死に損ない⑤
街の明かりは消え、夜の暗闇が支配する時間が訪れた。
ボクは黒いマントに身を包み城門の様子を見に行った。
城門が閉まっていた。
「。。。」
明日に回すのは危険であるのをボクは理解した。
閉めてなかった城門が閉まっていると言うことは考えられる想定は2つ、、、
1つは入国検査が終わり夜間のみ閉門するようになった。
もしくは、今後は内部摘発するため内部から住民等を出さないための行為。
前者の可能性はあり得るけど、、、後者の場合は動けなくなる。
準備は足りてないかも知れない。
結局武器を入れた荷馬車を見つけることは出来ず、代用の武器は販売して貰えず出来たのは煙玉や毒玉等、小細工に使う為のアイテムしか作れなかった。
「。。。」
出来無いそれは分かってる。
それでも、、、
「ガリっ。。。」
ボクは奥歯を噛み締め王城へと歩みを進めた。
ボクの復讐心が歩みを進める。
肆
王城への門の前には松明に照らされた兵士が2人槍を構えているのが見えた。
ボクからは視認できるが、暗闇にまみれているボクの事は兵士から視認が出来てないようで緊張感が無いように感じた。
ボクは小太刀を抜き身にし刀身をマントの中で背中に隠し1歩1歩自然な動きで門へと階段を登った。
「!?止まれ!!何用だ!」
兵士はボクの間合いに入ってやっと気付いた。
槍を向ける右の兵士に駆け寄り、首を勢いよく切り落とすとその勢いのまま左の兵士の胸を突き刺した。
一瞬の攻撃で兵士は動かなくなった。
ボクは兵士を松明から少しはなれた階段に座らせると兵士が持ってた槍で倒れないように細工をし兵舎へと向かった。
兵舎は合計2棟作りの長屋だった。
台を使い高いところにある窓から中を確認すると兵士がすし詰めで寝ているのが確認取れた。
2棟ともそうであることを確認して、ボクは出入り口が開かないように扉に重石を置いた。
2棟とも置けたら、数少ない毒玉を部屋の中にそっと落とし起動した。
毒玉からは煙は出ず、空気よりも重い毒素はじっくりと兵士達の命を刈り取ろうとしている。
ボクは2棟共に同様の細工をしてから王城内部へと入り、全てのドアを開けて生きている者を切り殺して行った。
それがメイドやコック、執事等非戦闘員でも子供や老人等関係なく、、、
返り血と鉄で死臭の臭いをさせながら王族が眠る部屋へと向かった。
王以外は生かす意味が無いので皇太子や妃は殺した。
王場内がこう言う状態にも関わらず王は寝ている。
どこまでも神経が図太いのだろう。
ボクは王の手足を拘束し、王城の門を閉じた。
その後、武器庫から無数の矢と弓を何張かと油袋と松明を王のベランダに用意をした。
乾いた夜風が吹いていた。
星空も無くどんよりとはしているが、雨が降りそうではない。
コレから行う行為は正義ではない、、、
ボクは矢に油袋をいくつか矢につけていく。
コレから行う行為は鬼の所業、、、
ボクは油袋が付いた矢を街に向けて弓を引いた。
油袋を半分射ち尽くすと反対側に周り残りも射ち始めた。
全てを射ち終わるとボクは紋章を握りしめ、胸にしまうと矢に火を移しそのまま街に放ち続けた。
何発も何発も放ち、無数にあった矢は半分近くになってしまった。
街を見下ろすと阿鼻叫喚の景色が広がり、火は家屋を燃やし、予め射っておいた油袋に着火すると更に勢いを増していく。
城壁に居たであろう兵士達は民の安全を守るために救助をするため行動し王城へと向かってきている。
ボクは弓を長弓に代え、松明を消した。
射程の範囲にきた人を人であろうと兵士であろうと射抜き続けた。
街を燃やす炎によって明るく照らされる人々は狙いやすく。
ボクは無表情でただ、作業をするように弓を引き矢を放ち続けた。
「おっ王様!どうしてこのような事を!」
どこからか聞こえた声にボクは笑いを堪えた。
確かに矢は1本ずつ王の部屋から放たれている。
それで勘違いしたのだろう。
燃え盛る炎と黒煙が落ち着きを取り戻す頃には朝日が街を照らし始めている。
ボクは城壁へと弓と矢も背負い向かった。
道中燃えてない所は無かった。
生命を感じることも無かった。
城壁の内部を隈無く探すと生きて隠れている兵士が何人か居たが、処理を続けた。
城壁の処理を終えると入り口も固く閉じて進入が出来ないようにしておいた。
城壁が終わるとボクは馬を探し街中に生きている探した。
隈無く、執拗に、たった1つも見落としが無いように丁寧に探して殺した。
何度も何度も街中を駆けて行き、日がくれてから王へと歩みを向けた。
「キサマ!!こんなことをしてただで済むと思うのか!!今に我が国の衛兵がキサマを」
「うるさいなぁ」
ボクは乱雑に王だった者を蹴り飛ばし髪を掴んでベランダへと引き摺り、眼下に広がる街並みを見せ付けた。
「え、あ、なっ。。。」
どうやら理解が追い付いて無いみたいだ。
「キミの部下も民も息している者はどこにも居ない」
放心している王に向かいボクは冷たく事実を告げた。
「あり得ぬ!あり得ぬ!あり得ぬ!」
「199の兵の死はこの国の主力を著しい削ぎ落とした」
「だからと言って!兵士の補充もしたのだ!こんな1夜で!」
「練度の足りない兵士を単独で相手するなんて造作もない。緊急時の対応についても指揮出来る者は先の進撃で死んだのだろう」
「ぐっ!。。。悪魔め」
ボクは王に矢じりを王に向かって何矢も射し込んでゆっくりと命を奪っていった。
『たった1人でも生かすと憎悪は国を殺す。。。だから、街を焼き全ての命を奪った。それを後悔はしていない。悪魔と呼ばれようとも。。。』
命を無くした王の近くに弓矢を置いてボクは旅の支度を軽くすると城壁からロープを使い降り、ロープを巻き取った。
『また死に損なったボクはコレからどうしたら。。。』
宛もなくボクは歩きだした。




