27・二年生の三学期です
二学期と三学期の始業式は講堂で全生徒でおこなわれる。
学園長の簡単なあいさつで終わった。
三学期になると、三年生は就職活動もあり、学園に来ない生徒も増える。
「はい、薬学科の皆さんは、今日から薬草園の手入に入ります」
薬草を育てるのも薬師の大事な仕事だ。
「三年生の手伝いをしてください。あなたたちも、三年になったら、薬草園と森の薬草の管理が始まります。三年生によく教わって、薬草管理ができるようになってください」
先生が自分で教えるのが面倒なんだ。それで三年生の助手という名目で覚えさせている。
「リズ姉、ロズ村で薬草を育てていたのです。楽勝なのです」
「そうね、ロズ村に温室まで作っていましたからね」
さすがバレッサ、簡単に温室って言ってる。
「リズ、温室って高いんでしょ」
「ロズ村のはガラスを使いましたから高価でしょうね。でも今なら透明のシートが有るのでもっと手軽に立てられますね」
何と薄く延ばすと透明で丈夫なシートになる樹液が見つかったそうだ。
「バレッサで旅をして新しい植物を見つけてくる部署が最近見つけてきた来たのよ」
確かリズのお母さんも旅に出てたし、リコもリズも学園に入る前は旅をしていたという。
旅好きの一族なんだな。
三学期は自習時間のリズの講習も落ち着いてきた。
たまに、リコ、リズ、ナル、アニスの4人が消えることもあるが誰も何も言わない。
「あれはさぼりに行っているな」
エマの調査に引っかかったようだ。
「でも先生たち、注意しないね」
「ペンロペ、あの4人に逆らってこの学園で生きていけると思っているのか」
エマの表現は大げさだが、確かにそうだ。
リズがいない自習時間はマナの訓練や薬づくりの講習も受けらえない。
教室で、リズから教わった体の構造、機能 仕組みを忘れなようにノートに整理していく。
そうして三学期はあっという間に過ぎていく。
二年生最後の試験も
「えへへへ、またミーナに勝っちゃった」
いつものやり取りだった。
これまたいつもの通り。
「また、トップでしたわ」
ドナがリズに自慢している。
成績表の渡されるの日の朝のホームルームで
「リズさん、リコさん。終業式が終わったら、学園長室に行って下さい」
タミ先生に言われていた。
「リズ、何かやらかしましたか」
アニスである。
「でも、授業を抜け出したのは四人一緒でした。私とアニスは呼ばれなかったです」
リズたちは呼ばれた理由がわからないようだ。
呼ばれた理由はすぐいわかった。
学園長室から帰ってきたリコとリズがナルとアニスに説明を始めたからだ。
リコたちの説明は寮に帰ってから行われた。
幸い私たちの部屋は、リコたちの隣だ。ここは盗み聞ぎをしなくてはならない。
「エマ、隣の部屋の声聞くこと出来なのかな」
「出来るぞ」
「えっ出来るんだ」
エマは何やら筒を取り出す。
「商売道具だから丁寧に扱えよ」
エマはわざわざ四本取り出し、私たちに配ってくれた。
筒の片方を壁に当て、片方を耳充てる。
「ふう、お風呂に入って、お腹一杯になったら少し落ち着いたわ」
リズである
「リズ、それで何を言われたの」
ナルが尋ねる。
「三年生になったら、教師の代わりに、一年生を教えて欲しいって」
「学園長は無理なお願いをするものだな」
アニスである。
「でも、先生より、リズの方が、わかりやすかったよ」
ナルである
「リズの、補習は、同級生以外にも下級生が来ていたのです」
「えっ、リコ、ホント。道理で教室がいっぱいだと思った」
変なところでリズは鈍感なのだ。
「リズは、気づかなかったのか。そのせいか、今年は、一年も二年も、成績が上がったそうだぞ」
隣の声がはっきり聞こえる。これがあれば私の諜報活動も進展していたはずだ。
「エマ、こういう物はもっと前に教えて欲しかったです」
ちょっとむくれながらエマに言うと。
「ミーナ、これは犯罪なんだぞ、簡単に教えるわけないじゃないか」
今日なら良いのか、それともエマもよほど気になったかだ。
とりあえず分かったことは、来年度からはリコとリズが生徒を教えるということだ。
あれ変だ、たいして今までと変わらないじゃないか。
そうして明日から夏休みだ。




