014 冒険者ギルド5
俺達は冒険者ギルド2階にある、ギルドマスターの執務室にいる。
俺はソファーに腰を下ろして寛ぐ。
俺の座ったソファーの後ろに聖騎士リンとコボルトのコウキが立つ。
リンの身長は2mを超えるが、コウキの身長は130cm、凸凹コンビだ。
向かいのソファーには、ギルドマスターであるエルフのババアが座る。
俺が斬り落とした両手は、エルフの秘中の秘薬『エリクサー』で、元に戻っていた。
つくづくファンタジーだなぁって思う。
エルフのババアの横にサブマスターの髭ジジイが座る。
此奴も血達磨になった身体を上級回復薬で完全に回復している。
ソファーの横の床に正座で反省中の件の冒険者三人。
俺達3人は冒険者登録を終えていた。
ババアはCランクにしたかった様だが、話を聞くとCランクはギルドの要請に応える義務があり、指名依頼もあるらしく、面倒そうだったので辞退し何の柵みも無さそうなEランクにさせた。
ギルドのランクは、S>A>B>C>D>E>F があるらしい。
Sの上にSS、SSSランクもあるそうだが、数人しかいない様だ。
俺には関係ないので興味も無い。
Dランクはギルドの通常の要請は無いが、魔物大発生等の緊急時の対応義務があったので、それを避けてのEランクだ。
俺は茶菓子をボリボリ齧って、紅茶を飲み、カップをテーブルに置いた。
「それでこの者達の処分じゃが?」
「ああ、サブマスターは許すが、此奴らは許せないね。リンの胸を触りやがったし、俺を殺そうとした。」
「そうは言うがのぅ・・・。」
「死刑と奴隷は勘弁してやるが、冒険者資格剥奪の上、有り金・身包み差し出させて放逐だな。」
「えええええ。すいません。お許し下さい。」
冒険者達は泣きながら土下座する。
「そこまですると死刑と変わり無いのじゃよ。」
「そんな事知らん。今直ぐ殺されないだけましだろう。」
「怒りの矛を収めて貰えないじゃろうか。こんな奴らでもこの都市では貴重なCランクの冒険者なのじゃ。」
「おいおい、随分譲歩してるだろう。ババアとジジイを許すだけでも満足しろよ。」
「しかし・・・。」
「ババアとジジイも殺しても良いんだぞ。面倒な事を言うならこの都市にいる全ての冒険者達も殺そうか?ギルドマスターとサブマスターが俺を襲撃したんだ、ギルド全体に罰を与える。」
「タクミ様がそう仰るなら、聖騎士隊も派遣します。」
リンが追従する。
「はぁ、そんな事言わんでくれないかのう。それは困るのじゃ。
それにしても、教主レンは良くリンをお主の従者に差し出したな。
聖騎士の最大戦力を惜しげも無く従者にするとはのぅ。
ん?リンは今でも聖騎士隊を動かせるのか?」
「・・・。」
「お主、勇者か?それとも使徒か?」
「他言無用だ。ババアは馬鹿だな。そしてそれを聞いてしまったら、此奴らは死ぬぞ。」
「あ!」
しまった!と言うババアの顔。
もう遅い。
「誰にも言いません。それだけは、許して下さい。」
恐怖におののき、泣きながら土下座を続ける冒険者。
冒険者達の首が落ちる。
流れる血。
ジジイの首も落ちた。
ババアの隣には首のないジジイ。
「ひ、ひぃ。」
驚愕のババア、顔から血の気が引き、恐ろしさに震えている。
「口は災いの元だぞ。お前だけは許してやる。誰にも言うなよ。」
喋る事が出来ずに何度も頷くババア。
俺が時を止めて首を刈ったんだけどね。
ババアには俺が動いた事は分からず、突然首が落ちた様にしか見えない。
天罰だと思っただろう。
レベルアップのメッセージが流れる。