死に損ない①
ボクは意識を取り戻すと見慣れた自室の天井を見上げていた。
身体を少し動かすだけでも手足から激痛が駆け巡った。
「。。。くっ」
思わず声を出そうになるのを我慢した。
首だけを回し辺りを見回すとズボラなボクの部屋とは思えないほど整理整頓されている。
廊下からも足音が聞こえる。
『昨日までのは悪夢だったのか。。。』
ボクは一瞬そんな期待が過ったが、すぐに手足の痛みが現実であり、脳内にフラッシュバックされる爆音、爆炎と火薬の匂いが妄想でないと意識させてくる。
ボクの目から涙が自然と流れた、、、
痛みからではない、、、
涙は止まる事なくボクの頬を伝い続けている。
「うっ。うっ。。。」
嗚咽が自然と流れてきた。
痛む腕を目の上に乗せて、散っていた仲間の顔を思い出してはもっと良い策が無かったのかと後悔と懺悔が押し寄せて来る。
『ボクはどうして。。。』
考えが袋小路を彷徨っている中、コンコンと乾いたノックの音が聞こえた。
ボクは痛みを我慢してすぐに涙を拭うと「どうぞ」とドアの向こうの人物に声をかけた。
「起きていたのですね」
ドアが開くとシギョンがボクの部屋に入ってきた。
シギョンはボクのベッドの近くにある椅子に腰掛けると苦虫を噛み潰した表情を一瞬だけして、笑顔を向けてきた。
「アナタはいつも苦しみを選びますね」
「。。。」
「兵士との距離感を守りなさいと何度も言ってるでしょ?」
「。。。」
「アナタは優しすぎるのです。アナタが全てを抱える必要など無いのに。。。」
平静を装うシギョンの声の奥から悲しみを感じる、、、
「それでも。。。ボクは。。。」
シギョンはボクの消え入りそうな声を聞きながら深いため息をついた。
「調子はどうですか?」
「両手両足の裂傷。全身の筋肉痛。至っていつも通りの戦後だね」
ボクはヘラヘラしながらシギョンに笑顔を向けた。
「嘘つき。。。」
何かをシギョンが言った気がする。
脳が内容の処理において無いようでボクは疑問の表情をした。
「その調子なら明日受勲式を行えそうですね」
「罰ではなく?」
「アナタはこの7日間防衛戦と言う戦争で敵国を1人も私達の王都に踏み入れることは無かったのです。それは異常であり偉業です」
「そんな大した事ではないよ。。。」
ボクは少し俯いて思わず呟いたが、すぐに顔を上げてシギョンに笑顔を向けた。
「。。。王に報告しますが恐らく明日の朝に受勲式は行われます」
シギョンの表情は何かを隠しているがそれを表に出さないように無表情になっている。
「分かった」
ボクもまた、表情を隠しシギョンに笑顔を向けた。
「。。。それでは私は業務に戻ります」
シギョンはそう言うとボクの部屋を出ていた。
シギョンが出てから少し時間をおいてボクは痛む腕を振り上げベッドに叩き付けた。
「うわぁー!!!!」
ボクの叫びは誰かに聞こえたかも知れない。
それでも感情が、、、
心が、、、
ボクの声となって溢れ出た。
『偉大な事なんて何もしてない!!!ボクはただ仲間を見殺しにして!!!ただ死に損なっただけだ!!!』
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