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混沌戦士サソリちゃん -説教されるの大嫌い-  作者: ハレルヤ/TOKYO SICKS


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Chapter 33 『The Eye Reborn ― 再感染 ―』





挿絵(By みてみん)


















光が、ほどけていく。

昨日まで、この世界を、まるで神経線維のように、きつく、きつく縫い合わせていた、無数の“光の糸”が、











夜明けの風に解かれるように、ゆっくりと、静かに、消えていった。










かつての叫び、怒り、そして、痛み。

その全てが、この、新しく生まれた世界の、絶対的な沈黙の中に、溶けていく。





その中心で、冥子は、ただ、静かに立っていた。



彼女の髪の炎は、もう、世界を焼き尽くそうとは、吠えていなかった。

代わりに、まるで、祈りを捧げる蝋燭の灯のように、静かに、穏やかに、“呼吸”していた。







黒いレースの裾が、ひらめくたびに、

光の粒が、きらきらと、舞い上がる。

それは、彼女が壊した、旧世界の残骸であり、

そして、この新しい世界が、彼女に与えた、最初の“赦し”でもあった。









「……終わったの?」








冥子の声は、小さかった。

けれど、その、あまりにも静かな声は、

この世界の、全ての喧騒を、永遠に消し去ってしまうほどの、力を持っていた。










世界の空気が、その声に、一瞬だけ、息を呑む。

宙を舞っていた、花の幻影が、ゆっくりと、その動きを止める。

どの色も、生まれたばかりの、朝露に濡れた光のように、鮮やかだった。







「芽衣子の痛みは、あたしが、全部引き受けた。

だから、もう、誰も――観測されなくていい」








その、あまりにも優しい宣告に、呼応するように。

遠く、地平線の彼方で、音のない、白い雷鳴が、一度だけ、鳴った。








イズナは、瓦礫の影で、ゆっくりと、目を開ける。








挿絵(By みてみん)









その、完璧だったはずの瞳に映る冥子は、もはや、破壊すべき敵ではなかった。

それは、理解を超えた、ただ、圧倒的に、美しい“現象”だった。










「……冥子。あなたは、一体、何に、なったの…?」









冥子が、微笑む。

髪の炎が、柔らかく光り、その光が、宙に舞う、花の残響を、優しく、包み込んだ。






「――“観測の、その終わり”を、ただ、美しくするもの」








その言葉を合図に、世界は、もう一度、その鼓動を、ゆっくりと、しかし、確かに、再開する。

そして、その、新しい静寂の奥で、

“The Eye”――観測者の瞳が、再び、静かに、開いた。









空が、白い。

焼け落ちた、雲の断片が、まるで、桜の花びらのように、静かに、漂っている。

風の中に、もう、鉄と血の匂いはない。

ただ、冥子と、イズナの、二つの呼吸だけが、この世界の、新たなビートを、刻んでいた。






「……まだ、立つのね」






冥子が、ゆっくりと、ジザニオンを持ち直す。

その穂先で燃える緑の炎が、静かに、宙に舞う花の残光を、照らし出した。






「私が、壊した、この世界を、

あなたは見届けなければ、気が済まない、というわけか」








「いいえ」






イズナの掌に、青い光の粒子が、まるで蛍のように、集まってくる。

それは、彼女の、テレキネシスの、最後の残滓。






挿絵(By みてみん)






