シギョン⑤
「あっあー」
陽が上りボクは声がきちんと出るか確認した。
問題は無さそう。
ボクは勇み足でシギョンを探した。
たった1つの策略を手に持って、、、
謁見の間を開けると玉座にシギョンは座っていた。
ボクは方膝をついてシギョンを見つめた。
「ひどい顔ですね。しかし、何か思い付いたのですね。常勝の神」
シギョンはゆっくりとボクに近付いて来る。
ボクは軽く頷き、シギョンに作戦を説明した。
その1、王都への支援のため兵を既に出していること。
その2、王城の回りを囲むように複数個の落とし穴を作り、その土を城門が開かないように重石とすること。
その3、城壁の上に盾兵と弓兵を配置し迫り来る敵国の兵を可能な限り制圧する
王都からの応援が来ればさすがの敵国も引かざる終えない状況になるだろう。
「う~ん。。。」
シギョンは唸っている。
「コレしか方法はなかった」
「。。。分かりました。アナタの案に賛同します。国民も総動員でコレから作業に移りましょう」
そのまま国内放送をするとシギョンの一言で国家全体が震えた。
ボクは戦の準備をこっそりと始めた。
肆
夕暮れ、落とし穴の作業も完了した場外にボクは弓と矢を整えて森を見据えていた。
隠された任務それは。。。
それはボク1人で総大将や指揮官を暗殺する事。
上手く行けば誰も死なない。
上手く行かなくても王都からの援軍が来る時間を稼げる。
シギョンの指揮の下の防衛能力ならそこから1週間は誰も死なずに耐えられる。
『ボクの死に場所がやっと。。。』
ボクは森の入り口の大木に昇ると太い枝の反発と跳躍力を活かして次の枝へ。その加重を更にバネに次へ、、、次へと索敵を開始する。
しばらく索敵をしていると敵国の軍団の先頭が見えた。
重甲冑を着こんだ警備の厚い騎兵が一団の少し後ろにいる。
ボクは様子を見ていたが、アレは将であり、要ではない。
そう思いそのまま舞台の後部へと駆けていった。
夕闇になり、部隊は夜営の準備を始めている。
『見付けた』
一際大きな夜営テントに先程の重甲冑騎兵が馬の上で寝ている。
王族か、、、指揮官、、、どちらかがいる。
ボクは双眼鏡でテントを見つめた。
夜明けの朝陽が昇る頃、ターゲットは出てきた。
きらびやかな、とても戦場に赴く佇まいでない彼に弓を構えた。
矢じりに即効性の毒を滴られせて身体全身を使い弦を引いて頭部を狙い豪弓を放った。
風切り音を置き去りにしながらそれはターゲットの頭部を見事に貫き粉砕した。
『豪弓は弓へのダメージもスゴい2度は打てないが当たって良かった。。。』
ボクはすぐに木の後ろの枝に身を翻した。
その瞬間、動揺の中矢が先程の居たボクの位置に複数飛んできていた。
『第二段階は完了。。。』
ボクは木から少し顔を出して様子を伺った。
兵士達は動揺している、、、
だけど進軍の勢いの意思が衰えてない、、、
『。。。』
ボクは更に敵情を索敵に徹したいが移動しないと居場所がバレる。
第2矢は乱射の如く周辺をまんべんなく矢が雨のように振ってきた。
ボクは鳥が羽ばたく好機を逃さず、奥へと木を飛び越えて行った。
先程まで居た場所にやはり騎兵が巡回している。
一手のミスが作戦の失敗になる。
ボクは再び敵国の兵の動きを見た。
先程、射ぬいた者の所に号泣している初老が居る。
ボクは爆薬包みのついた矢と毒矢を手に持ち初老に構えた。
『王子だったのかな?でも、あの表情は親類だ。。。』
包みに火をつけると初老に狙いを定めて放った。
続けて1番近くの兵士が防ぐのを予想して逃げ先に初老の足元を目掛けて矢を放ち移動をした。
爆音と共に火炎が森を焼く。
移動した先で初老の確認をした。
どうやら予想通り近くの兵士が初老を庇ったが初老にはボクの調合した毒矢が背中に刺さっていた。
ボクはその確認をすると鳥の羽ばたき音と共に森の入り口へと駆けていった。
馬の怒号が近付いて来ているが森は一直線で進めないはず。。。
森を抜けて城門まで向かって走った。
『やったんだ!初めてのボクの勝利を掴めたんだ』
ボクはそんな能天気な事を考えていたらシギョンが城門前で仁王立ちしていた。
城門にたどり着くとシギョンから叩かれた。
「何が策略ですか!こんなに危険な行動のどこか策略ですか!私達をなぜ頼ってくれなかったんですか!?」
涙を浮かべながらシギョンは言葉は早にボクを叱責している。
『それでもボクは初めて勝てたんだ』
ボクは甘かった、、、
油断していた。
森から1頭の馬が飛び出すとボクに向けて進みながら弓を引いている。
それに気付いた時には視界は闇に包まれて居た。
シギョンがボクを覆うように庇っていんだ。
「ぅ。。うわぁー!!!!」
ボクは弦を限界まで引っ張り敵将目掛けて矢を放った。
頭部に当たったソレは馬から崩れ落ちて馬は落とし穴にはまって死んでしまった。
ボクは急いでシギョンの状況を確認した。
背中に痛々しく矢を生やしていた。
「早く医師をココに!!!」
ボクは何も考えずに兵士達に向かって叫んだ。
「全く。。。いつも、無理ばかり。。。」
か細い声、、、優しい声、、、思いやりの声がシギョンから聞こえる。
「大丈夫。。。大丈夫。。。絶対助かる」
ボクはシギョンを抱き締めながら涙を堪えて声を振り絞った。
「良いの。。。です。私は、偉大な。。。常勝の神と。。。民を守れたのです」
「そんなこと無い!ボクを見捨てれば良かったんだ!」
「ふふふ。。。出来ませんよ。。。アナタの救いを。。。待ってる人は多数いるんで。。か。。ら」
シギョンは微笑みながら身体を脱力させた。
ボクは冷たくなり始める彼女を抱き締めて温もりが抜けないようにする事しか出来なかった。
城門を封じた結果遠回りで梯子を降りてきた医師達は絶望の表情をしながらシギョンの治療を始めた。
ボクはそのまま何故か歩き出した。。。
遠くで平原を駆ける軍馬の音が聞こえた。。。




