番外編 夫婦で迎える初の夜
夜、私とレオン様は寝室へ行くとどこか緊張をしていた。それは、夫婦で迎える初の夜だからだろう。
「ユリア、今日はどうだった?」
「改めて、レオン様の妻になったんだと自覚した一日で…幸せな日になりました…」
「俺も幸せだ…。」
ベッドに腰掛けながら話す私たち。
話しながら時折目が合うけどどこか恥ずかしくてお互いに目線を逸らしてしまう。
「ユリア、その…お願いがあるんだが…」
「私にですか…?」
「ああ…。」
「…私に出来ることなら…」
私にお願いするって一体…
「その…ユリアからの口づけが欲しいのだが…」
「なっ…!む、無理ですよ!!私には…そんなこと…」
私の答えに明らかに悲しそうな表情を浮かべているレオン様。
(そんな…分かりやすくへこまなくても…)
「すまない…分かってはいたから…気にするな…。」
そう言っているけど…
明らかに耳と尻尾が下がってるように私には見えた…
レオン様は大型犬みたい…
そんな顔をされたらどうしようもない…
こっちの心も痛い…
「レオン様、こっちを向いていただけますか…?」
「ん?なんだ…っ!」
──チュ
一瞬だけ…
ほんの一瞬だけ…
私は彼の唇にキスをした。
「一度、だけですからね…」
目を見開いてこちらを見ているレオン様。
ちゃんと聞いていたかな…?
「…俺からしても良いか…?」
「…聞かないでください…。」
いちいち聞かれるのは恥ずかしい…
するなら早くしてほしい…
「…分かった。」
唇が触れる。
最初はほんの一瞬だけだった。
でも、何度も繰り返すたびに深くなっていく。
熱を帯びて、深くて、甘くて溺れていく。
お互いの想いを確かめ合うように…
いつのまにか私はベッドに押し倒されていた。
「…あまり…顔を見ないでください…。恥ずかしいので…。」
「そんな顔…俺以外に見せるな…。いや、俺以外が見ることは一生無いか…だが…一応言っておく。ユリアは俺だけのものだ。他の誰にも触れさせない。」
彼の声に独占欲が滲んでいる…
鋭い彼の瞳、心に直接届くその言葉。
私の鼓動がうるさく鳴り響く。
「私はもう…レオン様だけのものですよ…。レオン様も私だけのものです…」
「そうだ…。俺は君だけのもの…」
そう言いながら私の着ていたドレスのリボンを解いていくレオン様。その手は優しく丁寧で迷いがない。
一枚ずつ脱がされていけば冷たい風が素肌に感じると同時に直接感じた彼の熱い手の平。
「綺麗だ、ユリア。」
そう言って首筋に唇が触れ、耳元に吐息がかかる。
私は身体が震えた。
「触れると俺のものなのだと実感する…もう、誰にも触れさせないからな…。」
そう言いながら彼は身体中に一つ一つキスを落としていく。逃がさないと言われているみたい…
何度も何度も繰り返されるたびに聞いたことないような声が自分から自然に出る。恥ずかしくて手で口を塞げばレオン様に手を掴まれる。
「聞かせて…。もう止まらないから…。」
その言葉で私は気づいた。
私はもう彼からは逃げられないと…
「レオン様…愛しています…」
「…俺もだ…ユリア…愛してる…。」
深く深く彼に溺れていく。
私はそれが心地良い…
あなたに愛されていると感じる。
あなただけのものになっていると身に染みて感じるの…
何度も名前を呼び、何度も何度も愛を伝えながら長い夜が二人を包み込んでいく。
満月の夜…
明るい月の光が私とレオン様の重なる影を静かに照らす。その光景は永遠のようで、まるで絵のようだった…。
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翌朝目が覚めると隣でまだレオン様は静かに寝ていた。昨日の夜とは大違いなくらい穏やかな顔で眠ってる。思わず彼の頬に手を添えればゆっくりと目を開けるレオン様。
「おはようございます、レオン様。起こしてしまいましたか…?」
「おはよう、ユリア…構わないよ…。」
優しい中にまだ眠気混じりの声で私の手を取るレオン様。
ベッドの中で彼に寄り添えば腕を回してくるレオン様。そのせいで一瞬にして昨日の夜のことを思い出した。
(…恥ずかしい…)
でも、彼の独占欲から出た言葉や愛はこれからもずっと私だけに伝えられるものなんだと思うと幸せを感じた。
「レオン様、もう少しお休みになりますか…?」
「ああ…そうだな…今日は一日中休みだ…二人で過ごそう…その前に…もう一度だけ眠りにつこう…」
「ふふっ…そうですね…」
彼の眠気混じりの声に私まで眠気がやって来た。
「レオン様、おやすみなさい…」
「ユリア、おやすみ…」
もう朝なのに、私たちは抱き合ったまま眠りについた。これこそ、幸せな時間だと改めて感じた瞬間だ…
これもあなたとだけ感じる瞬間ですよ、レオン様…
あなたに夢中にさせられたのだから…ちゃんと、一生をかけてその責任を取ってくださいね…