壊れたはずの、コードの欠片が、彼女の、決して折れない意志を、媒介にして、ゆっくりと、再構築されていく。









「観測は、まだ、私の中に、残っているから」













――観測不能の世界で、最後の観測者が、再起動する。






風が、動いた。

冥子が、まるで舞うように、踏み込む。

黒いレースの裾が、巨大な花弁のように舞い、緑色の軌跡が、白い空を、美しく、裂いた。






槍が、風を切る。

そのたびに、光が咲き、影が散る。

その音は、もはや轟音ではない。まるで、遠い神社の、鈴の音のように、どこまでも、澄み渡っていた。









イズナの足元から、青い光の柱が、オーロラのように、立ち上る。

空間の、見えない線を、瞬時に読み取り、

冥子の、神速の一撃を、その“座標ごと、この世界から消去する”という、究極の防御。







「……コードは、死んでいなかったのね」







「死なせません。

この意志がある限り、観測は、決して、死なない」






槍と、光が、ぶつかる。

だが、衝撃音は、ない。

ただ、視界が、真っ白に、開ける。

緑と、青の、美しい残光が、混ざり合い、

そこに、今まで誰も見たことのない、新しい“白”が、生まれた。












――この、戦いは、あまりにも、美しい。




冥子が、満足そうに、目を細める。



「……いいね、その目」






イズナが、静かに、微笑む。






「あなたの炎も、決して、悪くはありません」








挿絵(By みてみん)








二人の瞳が、重なる。

その瞬間、世界の時間が、ほんの一拍だけ、止まる。





槍が、閃き、

光が、応える。




空気が、甘い、花の香りで満たされ、

二人が、切り裂いた風の跡が、まるで、虹色のように、光った。












「これで、終わりにしましょう」












イズナの声が、決意に、震える。












「終わりじゃない。

始まりを、ただ、美しくするだけ」






冥子の槍が、大きく、旋回する。

緑の炎が、巨大な円を描き、

その円の中で、

世界が――“再び、開眼”した。










光と、炎が、重なり合い、

空間そのものが、一つの、巨大な心臓のように、鼓動している。

冥子の、燃える髪が、大気を切り裂き、

イズナの、完璧な瞳が、その、予測不能な軌跡を、必死に読み解いていく。





挿絵(By みてみん)






「なぜ、壊すのですか?」







イズナの声は、もはや問いではなく、静かな、しかし、燃えるような祈りだった。








「壊すんじゃない」







冥子の槍が、閃く。

緑色の火線が、この新しい世界の、中心を、貫いた。







「“観測”が、もう、限界だからだよ。

誰も、本当は見られたくないのに、

見られ続け、評価され続ける、この世界が――ただ、可哀想でしょ?」






光の糸が、弾ける。

空間の、その構造そのものが、悲鳴を上げる。






イズナが、叫ぶ。


「それでも、見たいものがある!

痛みを超えた、その先にしか、残らないものが、あるはずです!」










彼女の周囲に、テレキネシスの輪が、再び展開する。

無数の、青い光の文字列が、虚空に浮かび上がり、

あの、崩壊したはずの“諸行無常コード”が、彼女の、決して折れない意志によって、再び、その形を、取り戻していく。






「見ることが、罪だというのなら、

“理解”しようとすることは、どうなるのですか?」










「理解は――」








冥子の声が、割れた。

緑の炎が、彼女の足元から、激しく、噴き上がる。








「……魂への、拷問だよ」








ジザニオンの槍と、再構築された光の法陣が、ぶつかる。

世界が、割れ、時間が、反転する。

花の残響が、宙に舞い、

二人の、その、あまりにも美しく、あまりにも激しい軌跡が、一つの、巨大な“光の曼荼羅”を、空中に描き出した。








――激しいのに、美しい。

――破壊なのに、調和している。









「反町冥子!」







イズナが、叫ぶ。









「あなたは、人間を捨てたのではない!

