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「おはよう、セーヤ君?で良かったよね。もう5回くらい名乗ってるけど私はマリって言います、呼ぶときはお姉さんとかでよろしくね!」
「‥‥」
「あれ?、あれ?セーヤ君じゃなかった!?ごめん!ごめんね!えっと、あれお姉さんって駄目だった?私ってお姉さんに見えない」
「…いや、セーヤであってます。えっとマリさん?今までごめんなさいずっと聞いてなくて」
おっさん《イワンコフ》や村の人々が亡くなり、孤児院に着いても茫然としていた僕にマリさんはずっと話しかけてくれていたのだ。
この孤児院には今ほとんど孤児がいない。だから捨て子が少ないのかというとそういうわけではなく、子供の奴隷が増えてきているらしく孤児は奴隷商の人がさらっていってしまうことが最近多いのだとか。
そのためこの孤児院には僕を含めて3人の孤児しかいない。
他の二人は姉妹で名前はルリとリリだ、ルリは明るい黄色の肩までかかるくらいの髪で身長が僕と同じくらいの子だ
リリの方は僕よりも20cmほど小さい多分120cmぐらい?の子で髪が緑でルリと同じく肩までぐらいだったがところどころかみがはねている。ルリの方は綺麗にまっすぐ降りているのにな
最初に顔を合わせたとき(といっても僕が呆然としていて知らないだけで僕のことを既に見ているらしい)
ルリは大分、人見知りをするようであまり近づいてはこようとはしなかった。一方、リリの方は新しく来た僕に興味津々といった風で僕の方に飛び込んできた。
「よろ…しく」
「セーヤ!セーヤ!よろしくねセーヤお兄ちゃん!」
「ルリちゃん、リリちゃんこれからよろしくね」
僕は元の世界の時にはほとんど人との交流がなかったお母さんと妹、あとは看護師のお姉さんぐらいだったからな。
しかし、ここでの生活はその頃と比べてかなり楽しい生活であった。昔は体が弱かったのもあってあまり楽しいことがなかったのだが、この世界ではルリやリリとちゃんと遊ぶことが出来るからだ。思えば妹とは遊んであげるなんてことはしてあげられなかった。妹は人一倍元気な子だったからな丁度リリみたいに
そんな感じで1か月がたって心の傷が多少やわらいでいるのが分かった。
「セーヤ君、ちょっと洗濯物干すの手伝って~」
「あ、はいわかりましたマリさん」
「もうっ、お姉ちゃん呼んでいいっていつも言ってるのにな~」
「恥ずかしいので遠慮しますっていつも言ってますよね!」
最初はお姉さんだったのにいつの間にか、お姉ちゃんに変わっていた。もしお姉さんと呼ぶのだったらもしかしたら呼ぶこともあったかもしれない…そんなどうでもいいことを考えつつマリさんと洗濯物を干していく4人分の洗濯なのでそれほど多くない、すぐに終わる。
「それでセーヤ君…今日も行くの?」
「はい、お金は稼いでおいて損はないですから」
「稼いだお金の一部を孤児院にいれてくれるのはうれしいんだけどね、無理なこととか危険なことはしてほしくないなぁ。ねぇセーヤ君もっと他の仕事をしない?」
「いえ、孤児院を出た後はここを出ようと思うので出来るだけ実践を積んでおきたいんです」
僕がやっているその仕事とは冒険者のことである。だいたい1週間ほど前に冒険者組合で登録をしていまだに雑用などがほとんどだが、この世界には魔物もいるそうなので魔物退治もそのうちにやるようになるだろう。
「セー兄ちゃん!」「あそぼう」
洗濯物を干し終わり僕が出かける準備をしているとリリとルリがこちらに来ていた。
ちなみにリリの僕の呼び方はいつの間にかこの呼び方に変わっていた。
「どうかした?」
「セー兄ちゃん、今日もあそんでくれないの?」
「ご、ごめん。これから仕事いくんだ…」
「え~、昨日は明日ならいいって言ったじゃん!セー兄ちゃん!」
そういうリリの後ろではルリがコクコクと頷いている、僕そんなこと言ったかな?
「いってた…よ?」
ルリが控えめに言う
え?心読まれた? いや、そんなまさかな…
「と・も・か・く、お外に遊びに行こうよ!セー兄ちゃん!」
こうして、僕はルリとリリに連行されて仕事をしに行くことできなかった。
あ、ちなみにルリは10歳リリは9歳らしい、1歳のルリと一緒に孤児院の前にリリが置いていかれてこの孤児院にきたらしい…ま、まぁ僕と同じくらいの身長のルリが僕より二つもしたの子だったなんておどろきだなぁ~、………
そしてその日の晩御飯
「セー兄ちゃん!明日は何してあそぼっか?」
「何…しよっか?」
リリ、ルリの順に二人が話しかけてくる。
「いや、明日こそは冒険者組合行こうと思うんだけど…」
「あら、明日も三人で遊ぶの?いいわねぇ。お姉さんもいれてもらえないかな!」
とても高いテンションでマリさんが会話に混ざってきた。
「うん!マリ姉ちゃんも一緒にあそぼ!」
リリは相変わらず元気だ、ルリのほうは話すことが少ないな。
晩御飯を食べ終わった後、僕は準備をするとこっそり孤児院を抜け出した。理由は今日やりそこなった冒険者の仕事を…もとい金を稼ぐためである。
「いらっしゃいませー、ってセーヤ君じゃない!もう小さい子がこんな時間に来るんじゃないよセーヤ君小っちゃくてかわいいから怖いおじさんたちにさらわれちゃうぞ~」
冒険者組合に入ると受付のお姉さんが話しかけてくる名前はミルキさんだ。
この人には冒険者の登録をする時にもお世話になった。
「からかわないでください、ミルキさんみたいのが見張ってるところで誘拐起きるわけないじゃないですか」
そして、ミルキさんはめちゃくちゃ強い、なんでも元S級の冒険者だったのだそうだ職業は僕と同じ格闘家で…そうそう、冒険者はG級からSS級まであるらしいもちろん僕はG級だ。
「あははは、そりゃ私の前では他の人にセーヤ君取られるようなヘマはしないよ。だけどそうじゃないときはまた別だからね、そうなってからじゃ遅いんだよ」
前半はふざけてるが途中からまじめな顔つきになってそう僕に忠告してくる
「それで?セーヤ君は今日は何の用事で来たのかな?まさか私に会いに来てくれたとか!、こんな時間に来るなんて初めてだよね?今日は私と一緒にでも寝るかい?」
ミルキさんは人をからかうのが好きだな、初めてここにきて冒険者登録した時もこんな感じだった。きっとフレンドりーな感じで接してくれようとしているのだろう
「おい、なんだあのガキ。ミルキさんがあんなご機嫌で受付してるの初めて見たぞ、どんな関係だよ?まさかこど…」
「おい!やめろ、俺たちのミルキちゃんがもう結婚してるなんてあるわけないじゃないか!あのガキはえーっとなんていったかな確か…アマチ・セーヤとかいう名前のガキだな。つい最近冒険者になったみたいだぜ?」
「ミルキさん、何かオススメの依頼ありますか?」
「うーん、そうだねまだセーヤ君は討伐依頼したことなかったよね?じゃあ手軽なので…ゴブリン討伐とか行って見る?」
「あ、はいじゃあそれで…うん?」
ミルキさんがあまりにも簡単そうに言うのでそのまま流れで初めての討伐依頼を受けてしまった。




