歩兵中隊 2
序盤はマイルドです
歩兵中隊 2
隊舎の中。兵たちの静かな寝息が流れてくる。白い月明かりが、薄く開いた窓から仄かにさしこんでいた。
その暗闇の中を滑らかに動いている影がひとつ。影は大きな体を柔らかく使い、物音一つ立てない。恐ろしいほど静かだ。大型肉食獣もかくや、である。
影はマイマイの寝台に近づくと、その傍らにある、重く張った背嚢に手を伸ばした。ゆっくりと紐をひいて、慎重に開ける。静かに静かに……。これは絶対にばれてはいけない「極秘作戦」なのである。
影は上着のポケットから何かの大きな塊をとりだすと、細心の注意を払って背嚢の一番下に入れた。背嚢の中に入れる物品の位置は、事前に全て共通化して定められている。暗闇かつ他人の背嚢でも何ら問題は無い。手さぐりで、中身は全て把握できる。
無音のまま作戦を終えると、影は自分の寝台に戻った。極秘任務を果たした深い満足感と共に、明日の長距離行軍訓練に備えて眠った。
眠るのも兵士の仕事なのである。
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翌日、部隊の面々は夜中の3時に起床すると、寝台を整えた。これはもう徹底的に叩きこまれて、皆とっくの昔に癖になってしまっている。白雪姫もご多分に漏れない。
「あー、クソ…長期行軍かぁ…やだなぁ」
行軍を思うと、白雪姫は若干腐り気味である。正直、辛いのだ。仕方ないと分かっていても、嫌なものは嫌である。
「お前も体がでけぇからな。俺達には辛ぇぜ」
同僚の豆がウンザリしたように漏らす。
白雪姫も豆も隊内では図抜けて大きな方だ。でかい身体は槍を振るうのには良いが、馬に乗ったり走ったり行軍したりには向かない。中隊では持久力を重視する傾向があるので、結構つらいのだ。豆は横にも大きいので特に難儀だろうと思う。
まあ、仕方ない。走れない兵士は死んだ兵士だけなのである。これは軍曹殿の言葉なのだから、たとえそれが狂っているとしても全面的に正しい。議論の余地など無い。
「豆、膝の薬は持ったか?」
「あたぼうよ」
ボンボン中隊長に紹介してもらった膝の薬は、もはや白雪姫と豆の伴侶になりつつある。これが無ければ不安で仕方がない。逆に、これさえあれば何とかなるのだ。
「お前ら、支度は出来たか?!」
分隊長のサンマが部下の面々に声をかけた。彼は引き締まった体の男で、6名の分隊では最年長の26歳。ボンボン中隊長より年上だ。頼りになる男だが、出っ歯だけが玉に傷である。
「おう、いいぜ」
「よし、行くぞ」
サンマの号令で白雪姫はずっしりとした背嚢を背負った。負い紐が肩に食い込む。4日分の携行食料と野営具その他に加え、スコップがくくりつけられているから重くて当然だが…今日はこれを背負ったまま40サング(60キロ)近く歩くのである。普通の歩兵部隊の3倍だ。先が思いやられる。
誰にも気づかれないように小さくため息をつくと、岩塩の欠片を口に放り込んで水を飲み、白雪姫は隊舎を出た。
「せ、せいれーつ!」
ボンボン中隊長の号令で隊が整然と並ぶ。というか、初めから並んでいる。この辺りは、もう条件反射だ。みんな何も考えていないだろう。何千回と繰り返せば、どんなにバカなトリ頭だって身体に芸がしみこむもんだ。
「か、確認するぞ!き今日は北東の、ににニシーリ村まで行軍する!き距離は38サングだ!二泊して、ににニシーリ村の防備施設を拡張した後、しし周囲を哨戒して戻る。質問は?!」
質問なんて、当然無い。そんなバカなことをする奴はいるわけがないのだ。軍隊で質問なんぞ、アホの以下のクソがやる事である。そんなクソはこの中隊には居ない。
「よよよし、中隊しゅっぱーつ!」
ボンボン中隊長の掛け声を受けて、中隊はゾロゾロと歩き出した。
今日はそれほど暑くならないだろう。助かる。
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「おい聞いたか白雪姫」
「聞いてねぇよ」
分隊の仲間である鶏が白雪姫に話しかけてくる。コイツは朝の鶏のようにガチャガチャとクソうるさい奴だから、鶏と呼ばれている。
白雪姫は歩いているのだ。放っておいてもらいたい。
「軍曹殿が武術大会で優勝したらしいぜ?すげぇよな!アルバール最強だぜ?!」
「そうかい。出場なさったのか」