人間の方が、あなたという、あまりにも純粋な感情を、見失ってしまっただけです!」








冥子が、息を呑む。

その、あまりにも優しく、あまりにも真実な“観測”に、

彼女の髪の炎が、一瞬だけ、純粋な、白い光となって、静止した。










「……そんな、優しい観測は、久しぶりに、聞いた」







緑の炎が、笑う。

イズナの、青い光が、それに応える。










ジザニオンの槍が、大きく、旋回し、

テレキネシスの光が、それを追いかけるように、美しい軌跡を引く。

光と、炎が、もはや敵対することなく、互いを高め合うように、交差し、

世界の地平が、まるで、巨大な、白い花のように、ゆっくりと、開いていった。











――彼女たちは、まだ、戦っていた。

けれど、その戦いは、もはや、憎しみに満ちた“破壊”ではなかった。






それは、互いの孤独を、互いの存在を、認め合うための、“理解の、衝突”だった。






緑と、青の、美しい軌跡が、ゆっくりと、一つの、純粋な“白”へと、融け合っていく。










「……見える?」






「……ええ。今だけは、はっきりと」







ジザニオンの槍が、ゆっくりと、イズナの、光でできた胸を、貫いた。








だが、血は、流れなかった。

ただ、世界が、静かに、どこまでも、白く、光った。










挿絵(By みてみん)












――The Eye is reborn.

(その瞳は、再生する)

その瞬間、全ての“観測”が消え、

全く新しい、“見る”という概念が、この世界に、生まれた。








緑炎がうねる。

空気が震え、時間の層が崩れる。







冥子の手に握られたジザニオンが、

ゆっくりと光を帯びはじめた。





「……やっぱり、これしかないんだね。」





槍の刃が、

空気中の“言葉”を一つひとつ削ぎ落としていく。






イズナのテレキネシスが交差する。

青い防御陣が何層にも重なり、

世界の数式が盾となって冥子を拒む。






だが冥子は止まらない。

彼女の周囲に、花びらのような光の断片が舞った。






それは崩壊した観測の記録。

無数の「見ることができなかった世界たち」。






その全てを背負い、

冥子が前へ踏み出す。








「――観測は、痛みだ。

 でもその痛みは、誰かの“希望”でもあった。」







炎が膨張する。

緑光が走り、世界が一瞬――静止。





その静寂の中で、

冥子は囁いた。






「……芽衣子、見てて。」






次の瞬間、

ジザニオンは、もはやイズナではなく、“この世界そのもの”を、突き抜けた。







その刃が、イズナの光でできた胸元に届く、その、ほんの僅か前に。

彼女の背後に広がっていた、あの、無限に続くかと思われた“観測の壁”を、その根源から、貫いていたのだ。














「――ッ!」












イズナの声が、光となって、爆ぜる。

そして、その光は、奔流となって、逆流した。









世界の、構造式が、完全に、崩壊する。

完璧だったはずの、レイナの数式の列が、美しい火花のように弾け、

青と、緑の残光が、最後の曼荼羅のように、渦を巻いて、消えていく。









ジザニオンの、その血のように赤い刃先から、

一滴だけ、“黒い光”が、滴り落ちた。

それは、血ではない。それは、この世界に溜まっていた、全ての“観測のエラー”、そのものだった。








「ねえ、イズナ」







冥子は、初めて、優しく、微笑んだ。








「この痛みが、私の、最後の言葉」








「……理解、しました」







光の粒子へと還りながら、イズナは、静かに、答えた。







「あなたは、“壊す”のでは、ないのですね。

ただ、“観測を、赦す”と、そう、言っていたのですね」








冥子の瞳が、ほんの一瞬だけ、かつての芽衣子のように、優しく、揺れる。











「そうだよ。

誰もが、本当は、見たがっていて、そして、誰もが、本当は、見られたくなかった。

だから、私は、この“見る”っていう、どうしようもない呪いを、

自分で、刺したんだ」



炎が、静まる。

ジザニオンの刃先から、

緑色の光が、まるで水のように、滲み出し、この、真っ白になった世界を、優しく、包み込んでいく。






青と、緑が、完全に、混ざり合い、

そこに、ただ、純粋な、どこまでも温かい、白が、生まれた。







――The Eye is reborn.







