第20話 活動コンセプトは特にありません。
ギルドから紹介された宿は、多少値は張るが落ち着いた雰囲気だった。
僕とシトラス。
リラさん、と一応ウィス。
トープさんとレグホーンさん。
ということで3部屋借りて、小休止して、1階併設の食事処で再集合。
「じゃあ、ウィスのために簡単に自己紹介を。」
といいつつ、メンバーを簡単に紹介する。
「とはいえ、さっきパーティ組んだばっかりなんだけどね。」
「でも、役割も噛みあってていいと思いますよ。」
「そうだな。」
するとウィスが、
「ウィステリアじゃ。魔界を統べる魔瀏帝国モーブの第一王女じゃ。」
と教えてくれた。
「へー。やっぱりお姫様だったんだねー。」
「なんじゃ、疑うのか?」
「逆よ、逆。」
「というと?」
シトラス曰く、見た目はさておき、内包魔力が常識的に考えて大きすぎる、とのこと。
「基本的には良い血筋の魔族ほど、魔力が大きいはずだから。」
「そうなんですね。」
「それに、さっきちょこっとだけ見えた骸骨…ダンタリアだっけ?よほどの立場じゃなければお供にならないわ。」
まあ確かに。それにしても…
「その知識はどこから仕入れたんだ。」
「んふふ。」
ホント、どこからなんだろう。
まあいいけど。
じゃあ、次は現状を整理しようかと話題を変えると、トープさんが、
「さっきのは誤魔化せてないですよね?」
と問いかけてきた。
さっきのというのは、ギルドへの報告内容だろう。
「疑われているというよりは、何か隠しているとは思われてるわね。」というシトラスの言葉に、皆で頷く。
「だよね。」
「それでも、所在を明らかにする程度で引いてくれたのは何かあるんでしょうか。」
「今の段階では、ある程度しか情報を掴んでいないからだろうな。」
「後でまた呼ばれるかもしれない?」
「そうね。」
だとしても、僕らが持っている情報を全部を明かすのは無理だろうけど。
「呼ばれた時はどうしましょう?」
「タイミング次第だけど、何か起きそうだった現場にたまたま遭遇しただけ、でいいよね?」
「いいんじゃない?ギルドへの協力は惜しまないけど、私達は自分たちの目的第一でいきましょ。」
「目的とはなんじゃ?」
「冒険者ランク上げよ。」
「ランク上げ?」
「ランク上げ。」
するとウィスが、ランク?という顔をしたので、軽く説明する。
「つまり、色々と面倒な依頼をこなしたり、強い魔物を倒したりすると、上がると。」
「簡単に言えばそういうことね。」
「別に無理に上げんでも、おぬしら強いじゃろ?それではだめなのか?」
「まあ、そうなんだけどね。」
するとウィスが、何か意味が?という顔をしたので、軽く説明する。
「まあ、上がると…」
「格好いいでしょ!」
「それって説明になってます?」
「…。」
微妙な雰囲気が流れそうなので、話題を変えることにする。
「ウィスはこっちに来て何かやりたいこととかあるの?」
「ん?儂か?特に無いの。」
「じゃあ何でわざわざ来たの?」
「前から行ってみたいとは思っとった。で、ちょっと腹の立つことがあって、その勢いじゃ。」
で、その【腹の立つこと】の内容を聞いて、シトラスが爆笑していた。
確かに、覗き見は良くないよね。
「で、ウィステリアさんはこれからどうするのかな?」
「あら、決まってるでしょ。」
「そうなんですか?」
「この流れで、【一晩面倒見てあげたから、もういいわよね、じゃあ元気でね!】ってなる?」
ならないよね。
うんうん。
「そもそもこんなトンデモ魔力お化け、パーティに入れない理由がないわ。」
「言い方…。」
と思いきや魔力量の多さを誉められたと感じたか、ウィスは意外に笑顔だ。
「じゃあ、パーティに入るのかな?」
「え、ということは冒険者に?」
「魔族の王女様が冒険者になれるのかな?」
いやいやいや、今この話を持ち込むのは、火に油どころじゃないでしょ。
「今このタイミングで、魔族で〜すとか言ってギルドに行ったら、拘束されそう。」
「まあ、パーティに同行はするけど、冒険者登録は流石に後回しかなあ。」
「だよね。」
他の街の冒険者ギルドで登録してもいいけど、詮索される可能性も考えると、やっぱり後回しかな。




