25・二年生の二学期です
「年末の花火、綺麗だったね」
「うん綺麗だった、でも小っちゃかったね」
「距離があるからあんなもんだろ」
「私初めて見た」
花火は知っている。だが、ロベルト帝国では見たことがなかったのだ。
年末の花火も楽しみ、教会の依頼も無事にこなし、冬休みが終わった。
依頼料も貰えた。あとで何かあるかわからないので取っておこう。
去年の夏のバイト料は、うれしくてかなり使っちゃったもんね。
「今日から二学期が始まります。しっかり勉強しましょう」
タミ先生の挨拶で二学期が始まった。
授業はますます専門的になり、パーティの実技の課題も難しくなってきた。
「キャロルのパーティはどんな具合」
「私のところは、まあまあかな。冒険科の生徒も頑張ってるから」
「私のところも、いい感じよ。一年生に舐められないようにするんだって言ってる
「そう、キャロルもペネロペも大丈夫なんだ。私のところ大変なんだ」
「どうしたミーナ、お前のパーティのメンバーはそんなにだらしないのか」
キャロルもペネロペも順調そうだし、エマのパーティはエマが無理やり引っ張りまわして課題をクリアしている。
「私のところも頑張ってるのよ、でもね、私の方が身体強化が上手になってから、あまり話さなくなってね、課題はクリアできるけどやり辛くたまんないの」
「まあ、それは我慢するしかないな。だが、お前に負ける冒険者じゃ使い物にならんぞ」
エマの話はもっともである。これで三年生になって、ギルドの依頼を受けたらどうなるんだろう。
一学期に引き続き、授業はリズがやっている。教師はいつも教室の後ろにいる。
二学期からは椅子まで用意してしまった。
自習時間もリズを囲んでの講義が続く。
「ミーナ、体の仕組みだいぶわかってきたかな」
「まだまだです。でも仕組みを理解してマナを感じると身体強化を使うのが楽になってきました」
「そうねミーナはマナが使えるようになってからの上達はすごいですから」
「身体強化といえば、一緒のパーティの生徒が上達しないんですけど、何とかならないでしょうか」
「冒険科の生徒まで教えに行くのは無理みたい、でも今度アニスに指導できないか聞いといてみるわ」
これで少しでも上達してくれれば、授業もやりやすくなるんだけどね。
リズは薬学科の生徒に教えている。リコも魔法科に顔を出したりしている。
自習時間のアニスは、やはり冒険科の生徒にマナの使い方を教えていたのだ。
冒険科の自習時間、アニスは冒険科同級生もう一人の女性であるナタリーに指導していた。
「ナタリー、まだ冒険科をあきらめないのか」
「あきらめないわ、まだ二年生よ、あと一年半あるわ」
「そうか、私も頑張って教えるが、三年のギルド依頼の実技、実力がないと何も受けられないぞ」
「わかっているの、だからアニスに頼んでいるの」
ナタリーの必死のお願いにアニスも断れないでいた。
ナタリーは王都の貴族の子だ。
貴族の子は男の子でも冒険者になろうと考えるものは少ない。
それなのに、ナタリーは小さい時から冒険者になると言っていたのだ。
親は無理やり辞めさせるより、ローズ学園に入り冒険者になることがどれだけ大変なのか経験し自らあきらめることを期待したのだ。
アニスの父は王都で騎士をしている。
学園にはナルの護衛として入園してきた。
ナタリーの親はアニスが学園に入るのを知ると
「ナタリーに冒険者の厳しさを教えて、諦めさせてくれませんか」
お願いされていたのだ。しかし、アニスの厳しい指導にナタリーはついて来ていた。
上達は遅かったが。
「アニス、剣の型をやりますので、見てください」
入園まで無茶苦茶に剣を振り回していたのを、アニスはどうにか基本の型が出来るまでにした。
「よくできているぞ、では私と打ち合いの型をやってみよう」
打ち合いの型は、決められた手順で技を出す。受け方流し方のよけ方も決まっている、見方によってはダンスのようだ。
「もう少し動きを早くするがついてこれるか」
「はい、お願いします」
アニスがナタリーに合わせているので、スムーズに打ち合いの型が進む。
「ナタリー、型は出来てきているが、模擬戦はまだまだだな」
「そんなことありません。三人には勝っています」
そう、その三人が私のパーティメンバーなのです。
アニスはナタリーの指導で手いっぱいだそうだ。ああ、パーティの実技やりたくない。
そんなこんなで二学期も進む。
「ミーナ、両親からの手紙また来たの」
両親の手紙という秘密組織らの手紙だ。
毎度のこと、リコとの接触はどうかとか、組織に引き込めそうか書いてある。
接触はうまくいっているので正直に報告する。
『引き込めそうかだって、無理に決まってるじゃん』
私からの報告書には、鋭意頑張っています。と書いておいた。
そうして二学期も終わった。
ちなみに期末試験はいつも通りです。