ジザニオンが貫いたのは、敵ではなかった。

それは、この世界の、“真理”だった。






そして、その、たった一点から、

全く新しい、誰も傷つけない“観測”が、静かに、芽吹いていく。






光が、全てを、包み込んでいた。

音も、痛みも、存在の境界線も、

全てが、その、優しい白の中に、溶けていく。






冥子は、立っていた。

その手の中にあったはずのジザニオンは、いつの間にか溶け、

緑色の光の糸となって、空へと、ゆっくりと、昇っていく。








「……終わったの?」






声が、した。

あまりにも、懐かしい、声が。




振り向くと、そこに、ヒトミが、いた。

この、真っ白な世界の中で、彼女の、その輪郭だけは、確かに、“生きた色”をしていた。






「久しぶりだね、ヒトミ」






冥子は、ほんのわずかに、はにかむように、笑った。

その表情は、もう、冥子のものではなかった。







「……ヒトミ。

あたし、ちょっと、やりすぎた、かも」






ヒトミは、静かに、首を振る。


「ううん。

あの、どうしようもない“見る”っていう呪いを、壊せたのは、世界中で、あなただけだよ」









その言葉に、冥子の髪の炎が、最後の光となって、小さく、瞬く。

それは、もう、怒りでも、狂気でもない。ただ、安らぎの火だった。






「……芽衣子の痛み、全部、赦されたのかな…」





「赦しなんて、きっと、もともと誰にもできやしない。

でも、“赦したいと、思えた”――それが、紛れもなく、あなただよ、反町さん」





冥子は、ゆっくりと、目を閉じた。

緑色の光が、彼女の身体を、優しく包み込み、

この、白い世界に、吸い込まれるように、溶けていく。







光が、静かに、消えた。





……気づくと、芽衣子は、膝をついていた。

目の前には、見慣れた、竜胆学園の、夕暮れの校庭が広がっている。

彼女の髪は、元の、美しい緑に戻り、

その手には、もう、何も握ってはいない。








空は、青く、

風は、穏やかだ。

世界が、再び、その、当たり前の呼吸を、繰り返している。






「……戻った、の…?」






芽衣子が、呆然と、空を見上げる。

そこには、心配そうに、しかし、どこか、全てを知っているかのような、優しい目で、こちらを見下ろす、ヒトミの姿があった。







「おかえり、反町さん」








その言葉に、芽衣子は、ただ、安心したように、微笑みかける。

だが――




















キィィィィィィィン。














鼓膜を、そして、魂そのものを、内側から引き裂くような、甲高いノイズが、世界に、走った。

穏やかだったはずの、青い空の端が、まるでガラスのように、パリン、と音を立てて割れ、そこから、夜の闇よりも深い“黒”が、絵の具のように、滲み出してくる。








「ヒトミ……?」






風が、変わった。

先ほどまでの、穏やかな風ではない。ざらりとした、まるで、“誰かの悪意”そのもののような感触が、二人の頬を、乱暴に撫でる。







その瞬間、

どこか、遠くで、誰かの、足音が、響いた。

一歩。






また、一歩。

その、たった一歩ごとに、せっかく元に戻ったはずの、世界の構造が、再び、ぐにゃり、と歪んでいく。







白い光は、剥がれ落ち、その下から、黒い影が、まるで病巣のように、這い上がってくる。






ヒトミの、穏やかだった表情が、凍りつく。







「……この、波長は…。うそ、まさか――」







芽衣子が、その気配に、振り向く。

遠く、地平線の彼方から、

紫と、黒の、禍々しいノイズを、オーラのように纏った、一つの影が、ゆっくりと、こちらへ、歩いてくる。








アヤネ。








だが、それは、もう、あの、ただ暴力的だっただけのアヤネでは、なかった。

その髪は、濡れたように、黒く光り、

その皮膚の下で、まるで血管のように、紫色の光線が、不気味に、脈打っている。

そして、その瞳は、致命的なノイズに焼き切れたモニターのように、白と黒の境界線を、完全に、喪失していた。







挿絵(By みてみん)










