第二十八話 ユリの奇跡
王様は、「ユリの奇跡」を作ってほしいんだって
素敵な額も用意してくれた
いい人!
ゆりかぁ~
ゆりねぇ~
・・・・
「おばあちゃん、ゆりちょうだい?」
おばあちゃんの花束をもらいに行く
「これかい?」と花束を渡してくれた
「いい?」
「いいさね、なにか必要なんだろう。
いいさね、いいさね」
「ありがと!」
・・・・
おばあちゃんが持ってたゆりの花束は
みんなで折ったゆり
だから、「ユリの奇跡」に一番合ってると思う
額の左下に、ゆりを咲かせる
たくさんのゆりを
少し汚れているゆりを一番端に
少しきれいなものはその先に放射状に貼っていく
ゆりの下からひし形で折った鶴が羽ばたく
額の右上まで、放射状に幾重にも重ねて
みんなの思いが重なって羽ばたいたように
全部白だけど、暗い白から明るい白に
色は絶望と希望を表す
額を超えるように羽を配置する
隣国まで行ったことを表すように
みんなの思いが国中を回ったことを表すように
鶴と鶴の隙間に、小さなゆりを入れる
鶴がゆりを運ぶように願いを込めて
護衛さんに、壁に立てかけてもらった
ベッドから眺めてみる
変に偏ったところもないし
いいかも・・・
うん、できあがり!
・・・・
それにしても、みんな優秀なんだよね
小麦粉で練って糊を作ってたんだけど
すぐ、乾いて使えなくなって困ってたら
台所で実験してくれたみたいで
乾いたらくっつくけど、塗ってる間は乾きにくい糊を作ってくれた!
みんな~、ありがとう!
◇
「いや!」
部屋の扉につかまった
王宮に、「ユリの奇跡」持っていくとかないから!
そんなのセドがすればいいじゃん!
作るって言ったけど、持ってくって言ってないからね!
「王様のお召しですから、チョコ様
直接、お礼をおっしゃりたいそうなんです。
お願いいたします。すぐ、済みますから。」
わかるんだけどさぁ~
納品は大事よね・・・
ちゃんと責任をもって納めないと駄目だよね
はぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
しかたないか・・・
洋服も着替えちゃったしね
なんか、白いふわふわなワンピース?ドレス?
髪飾りも白だし
あれですか、聖女コスプレですか
いいですよ、もう着せられちゃいましたし
はぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
セドに向かって、両手をのばす
歩いてなんてあげないんだから!
セドも、わかったのか、すぐに抱っこしてくれた
・・・・
馬車で王宮に行く
護衛さんが二人で「ユリの奇跡」を運んでくれる
馬車にも護衛さんが4人もいるし
なかなかな、行列だ
・・・・
王宮の広間にセドにだっこしてもらって入る
後ろから、護衛さん二人が「ユリの奇跡」を持って、ついてくる
セドが止まった
「こちらが『ユリの奇跡』でございます。
お納めください。」
護衛さんが、王様の近くにある三脚に「ユリの奇跡」を置く
あんな大きな三脚ってあるんだ・・・
「説明を」と王様
「チョコ様は、村人たちが折ったユリを集め、
左下から広がるように配置されました。
汚れなどが飢饉を表しているものと思われます。
そこから広がる白いユリやツルは、希望ではないかと。
いかがでしょう、チョコ様。」
コクン
「額を超えているものは、なにかを表しているのか?」
「我が国を超えて、隣国に渡ったユリかと思われます、陛下。」
コクン
「間違いはないようでございます、陛下。」
「とてもよいものを作ってくれた、聖女チョコ殿、感謝する」
聖女認定きたぁ~~~~~~~
基本、なんにもしてないけど
こっちの人からみたら、そうもいかないよね~
まっ、基本的に、別邸に引きこもってるから
どうでもいっか!
・・・・
帰ろ、帰ろ
納品終了~帰ろう!
一言もしゃべらず王宮脱出
わたしの勝ち!
「陛下、ご報告にございます。
オリガミは、各地に広がりを見せております。
しかし、ボスカ村とカレド村、
それから魔術師たちが訪れたいくつかの村では、
他の土地ほど広がっておりません。
また、それらの村では、
農作物の育ちも、
他と比べてあまりよくないとのことです」
「……何が違うのだ?」
「ボスカ村は最初の奇跡が起きた村です。
それゆえ、聖女様とオリガミを畏れる気持ちが、
他の村より強いようです」
「ふむ」
「カレド村は、ユリの発動が、
まばらになる現象が起きた村ですが……
村長の息子がオリガミを好んでおらず、
村人たちもそれに従っている様子です」
「では、魔術師たちが訪れた村は?」
「担当した魔術師が折り方に厳しく、
ユリを折る際、村人をかなり叱責したとか……」
・・・・
「……そうか、
まだ何も断定はできぬ。
記録に残し、しばらく注視するように」
「はっ」




