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デザイナーズバトル  作者: ゴスマ
バトル物は修行に始まり勝利で終わる..ハズ。
10/11

第10話 霊子鯛子

ふう~ばかばかしいな。とリラックスして頂ける様な話を目指しています。

 ぐおおおお!


 全身を引き裂くような電撃に打たれたひかるが不覚にも気を失いかける。


 目の前のスケッチブックには敵(妹)が書いた茶碗が有る。


 色鉛筆で丁寧に彩色されたその明るい肌色地の器には血をぶちまけた様な赤い染みが点々と付けられていた。


 「一体これは何を表現しているんだ?!」


 「それはね...暑い夏の日の事だったのよ...」


 ◇


 炎天下で三十分も怪談を聞かされたひかるたちは寝っ転がった状態で鯛子の話を聞き終えた。


 「つまり、怪談の逸話がある器といいたいのかな?」


 「イエース!」


 「じゃあ、次は私の番ね。これで如何?」


 長らく同じ姿勢で固まってしまった体を解そうとひかるが体を動かし始めると、先に羽織が参戦しスケッチブックをオープンしてしまった。


 んっ?


 前に書いたヒマワリのTシャツじゃあ無いか?なんだってそんな物を。


 「これはね、このお寺来て初めて書いたデザインなの。」


 「それが逸話?」


 「そう。だめだった?」


 『ジャッジ、妹さんの勝ち』


 「ええっー、ジャッジマンのケチー。」


 いや、今のは仕方が無い。


 続いて此方からお題を提示した。


 「次は此方から指定させてもらう。指定するお題は’車’だ。」


 女性だからメカニカルな物は苦手だろうと出したお題だったが、迷わずスラスラと鉛筆を走らせ始めた敵(姉)を見て失敗したかなと内心焦った。


 「はい、出来たわ。」


 ターボ付きなのであろうか?流線ボディーのフロントサイドには大きく口を開ける様に吸入口が取り付けられていた。リアウイングはかなり大きくタイヤも太い。高そうなスポーツカーだ。


 「流石に上手いな。では続いて此方の攻撃だ。」


 俺のスケッチブックに描かれたのは夢の水陸空全仕様自動車。なあに、実際に作れる作れないは別としてデザインする事は自由なのである。


 『うーん、強度とか怪しそうですねぇ。余りにも実現性が低い物は認められませんよ?』 


 相変わらずジャッジマンは痛い所を突いてくる。


 「大丈夫だ。航空機に使われるカーボン複合素材だから。」


 『一体幾ら掛かると思っているんでしょうねぇ、全く。』


 「良いから早くジャッジしてくれ。俺か、それともあっちの勝ちか?」


 実は内心酷く焦っていた。なんとは無くだが負けた気がしていたのだ。


 『うーん、引分け...かな?』


 助かった!しかしこれで此方は花地と転生しろー!の番になる。


 まあ、本日は負けを覚悟した。


 なあに昨日平原で荒稼ぎしたので今日は負けても宿に泊まる事くらいは出来る。


 但し負けた場合エロ組二人は再度第一門の門番として連れ戻される事は必死である。


 こればかりは仕方が無いが必ず後日回収してやるからなと心の中で誓った。


 「次のお題は’女性らしさ’よ。」


 敵(姉)は変身もせずにバトルを始めた。どうやら嘗められている様だ。


 サラサラサラ


 しかし転生シロウが物凄い勢いで鉛筆を走らせ始めたのを見て若しかして行けるのか?と期待が膨らんだ。

 

 「出来ました」


 しかし開かれたスケッチブックには女性の双丘を形どったマウスパットが描かれており、ジャッジマンは高らかに宣言した。


 『はい君の負けー!』


 詰まりお題を満たしていないと判断されたのであろう。敵の攻撃を受ける前に負けるなんて珍しい勝負を見たものだと感心しながら花地の方を振り返ると、こちらは相棒の仇を取ると息込んでいた。


 ジャッジマンは淡々と言う。


 『さっきの人は失格扱いだからお題は同じでお願いします。』


 さてと、花地に取って女性らしいデザインとは一体?


 スラスラスラ。おおっ意外とペンが走っている。


 「出来ました。色々な物に女性らしさは表現できると思いましたが、在り来たりな物でなく意外性を求めてバイクに女性らしさを表現して見ました。」


 『バイク?自転車、それとも自動二輪の方ですか?』


 「モーターサイクルの方出会ってす。しかもガチガチ硬派な黒色です。」


 おーい、花地。それは何だか矛盾していないか?硬派で真っ黒なバイクで女性らしさを表現するとか...


 『では拝見しましょう。っこれは!』


 花地の描いた女性らしさを持った硬派なバイクとは...


 『本当に真っ黒ですね?...。それにバックシートから延びるこの不必要で大きなカウルは何でしょうか?ぼろきれを表現している?若しかしてスカート?黒いスカートがたなびく様を表現しているとか?』


 「その通り!これに乗って走っているとあたかも黒衣の魔女っ娘になって空を飛んでいる気分になれるバイクだっ。乙女心満載でしょう?」


 俺の隣で羽織が「うへえ」という顔をしていた。いや、気持ちは分かる。なぜならひかるも「うへえ」な気分であったから。


 「そんなの乗っている人には後ろも良く見えないだろうし、客観的に考えたら後ろに変な物を付けた黒いバイクに乗っているって感じしか無いんじゃないかなあ。」


 羽織、言って居る事は正解だと思う。しかし敵を目の前にして味方をディスるのは少し控えようでは無いか。


 「お~ほっほっほ。又私達の勝ちみたいね?」


 そう言ってスケッチブックを差し出した敵(姉)の描いたデザインは洋服であった。


 『そうですよね、普通そう来ますよね。はいお姉さんの勝ち』


 「いっ嫌だ~!もう戻りたくないんだっ!」


 「シローっ!」


 寺に連れ戻される事を恐れた転生しろー!が脱兎の如く逃げ出した。


 それを追う花地であったが、いつの間にか二人は並走して階段を駆け下りて行く。如何やら二人共逃亡を決めた様だ。


 その時、ひかる達の上空を巨大な何かが通り過ぎ一瞬空が陰に覆われたと思うとエロ組達の行く手で大きな地響きが起こった。


 (つづく)

読んで頂きどうも有難うございます。

後1話で1章完結の予定です。

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