ヘル①
リハビリスナック小説
『今日も勝てなかった』
ボクは夕暮れが過ぎ闇に包まれそうになった空を見ながら小さく思った。
『それでも、、、』
ボクは目から零れそうになる涙を拭いながら声にならない声を出した
全てが始まったのは1日前、、、
壱
長旅の末、ボクは集落へやっとついた。
ボクは中に入る前に近くの川で身だしなみを整えた。
川で身体を清め、ボロボロの衣服から前の町で買った衣服に着替える。
準備が出来るまでそう時間は掛からなかった。
ボクは門兵の所に向かい始めた。
「何ようだ!」
『殺気を感じる』
ボクは出来るだけ笑顔で旅人であることを伝えた。
「。。。早く通り過ぎなさい。今は歓迎できない」
どこか苦しそうに門兵は忠告をしながら、ボクを通してくれた。
集落に活気はなかった。
全体的に悲痛感が感じられた。
『何かあったのかな?』
ボクは旅のための補給を済ませているが明らかに明日が来ないと言う感じを感じる対応や値段で販売している。
そんな中、目線の先で歓声が起きているのを感じた。
『なんだ?』
ボクは野次馬根性で歓声が集まる所へ向かった。
そこに居たのは騎乗した美人の女性が集落の人に手を振っていた。
『???』
なんなんだろうと言う感情がボクの中を駆け巡った。
「ヘル様!本日も巡回ありがとうございます」
「守り神ヘル様」
「ヘル様」
集落の人々は美人をヘル様と呼び希望の眼差しを向けている。
ヘルはそんな集落の人々に笑顔を向けながら手を振っている。
どこか無理してるようなそんな印象を受けた。
『この集落の英雄か何かな?』
ボクは心臓を冷やしながら声援を聞いていた。
そんな状況にヘルが気付いたようでボクに向かって馬を進めている。
逃げることも出来るが、それをする意味を、、、メリットを感じられなかった。
「やぁ。旅人さんかな?この町はあまり芳しくなくてね。すぐにでも出た方が良い」
悲しそうに笑いながらヘルは明るくボクに話しかけてきた。
「何かあるの?」
ボクはそんなヘルに疑問を投げ掛ける。
「。。。」
無言で踵を返してしまった。
『英雄と言うのはどうしてそうなのだろうか?』
ボクはヘルのか細く感じる背中を見詰めながら過去の英雄達に想いを馳せていた。
弐
夜になり酒場へと向かった。
買い物が思ったより長くなり、保存食の買い物が今になったのだ。
ボクはマスターに保存食を10日分依頼をして出来上がるのを待っている。
「。。。やはりくるのか?」
「。。。来るだろ」
「。。。アイツ等!」
「。。。それでもヘル様が居れば」
聞きたくないことでもお酒が回った人達の話しは聞こえてくる。
『どうやら集落に害意を持っているナニカが近日中に襲ってくるのだろ。
それでもボクには関係の無いことだ。
明日にはこの集落を旅立とう。』
そんなことを考えながら出来上がった保存食を外気で冷やしながら集落を散策してた。
夜とは言え、この集落が優しさや思いのつまった良い集落であるのは家から漏れ聞こえる声で感じ取れた。
「やっと見つけました。常勝の神」
嫌なあだ名で呼ぶ声に振り替えると昼に出会ったヘルがそこに息を切らして立っている。
「ボクに何か用?」
ボクは出来るだけ突き放すようにヘルに声をかけた。
『もう。。。』
「どうか!お力添えを願いたい」
ヘルは呼吸を整えると視線をまっすぐにボクに向けて見据えている。
「私達は今、獣の群れにいつ襲われてもおかしくない状況であるのですが、先週このような手紙が。。。」
ヘルは1通の手紙をボクに見せてきた。
内容は来週、、、つまり、明日村を襲撃する。血を流したくなければ全てを文字通り差し出し奴隷になれと簡略的に言えばそう言うことだった。
あまりの理不尽な内容にヘルへ顔を向ける。
ヘルは悲しそうな諦めている表情を向けている。
「戦えるのは私含めて10人。それで集落を守れる自信はありません。どうか常勝の神の力をお貸しください」
きっとプライドも高く、気高さを持って守っているのを雰囲気で感じる。
そんな彼女ヘルが土下座をしている。
『ボクはまた。。。』
「頭上げなよ。最善は尽くすけどするかは君達が決めること。それでも良いなら兵舎へ連れていって」
ため息を吐きながら言うと彼女はボクの両手を握って感謝の意を示した。