「芽衣子。お前、まだ、ギリギリ生きてるんだな」









その声は、アヤネのものだった。

だが、その響きは、もはや、人間のそれではない。

芽衣子が、震える声で、問う。









「お前……その髪、どうしたんだよ。赤髪……いや、アヤネ、どうしてここに――」






その言葉が、終わるより、早く。芽衣子が本能でジザニオンを呼ぼうとし――自分の手に、もう何の力も残されていないことを思い出した、その絶望の隙間に。空気が、爆ぜた。








ドォンッ!!









アヤネの拳が、

不可視の、しかし、絶対的な質量を持って、空間ごと、芽衣子を、吹き飛ばした。






風圧だけで、地面が、大きく抉れ、

芽衣子の身体が、まるで石ころのように、十数メートルも、無様に、滑っていく。

肩の骨が、砕け、肺から、空気が、全て、搾り出される。







ヒトミが、絶叫する。










「やめなさい、アヤネ! あなた、一体、何を――」










だが、アヤネは、振り向かない。

ただ、まっすぐに、前だけを見て、静かに、しかし、心の底から、楽しそうに、笑っていた。










「冥子が、世界を救った?

違うよ。

あれは、“救済”じゃない。ただの、“感染”だったんだ」







芽衣子が、血反吐を吐きながら、呻く。






「…感染…だと…?」






アヤネの腕から、黒い、タールのような光が、滴り落ち、大地を、ジュウ、と音を立てて焼いた。






「冥界は、消えた。

なら、あたしが――次の、冥界を、作る」






黒い閃光が、走り、

空が、完全に、裏返る。

大地が、鳴き、全ての影が、意思を持って、立ち上がる。











世界が、再び、“闇語り”を、始めたのだ。

空の裂け目から、黒い、灰のような花弁が、雪のように、降り注ぐ。

芽衣子の視界が、ぐにゃり、と歪む。







アヤネの、あの、人間離れした笑い声が、遠ざかっていく。

音が、全ての方向から、同時に、反響してくる。

そのとき、

全く、別の声が、その混沌に、混じった。






――それは、まるで、少女のような、しかし、何千年も生きた魔女のような、声だった。






「ねえ。誰が、“この世界”が、世界の全てだって、決めたの?」






ざらり、と、何かが、擦れる音。








「ほら、その、常識っていう名の、線の外を、ちょっとだけ、覗いてごらんよ。

ピエロが、自分の骨を、サイコロみたいに転がして、遊んでるのが、見えるでしょ?」









芽衣子が、思わず、耳を塞ぐ。

だが、無駄だった。その声は、頭蓋骨の中に、直接、入ってくる。






「私はねぇ、眠れないの。

夜に、羊を数えてもね、その羊が、次から次に、血を流して、死んでいくばかり。

だから、代わりに、空に浮かんでる、星を、一つずつ、舐めてるの」









ヒトミが、その声の主の正体に気づき、顔を上げる。












「……マユ…!」













声が、楽しそうに、笑った。







「ああ、ヒトミちゃん。

あなた、観測ばっかりしてるから、

その、綺麗な瞳の奥に、虫が、棲んじゃってるよ」







世界が、少しだけ、ぐらりと、傾いた。

アヤネの影が、完全に消え、

白も、黒も、全てが混ざり合って、ただの、意味のない灰色になる。










「――ねえ、わたしの名前、忘れちゃった?

マユっていうの。

蚕を育てる“繭”でもあり、人を惑わす“蠱”でもある」













背景の、全てが、笑う。










「そろそろ、わたしも、孵るから。

その、世界の、退屈な皮、ぜーんぶ、綺麗に、むいておいてね」





その言葉と、共に。

世界が、音もなく、完全に、“裏返った”。




(to be continued…)





挿絵(By みてみん)






























































挿絵(By みてみん)

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