカラオケボックスで夜通し遊ぶ学生もいるだろう。‥下手に動くより、安くつくし、安全だ。

 路上では、居酒屋やカラオケボックスの呼び込みの声が聞こえる。

 客引きではなく、純粋に呼び込み。客の手を止めることも少ない。そういうの、都会の方が厳しいのかもしれない。播磨の実家の方では、まあ、この時間だったら駅前商店街(健全な方)は、開いてる店の方が少なかったが、ちょっと路地を入れば、あんまりガラの良くないお兄さんたちに手を取られたりしたもんだ。

 勿論、優磨ちゃんには気付かれないように、威圧して終わりだ。

 威圧で相手をひるませられるのは、別に楠だけじゃない。寧ろ、天音や尊の方が性格がアレな分、視線が堂に入っている。

「そうなの? 」

 尊にちょっと視線を向けた夏に、頷く。

「凄い久し振り」

 ここに、ではなく、「ゲームセンターに」来るのがだ。ここに来るのは、実は尊も初めてだ。

 あるな、と認識はしていたんだけどね。

 ここは、尊にとってただ、生活をするだけの場だ。尊に、尊個人としての娯楽は特に必要がない。ココでは、本屋に行くことすらない。

 時々、自炊が面倒臭くて外食をするくらいだ。だけど、普段はそんなこともしない。スーパーで材料を買ってきて自炊するってことも、まあ、少ない。食パンを買ってきて焼いた卵をのせるとか、ご飯を炊いて明太子をのせるとか、せいぜいそれ位だ。そんな中でも、三食いずれかに冷や奴は必ずプラスする。これは、尊のたった一つのこだわりだった。

 家→学校→優磨とちょっとお出かけ(殆ど構内)→優磨をアパートまで送る→帰宅

 尊は、優磨と以外は外出することも少ない。それ程優磨以外にあまり関心がない。

 優磨に悪意をもって(もしくは異性として好意をもって)近づくものがないか常に牽制し、相応しくないと思った場合はこっそり排除する。その為の(尊にとって)「善意の目」という名の「味方」の拡大も日々抜かりはないし、彼らの‥裏切りは許されない。

 尊は、優磨以外には本当に容赦がない。絶対敵には回したくないタイプなのだ。

 因みに、優磨自体はそんなことに気付いていないようだ。‥気付いたら、多分かなり引くだろう。

「あ、あったあった」

 店内をきょろきょろ見ていた夏は、お目当てのモノを見つけて、明るい声を出した。

「何? 」

 尊も夏の視線の先を見る。

「『Souls gate』の専用端末。これで、自分の卦が何かを教えてくれる。で、IDとアバターを貰わないと、『Souls gate』で遊べないんだ」

 二人でそこに移動する。

「ってか、オレの卦を教えてくれるとかって。はは、おもしろいね。これで、「乾」以外が出たら、これカス決定だね」

 尊が意地の悪い顔をする。

「それは‥あれだな」

 そう言えば、こいつは神だった。‥到底そんな風には見えないんだけどね!!

 呆れた顔をする夏の横で、尊は説明書に従って、さっさと診断をいているようだった。

「乾‥。やるな。ん。これがアバター? 」

 尊の声に、夏が尊の手元を覗き込む。

「人型‥。レアだ」

 小声で低く唸る様に呟く。

「ってナニコレ!! 」

 3Dのアバターがくるりと振り返り、尊がちょっと驚いたような顔をして小さく叫ぶ。

 夏が尊のアバターに見入る。

「え! 何これ天音ちゃん?? でも、男の子なんだ。羽生えてる可愛い! 」

「男? これ? ‥ああ、ぺったんこだね。だけど、天音ちゃんもそう変わらないよ」

「‥お前、自分の姉に結構酷いこと言うね」

「優磨ちゃん以外の女なんて興味ない」

「そうか」

 と、そこまで話してはっと気が付く。

 いや、ここで誰かに見られたら、ヤバい。さっさと立ち去らねば。

「尊ちゃん、スマホかして。ダウンロードするから」

 誰かに見られたら、レア狩りにあうかもしれない。

 でもまあ‥尊ちゃんなら大丈夫だと思うけど‥。なんといっても「普通の人ならヤバい」(眼鏡君談)位強いらしいから。ホントにどんなんなんだろう。自分で試すのは絶対遠慮したいが、見てみたい。

「名前は‥『尊』」

 スマホにダウンロードして、画面を終了させる。後で、スマホで登録をしなければならないんだ。

 テキパキと動く夏君に、尊は全部任せっきりだ。呑気に、スマホの画面に出たさっきの天音似のアバターを見ている。

「髪の毛も短いから、まんまオレだな。‥こうやって見ると、ホントに天音ちゃんとオレの違いって髪型だけって感じするな。筋肉とかが反映されないこの身体って何だろう‥。彰彦って、ロリコンかよ(完全に逆恨み←因みに、尊がこの顔になったのは、天音の逆鱗に触れたからで、彰彦は関係はない)

 さっさと家路に向かいながら、二人でアバターを見た。

 名前:尊

 卦 :乾

 属性:天

「名前も同じだね‥」

 尊の横を歩きながら、夏も画面をのぞき込み、二人で苦い顔をする。

 ‥天音ちゃん、何のつもりだ‥? 



