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火と氷の未来で、君と世界を救うということ  作者: 星見航
第23章:エクアドル・種の起源の島へ【2030年2月10日】
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第351話:潜水艇

挿絵(By みてみん)


「ここで降りてください」

バギーを停めると、ガイドがスペイン語訛りの英語で言う。


「私についてきて」

そう言うと、ガイドは一見して道なんてない密林と足を踏み入れる。


「ちょ、ど、どこに行くんですか?」

思わずわたしが尋ねると、


()()()への渡航ルートは、極秘ですから」

そう言って、サバイバルナイフで亜熱帯の植物を掻き分けながら進んでいく。


――十五分ほど歩いただろうか。

木々を抜けた場所に、その洞窟はあった。


ガイドがランプに灯を点す。

どうやらここに、カイが研究している秘密の島行きの船があるらしい。


「でも、船なんて使ったら、結局上空からバレちゃうんじゃ……」


何と言っても、衛星が地球を覆っている時代だ。

あのルカ・ローゼンバーグの秘島のように、ホログラフィック映像で全体を覆うみたいなことをしない限り、やがて発見されてしまうだろう。


「ご安心ください。衛星の映像が届くのは、()()()()()()()()()ですから」


そういって、昏い洞窟の壁にひっそりと隠されていた、指紋認証らしきパネルに触れる。

まるでアラビアンナイトの秘密の扉ように、壁がゴゴゴゴと開く。


その先にあったのは、薄暗いランプの光に照らされ黒光りする潜水艇だった。


**********


「ここまで……やる?」

いくら世界的に有名な島だとは言え、南海の無人島に行くのに、ここまでするとは思わなかった。


水面から半分浮き出ている潜水艇は、それほど大きなものではない。

戦争映画なんかに出てくる原子力潜水艦と違って、5人も乗れば満員になる大きさに見える。


でもだからこそ、隠密行動もしやすいのかもしれない。


「十萌さん、これに乗ったことあるんですか?」

「まさか、初めてよ」


十萌さんが笑う。

「ま、でも、カイさんに頼まれて、メーカーにオーダーをしたことはあったけどね。それが、ガラパゴス諸島(こんなところ)で使われてるなんて思いもしなかったわ」


わたしたちが中に乗り込むと、ガイドが船室に入る。

どうやら、彼が船長も兼ねるらしい。


”ヴゥゥゥゥゥン”という低い音が鳴り響く。

その後は、思いのほか静かに水中へと潜っていく。

窓の外が、水しぶきと泡で真っ白に染まり始める。


「電気駆動だから、静音性が売りなの。だから、映画みたいな轟音は響かないわ」


わたしは、再び透明さを取り戻した窓から水面を見上げる。


瞬間、思わず声を上げそうになった。

頭部が四角い、異形のサメが、こちらを見下ろしていたのだ。


「サメの女王、ハンマーヘッドシャークよ」


挿絵(By みてみん)

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