可愛いって言うのはあなただけ 後編
元はジェーンが医師から体力向上や血行促進のために散歩を勧められたのにも関わらず、心配性なカーティスが1人では危険だから行かせられないと同行を要求した。
当初、ジェーンは多忙なカーティスに時間を割いてもらって申し訳ないと感じていた。
けれども、日課となってからは真っ昼間からカーティスと過ごせる。
しかも転倒防止という大義名分の元、傍目を憚らずに腕にぎゅっとしがみつくことができるのだ。
ジェーンは密かに至福の時間だと喜ぶようになっていた。
そしてそれはカーティスにとっても同じ。
楽しげに散歩する妻の愛らしさを心の底で噛み締めていた。
庭園の木々が色づいてきたのを2人でたわいもない会話をしながら眺めていると、風が吹いた。
「少し涼しくなってまいりましたね」
「何っ!?冷えるといけない!俺の上着を着るんだ!」
カーティスの過保護が発動し、あっという間にジェーンは着膨れする。
「ジェーン、寒くないか⁉︎」
「カーティス様、大丈夫ですから」
ジェーンはそう言って、カーティスが着せた服を脱いで返す。
それから我慢できないと言わんばかりに、くすくすと笑い始めた。
「心配性過ぎますよ?」
その笑顔を見て、カーティスはポロッと本音を零してしまう。
「可愛い…」
「え?」
「あ、いや…。ジェーンは可愛いなって…」
カーティスがしどろもどろになっている一方で、ジェーンの顔がみるみるうちに真っ赤になる。
「僕を可愛いって言うのはカーティス様だけです…」
ジェーンは恥ずかしそうに視線を逸らす。
それにつられるようにカーティスもまた、頭をぽりぽりと掻いた。
季節は段々と寒くなっていく時期にも関わらず、2人の仲は熱いままであった。