「因みに夏君は? 」

「ん?『巽』のコッコちゃんだよ? 可愛いでしょ? 」

 見せてくれたアバターは、鶏だ。

 ええ、あの、こけこっこってなく、ただの鶏だ。

 可愛い。可愛いけど、割り当てられなきゃ絶対使わんよね? え? 気に入ってらっしゃる?

「ん‥。(ごめん、何て言えばいいのかわからん‥)」

 にこ、と尊は笑って誤魔化す。

 夏は、スマホをカバンに戻して、また難しい顔をしている。

「‥人型‥。なんか、今まで会ったことないんだよな‥。人型のアバター。尊ちゃん取り敢えず、やってみてくれない? 」

 尊は黙ってうなずいて、家路を急いだ。



 尊たちは、注意書きの「容量が大きく、画像も重いですので、パソコンでのプレーが望ましい」に従って、パソコンでのプレーを選択した。

 『Souls gate』をダウンロードして、登録画面に、さっきのIDナンバーと住所、氏名、年齢等を入れる。

『Souls gate』は、一人に一つのIDナンバーしかもてない。重複を防ぐために、ちょっと登録が面倒臭くなっているんだ。(←勿論、これは表向きの理由)

これで登録は完了。

 出て来たワールドに、夏は驚愕する。

「へ? 別のワールド‥?? 」

 見たことない景色だ。‥しかも、誰もいない。

 荒涼とした岩場を思わせる、寂しい景色。いつも見ている、草原のワールドではない。

 普通の‥夏がプレーしているワールドは、もっと明るいし、色んなものがあるし、色んな人がいる。

 ‥誰もログインしてないってことかな? ってか、そんなことってありえるの?

 唖然としながら、ステータス画面などを次々開ける。

 なんだこの「性格設定」。こんなの、僕のにはない、それに、初めからmy八卦表がついてる。‥これって、普通だったら結構一生懸命やりこまなきゃ、手に入らないぞ? それが、初めから‥。

 まるで特別扱い。

 否。分ける為だ。普通と、分ける為。

 ‥これが、もしかして西遠寺のスカウトってこと、か?

 夏は、ごくり、と唾を飲みこんだ。

 『Souls gate』と西遠寺の関係。

 夏は、彰彦とその可能性について探っている。探偵やなんかではないから、調べるといってもたかが知れているし‥身内の怖さは身内が一番知っている、そう無茶はしない。

 ‥調べてるってバレるような無茶は、しない。

 それに、‥知ったところで、別になんてこともない。

 所詮、好奇心を満足させるってだけのこと。

 身内のことを何でも知りたい、ってことはないし、別に、迷惑を被っているわけでもない。

 『きっかけ』」が無かったら、調べようとも思わなかったに違いない。

 謎の失踪事件の裏に、西遠寺在りとの噂と、心配してくれる幼馴染‥警察官の田邊‥。そして、西遠寺を調べようと嗅ぎまわるマスコミ‥。

 身を守る為には、『事の真相』を知らなければ‥。

 それが、調べだしたきっかけだった。

 だけど、‥別に身は守れる‥というか、西遠寺が何とかするだろう。何とかしてくれるだろう。逆に田邊辺りが変に動かないように注意しておかないといけないと彰彦が言っていた。

 寧ろ、下手に動く方が危ない。

 くどいようだが、それは身内が一番知っている。

「どうする? ‥尊ちゃん。なんか、いい予感は‥しないけど、やってみる? 」

「なんだそりゃ。夏君は変なことをいうなあ。‥別にオレにそう怖いことはないけど」

 尊がこてん、と首を傾げる。

「寧ろ、‥天音ちゃんが絡んでるなら‥やらなきゃ仕方ないって気にもなる」

「‥まあ‥その気持ちは分からないでもない‥。こっちも身内が絡んでるって点については同じなんだよなあ‥」

 画面を見つめ続ける夏の表情は硬い。

 それを見て、尊は不機嫌そうに肩をすくめた。

 自分やら周りが、嫌な目に巻き込まれるのは、不快だ。

 自分から巻き起こすなら、知ってて巻き込むなら、別にいいけど、罠を張っているところに嵌るなんて‥冗談じゃない。でも、売られた喧嘩を買わないのも嫌だ。‥逃げるなんてもってのほかだ。

 天音ちゃんが関わっているのも気になる。

 そのまま放って置くっていう選択肢って‥ない。

「でも、‥深入りはしないで? 」

 夏は、純粋に友達を心配している。

 それって、ありがたいな。

 そんなことを思った尊はしかしながら、実ははじめっから西遠寺に相手にされてない。(楠さんが幽霊宣言したからね)夏の心配も、別に徒労に終わるわけで‥。

 でも、そんなことは尊も夏ももちろん知らない。

「内部調査と参りますか」

 いやに気合を入れた顔を、画面に向けるのだった。

尊のこの顔については、『彼がこの世に生まれた‥』の9章4-2部で触れてます。良かったら、『彼が‥』も併せてお読みくだされば嬉しいです。

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