01 正体判明
オリジナル魔法王国設定です。
「私の命を使いたい────王妃を助けるために」
それは50歳になる第113代ロドルフ・ソルゼナーテ・フォン・ヤム・ゼベラドルト国王陛下の言葉だった。
僕は耳を疑った。到底 信じられなかった。
ロドルフ国王と妻であるナフィー王妃は──30年以上前の結婚当初から犬猿の仲と言われている。
そもそも──このドルトン王国に敗戦したサロム王国の貢ぎ物が当時 第一王女だったナフィー王妃であったことが原因だ。
だが意外にも側室がいないのは、王子が4人も生まれて跡継ぎに全く問題がないからだった。
それでも国王夫妻はダンスも共に踊らず、食事も別々、言葉も必要最低限しか交わさないとは国中で有名だった。
「陛下はナフィー王妃を愛しているのですね?」
気づいた時には口から、この確認であるかのような推測であるかのような言葉が飛び出していた。
しかしロドルフ国王は僕に向けていた身体をわざわざ窓の方に向けてから
「愛してなどいない」
と重々しく言った。陽光を浴びる耳は赤い気がした。──今は裏しか見えなくとも。
「ナフィー王妃のお加減については僕も伺っています。治癒士や白魔道士達は確かに手こずってはいるようですね」
再びロドルフ国王がこちらを向く。
「ひと月も伏せっているのだ。気分が悪く精神的にも不安定で、食事をしても戻してしまう。もうかなり痩せてきている。
あのままでは……ナフィーはやがて……死んでしまうだろう。
黒魔道の古代魔術には、命や魂を取引することで願いが叶うものがあったはずだ。私はそれを使いたいのだ」
信じられない発言だ────それにその顔に浮かぶ不安と苦悶の表情も。僕は抑えきれずに、感情的になって述べた。
「それで自分の命を捧げると?
このドルトン王国の名王と言われるあなたが!? 400年に渡る周辺蛮族と近隣諸国の争いに勝利し、収めた英雄であるあなたが!?
命を捧げることも信じられませんが、闇の神レウムは魂を要求してくることもあります。そうなれば死んで尚レウムの配下霊となって永久に使役され続けることになるのですよ!? 臣下も国民もそんなあなたを見たくなどないです!!」
しかしロドルフ国王は瞬時に反論してきた。
「私はこれまで人生はドルトンのために捧げた。命懸けだったこともあった。
だが魂は私のものだ!!! 闇の神にやろうと誰にやろうと勝手だろう!!? ──ナフィーのために!!!」
覇気のこもった発言をしロドルフ国王は窓辺にあったテーブルに両手をついた。バン!という大きな音と共に 置かれていた書類が数枚 舞い上がる。
僕は疑いようもないことを、どうしても もう一度……主君に尋ねるしかなかった。
「…………陛下は王妃様を愛しているのですね? ────とても」
20年尊敬してきたその人は顔を赤らめて
「あ、愛しているわけがないだろう……っ!!」
と吃りながら叫ぶように言った。
僕はその様子の全てを見て しみじみと悟った────
この人、阿保だったんだな………………………と。
シロクマシロウ子あるあるですが、感想欄を閉じてのスタートとなりました。m(_ _)m
中盤山場のある展開を予定しております。
後半くらいから感想欄を開ける予定です。
読みに来て頂きまして誠にありがとうございます。
引き続きよろしくお願い致します。<(_ _)>




