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28・最後の夏休みです

来年度からリコとリズが教鞭を取るのは理由があった。

リコとリズが入ってから学園の評価は上がる一方で、6月に行われた試験に申し込みが殺到してしまったのだ。


優秀な受験生が多く、定員以上の合格を出すことになった。

寮は夏休み中に増築するにしても、教員をすぐには集められない。そこでの苦肉の策だった。


でも、そんなこと私には関係な。

在園中に二回しかない夏休みだ、今年の夏休みも有意義に過ごさないと。


キャロルもペネロペもエマも夏休みは故郷に帰る。

一人残った私に。


「ねえミーナさん、お話聞いてくれませんか」

ナタリー:エレンスだ。


「な、何でしょうか」

いきなり声をかけられ焦ってしまう。


「ミーナさん、去年の夏休みバレッサのスイート店でアルバイトをされてましたよね。今年もなされるんですか」

「えーと、まだ行ってないけど、行くつもり」

「では、ご一緒させてもらえませんか、私もアルバイトやってみたいのです」

ナタリーは貴族の娘だぞ、アルバイトやっていいのか。

「バレッサで良いって言ったらいいと思うよ」

それしか答えようがない。

「それと、マナの使い方を少々教えていただけると嬉しいです」

あれ、どっちがほんとの目的だ。


スイーツ店の返事はOKだった。

一週間が過ぎたころには、バレッサのスイーツ店で働くナタリーの店員姿は有名になっていた。

去年は私が評判の店員だったのだが、ナタリーに越されてしまった。


「ミーナさんもナタリーさんもしぐさが美しいですね」

去年世話をしてくれたフロアチーフだ


「ナタリーさんも裏の作業場の見学をしていったら」

フロアチーフが許可をしてくれる。


「ナタリーここの作業場すごいんだよ。マナで氷を作るんだから」

「氷が作れるんですか」

半信半疑のナタリーと作業場に行く。


「あっ、ミーナさん久しぶり、今年もバイト来たんだね」

去年と同じ子が氷を作っていた。


バレッサの子が氷を作ってみせる。

「ミーナさんもやってよ」

「いいよ、少しは進歩したんだから」

子供に代わって容器の水に手のひらを当てる。

氷が氷るイメージを頭に描き。

「いくわよ、えい」


ピッキーン

凍った。


「ミーナ、進歩してないよ」

「いいえ進歩しました。厚さ3ミリが5ミリになりました」

自分ではすごい進歩だと思ってたのに。


隣で見ていたナタリーはただただ目を丸くしていた。


「やはり、ミーナさんはマナの達人だったのですね。私の目に狂いはなかった」

「達人なんかじゃないよ。達人っていうのはリズのことだよ」

「いいえ、私から見たら達人です。教えてください」


それから早朝にマナの訓練をすることにした。


王都に住まいがある生徒も寮に入る。当然私と同じ寮だ。


「おはようございます」

「おはよう」


挨拶が終わると、座禅を組む。

精神を集中して体中のマナを感じるのだ。

そして、筋肉、骨、腱、内臓、脳みそまで、体を循環する血液と一緒にマナを練りこんでいく。


「ミーナさん、うまくできません、練り込むってどうするんですか」

しょうがない、ナタリーには座禅を解いてうつぶせに寝てもらう。


「私がナタリーのマナを整えますから、逆らわないようにしてね」

ナタリーの背中に手を当て、マッサージをするように動かす。

ナタリーのマナを感じ、流れを澱みなく綺麗にしていく。


「ナタリーはマナの動きが少しぎくしゃくしています。変に意識しすぎでムラになっているんですね」


毎朝、マナの訓練をする。

お風呂で軽く汗を流し、それからドーツナのスイーツ店のアルバイトだ。


「ナタリー、歩く時も漠然と歩いては駄目です。常にマナを感じ、今使っている筋肉になじませるのです」

通勤も訓練のうちだ。


バイトが終わり寮に帰ると、今度は軽く剣を合わせる。


「ミーナさん、薬学科なのに剣の太刀筋が綺麗ですね」

「ええ、これはエマに教わっているの」

エマと剣の稽古をしているのはうそではない、ちょっとしかしてないけど。

「でも、不思議ですね。エマさんは港町の冒険者ですよね。ミーナの剣は貴族が覚える太刀筋に似ている気がします」

「そそ、そうですか、きっとちっちゃい時に貴族のお嬢様ごっこをして遊んだからじゃないかな」

『貴族のお嬢様ごっこ、やる奴いるのか』自分で突っ込みを入れてしまった。

朝にマナの練習、夕に剣の稽古はほぼ毎日続けられた。


二か月ある夏休みも終わりに付かづく。

バイトも順調にこなし、小遣いを増やした。


「ミーナのおかげで、すごい上達をしました、これで三年のギルド依頼の実習の自信も付きました」

なんか自分で自分をほめすぎじゃないか。

「私の教えたのは基礎の基礎だからあまり自信過剰になっても困っちゃうな」

「そんなことないです、アニスよりはずっとわかりやすかったです」

そうだった、訓練所でアニスが教えていたんだ。余計なことしちゃったかな。


こうして夏休みも終わる。ナタリーと友達になれたのは大きな成果だった。

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