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35・お別れです

本物のミーナがいた。

偽物のミーナのいる場所が無くなった。


みんなが寝静まると旅の支度を始める。

秘密組織の報告書は持ち出してどこかで処分しよう。

リズに教わって作った、身体の仕組みを書いたノートは持っていく。

薬学科の教科書も、ロベルトでは最高級の専門書になる。

検問所を通るのに生徒カードは必要だ。

今まで隠していたロベルトの身分証明書を確認する。

アルバイトでためたお金もカバンに入れる。

あとは替えの下着だけだ。


出来るだけ身軽にな格好で夜明け前に寮を抜けだした。

置き手紙は書いておこう。


『ミーナです。お別れです。

元気に暮らしていけるあてはあります。

探さないでください。


リズさんにお願いがあります。

劇団のナミさんにキグナスに行ったら革職人の夫婦に会うよう伝えてください。

二人は、10年前にキグナスでの公演を見てから、劇団の大ファンです。

ナミさんが行ったら、きっと大喜びしてくるます。

ぜったい会いに行くように伝えてください』


私は王国の門で生徒カードを見せドーツナの町に入る

そして町はずれの乗合馬車の駅に向かう。

朝一番の快速馬車の切符を買い馬車に乗り込んだ。


快速馬車は、駅ごとに馬を交換し、キグナスまで走り続けるのだ。

普通馬車が四日かかるところを二日で行ける。


ドーツナを出発してしばらくすると日も高くなる。

みんなもう起きたかな。春休み中だからまだ寝てるかな。

そんなことを考えながらカバンを抱きしめ軽い眠りについた。


「ミーナ、ミーナ、ミーナどこ行った」

「ペネロペ、朝早くからどうしたの」

「ミーナの手紙があるの、ミーナがいないの」

「キャロル、手紙を読んでみろ」

エマに言われてキャロルが手紙を読む。


「お別れです。って、誰か心当たりある」

「ないよキャロル。昨日もみんなで劇見に行って楽しかったじゃない」

「うんそうだったな…」

エマはナミのことを聞いてからミーナがおかしくなったことに気付いていた。


「リズさんにお願いって書いてあるから、リズのとこ行こう、何か知ってるかも」

ペネロペは手紙を握りしめ、リズの部屋に向かった。


ドンドンドン


ペネロペは激しくドアを叩いてしまった。


「どうしたのそんなにあわてて」

ナルがドアを開ける。


「ミーナが出て行ったの」

そういってペネロペはリズの手紙を渡す。


「リズは心当たりありますか、私たちは何も思い浮かばないの」

キャロルが聞くが、

「私もないですね、リコ、ナル、アニス、何か知ってる」


「心当たりはないな」

「私もないよ」

アニスとナルは心当たりがないようだ。


「… …」

リコは考え込んでいた。


「とにかく学園長に伝えましょう」

春休みでも学園長なら学園にいるはずだ。

7人は学園長のところに向かった。


馬車はドーツナを出て次の日の夕方にはキグナスに着く。

さすが快速馬車は早かった。


キグナスの偽りの両親の家の前に立つ。

そしてドアをノックしたのだ。


「どちら様ですか」

「ミーナです」

「えっ、そうね春休みでしたね。おはいりなさい」

偽りの母が家に入れてくれる。


「大事な話があって帰ってきました」

一気にすべて話してしまおう。考えれば考えるほど言えなくなってしまう。


「本物のミーナと会いました。劇団の役者になっています。次の講演でキグナスに来ます。会いに行ってください」


偽りの母だけではなく父もきょとんとしている。

しばらくしてやっと理解してくれた。


「団長から話を聞きました。キグナスの講演の後、ミーナは劇団に紛れ込んで一緒に旅をしていたのです」

母も父も理解してるようだが言葉が出ない。


「ミーナさんが小さい時大事にしていたものはありますか」

「ああ、それならあるよ、あそこに飾ってあるクマのぬいぐるみだ。いつも抱いていた」

「それでは会いに行くときに持って行ってください。きっとお父さんとお母さんのことを思い出します」


「話は分かった。ミーナは王都から急いできたんだろ。一緒に食事をして、ゆっくり休むがいい」

言葉のない夕食だった。

二人が何か言っているがわからない。今の私の頭の中は真っ白だった。


「お休み、明日落ち着いたらもう少し話しましょうね」

ミーナの部屋のベッドにはいる。

3年前は気兼ねなく寝れたベッドも今日は居心地が悪い。


明日二人に会う勇気がない。

二人が寝たのを確認し、この家も出ることにした。


「さようなら、ロベルトに帰ります。ぬいぐるみのくまさん、必ず本物のミーナに見せてください」


人生二度目の置手紙を書き、ミーナのプレートを手紙の上に置く、そしてロベルトへ旅立った。

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