トール④
ボクは頭を掻きむしりながら1つの希望にかけることにした。
ちょうどその時にドアを叩く音が聞こえた。
「よぅ。。。」
元気の無いトールだった。
頭がないのに天秤にかけていたんだろう。
「我は動かない。それで大多数が助かるなら。。。」
その決意の籠った声にボクは唯一の希望を心に秘めて笑顔をトールに向ける。
「分かったなら、隠密を使い全ての民を正午までにココへ。トールは見晴らしの良いところでココをその時がくるまで防衛」
「その時とは?」
「すぐに分かるよ」
「。。。???」
困惑するトールを放置して話を進める。
「5ヶ所のうち4ヶ所は冒険者含めて30の部隊で襲う。制圧後は広場に向けて集まる」
「ほう?」
「ボクはココに部隊10を率いて攻め混む」
「!?」
バカなのに気付いたかな?
本拠地はボクが示した場所だ。
『誰も死なせない』
「勝算はあるのか?」
冷たく戦バカの口から出る。
ボクは心を冷やしながら満面の笑顔でトールに向ける。
「勝算が無くこんな無謀はしない。これでもボクはトールの戦友だよ?」
「。。。」
「これしか方法が無いんだ」
ボクの言葉にトールは冷たい表情をしながら歯軋りして頷いた。
たった一言「死ぬな」と言い残して部屋を出た。
冒険者の中にも裏切り者が居るかもしれない。
ボクは他の4パーティーに重要な騎士団を配置し残り物をボクの所に置いた。
戦略的には最弱かもしれないがやりようはある。
準備の宴が始まり、明日の勝戦会を身なの胸に抱かせていた。
常勝の神がいる。と言う史実だけで、、、
肆
ボクは目的の地の坑道の入り口にいる。
「これから君達には戦闘を極力禁止する。君達が無事ならトールの手助けになる。ただボクが瀕死になり、相手も瀕死なら止めを差してくれ」
ボクは近衛兵と冒険者に伝えた。
近衛兵は黙って頷き、冒険者はこれは楽な場所に移動したとニタニタ笑っている。
『ココまでは予定どおり、予想外はこれから』
ボクは生唾を飲み込むと坑道を進んでいった。
トラップについては誰かを見捨てること無く再三の注意や庇う行動を取りにながら進んだ。
そのおかげか、お人好しが集まったのか全員がボクを信じるようになっている。
魔方陣の中心でボツボツと詠唱している男性が見える広間が見えてきた。
ボクは全員に制止をかけて、一人一人目を向けた。
全員が頷くのを待ってから煙玉を魔法使いに向かって投げつけ、駆け出した。
魔方陣を消すように小太刀で印を消しながら魔法使いに蹴りを出した。
第1の目標魔方陣の破壊は完了したが、男はローブを叩くと倒れること無く事に向き直った。
煙の中、見ることも出来ないのに、、、
「私の邪魔をするのは誰です?腐ったこの街も浄化してあげようと思ったのに。。。」
口上を聞く必要はない。
ボクは石を横に投げつけ、煙の動きを作った。
「そこだ!」
男が魔法を石に向かって放とうとしようとしてた。
ボクはその動作の気配を感じで駆け出した。
小太刀で男を切ろうとするが杖でガードをされてしまった。
「こう言う小賢しいのもなれてましてね?」
ボクは拮抗する武器を舌打ちしながら少し離れた。
「1人とかトールにも舐められましたね。以前は数十人の討伐隊が来たのにねぇ」
ボクは力量を見極めない。
トールならこんな小物は一撃だ。
つまりそれ以上の、、、やはり。
「アナタの首を持っていけばあの傲慢の王様きどりも少しは反省するでしょう」
「そう?君ごときボク1人で十分だよ」
狂った含み笑いをしながら近付いてくる男にボクは余裕を示した。
部隊は既に臨戦態勢でいつ飛び出してもおかしくない状況を我慢してくれてる。
トールは良い教育をしてる。
ボクは火炎瓶を男に投げると同時に飛び出した。
幾重の剣と杖の混じり合いが重なり仲間と反対に敵対するようになった。
息切れしてるボクはより殺意を男に飛ばことしか出来なかった。
「よくここまで粘りましたね。私の最大の呪文でアナタを葬ってあげましょう」
男が詠唱を始めると同時に通路から10名の兵士の刺突が男を貫いた。
「どこに。。。」
男はそれを言い残すと崩れ落ちた。
『ボクはまた勝てなかった』
「大丈夫ですか!」
10数名の口の端から血を流した後を確認しながらボクは気力を振り絞った。
まだ終わりじゃない。
まだ、負けてない。
「早くトールの元へ。最悪、呪文が完成してるかもしれない」
ボクを見つめながら全員が奥の出口を目指して走り始めた。
ボクも行かなくては、、、
伍
外は想像以上だった。
出入り口が無事だったのが奇跡な位荒れていた。
「がははは!」
大蛇に雷を帯びた槌を振り回すトールが領主館を背に守っている。
ボクは小太刀を杖にして1歩でも早く戦火へと歩みだした。
歩く旅に見知らぬ冒険者や衛兵の横たわる姿が目に見えた。
『すまない』
今は祈る事は出来ない事を心の中で謝罪し一歩一歩近付いた。
大蛇に立ち向かえてるのはやはり、トール1人しか居なかった。
先程のメンバーも家の壁に埋め込まれて伸びていた。
「よぉ!古き親友!無事だったか!」
大蛇の攻撃をいなしながら攻撃を咥えるトールは世間話をするように話しかけてきている。
トールの鎧は半壊しほぼ、無防備な状態で戦っている。
「無事だから!戦闘に専念しろ!後35秒で魔法は解けてソイツは消える」
ボクは痛む肺から声を振り絞るとトールはにっこりと笑った。
「おぅ!」
トールは大蛇の突撃を交わして槌を大蛇に叩き付ける。
このまま行けば勝てる!そう思ったのが行けなかったのだろうか?
トールの攻撃に合わせて大蛇は胴体を地鳴りをあげながらトールに向けて当てに来ている。
ボクは走った。
痛む身体は感じなかったトールの横につくと小太刀で胴体を受け止めていた。
「。。。っく」
ボクは吹き飛ばされないように押さえ込み胴体は止まった。
「やっぱり。。。お前はスゴいな。。。」
トールの伸ばした手がボクを支えていた。
振り返ると大蛇の頭蓋を槌が粉砕しその口から毒液を全身に帯びてるトールの姿があった。
トールは何事も無いように領主館へ向けて1歩ずつ歩く。
「がははは!俺は守れたぞ!」
トールだったモノは9歩目で倒れて息を引き取った。
その後、領内は大変だったらしい。
『後少しがどうしても足りない。。。』
ボクはまた、勝てなかったことを心にチクりとしながら街を出た。