「セルジュ一門の代表として出なさったとさ。圧勝だったらしいぜ!その後に皇帝陛下に向けて啖呵を切ったんだとよ!」
「ふぅん」
だからどうした、って感じである。
「……お前、全然驚かねぇのな。すごくねぇか?知ってる人っつーか教官がアルバール最強なんだぜ?」
「ああ、お前らは後で入ってきたからな。軍曹殿なら当たり前だ」
そう、当たり前である。白雪姫はモングに突っ込んでいった軍曹殿を、すぐ後ろで見ていたのだ。軍曹殿は砂嵐の如くモングを打ち倒すと、その後は白雪姫に向けてニヤっと笑っておられた。あの時、白雪姫の肩におかれた軍曹殿の手の感触は、今でもしっかりと残っている。
そんな軍曹殿が負ける所など、白雪姫には想像すらつかない。彼が負けるとすれば、相手はアール軍曹殿くらいのものだろう。クソ皇帝陛下が何だと言うのだ。
「軍曹殿は、そんなにすげぇのか」
「まあ、な」
バカめ。
すげぇ、どころでは無い。正しく、真っ当に、誇り高く狂っておられるのだ。
現在、中隊内で軍曹殿の訓練を受けたメンツは83名。3名が戦死し、2名が負傷除隊した。
この分隊では、サンマ、豆、白雪姫、マイマイが軍曹殿の訓練を受けた古参にあたる。第二小隊の主力打撃分隊だから、最も強力なメンツを集めているのである。残りの二名である鶏と石は後の追加募集で入ってきた面々だ。
中隊の仲間の本名など白雪姫は覚えていない。誰も本名など呼ばないのだから、どうでもよい。
「おめぇら。食うか?」
「お?おお、食う」
歩きながら、マイマイが干しアンズを分隊の仲間に配った。コイツはそう言う所に気が効く。腹が減ってきた頃に、ちょうど良くおやつを配り始めるのは、大抵マイマイだ。
「ほれ、お返しだ」
「おう」
白雪姫は干しイチジクを数個出して、配った。サンマは干し肉を出し、豆は豆を出した。鶏は何も出さない代わりに、水をたっぷり差しだした。ケチ野郎である。まあ水は重いので、ありがたいといえばありがたい。
石が出したのは隊舎の厨房を攻撃して得た戦利品。パンだ。石のように無口で、石のように不細工な面をした、コイツの厨房攻撃能力には定評がある。その点だけでも、この中隊にはなくてはならない人物である。
他の連中も、だいたい同じような事をして食いながら歩いている。適当にだらけていないと疲れてしまうので、これでいいのだ。手を抜ける所は出来るだけ抜く、これが兵士をやるコツだ。
正午ごろに大休止が入った。30分の休みである。周囲は開けた草原だ。騎馬斥候も出しているので、襲われる心配など皆無である。こういう場所を探すのも斥候の大事な役目だ。
荷物を下ろし、靴を脱ぐ。靴は適当な時に脱いで、しっかり足を休ませなければいけない。周りの面々も同じようにしている。
「よし、飯を食え!」
そんな分隊長の命令がかかる前に、みんな食っている。火は焚かない。他の隊では戦闘行動中でも一日に二食だが、この中隊では三食。軍曹殿の残した最高の習慣がコレであると、白雪姫は確信している。
「……おい、石。ちょっと靴見せろ」
みんなしてモリモリ飯を喰っていると、突然に分隊長のサンマが石の靴を取り上げた。
「あー、バカが!何で新しい靴を履いて来た。それに、甲の革にキリで穴開けとけって言っただろうが!クソが!これじゃマメが出来ちまうぞ!」
サンマは石の坊主頭を張り飛ばした。無理もない。石がバカなのである。言われた事を守っていないだけでは無い。徹底的に大事にすべき足を軽んじている。足は歩兵の命なのだ。走れない兵士は死んだ兵士だけ…これは至言だ。
「仕方ねぇな奴だ、このボケがっ!」
悪態をつきながらサンマは持っていた細工用の小さなナイフで、器用に甲の革に穴を空けた。ここから空気が出入りして足を冷やせば、多少はマメが出来にくくなる。
「ほれっ。これで良いだろう!石、お前は帰ったら城壁30周だ!クソバカめ!」
悪態をつきながらも面倒見は良い。だからサンマは分隊長なのである。
石だって城壁を30周もすれば、二度とこんなクソな間違いはしないだろう
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目的地のニシーリ村に着くころには日が沈みかけていた。当然のごとく、門も閉まっている。
この国の村は、どんなに小さくとも壁に覆われているから、誰かが勝手に入る事など出来ぬ。もっともニシーリ村は400人程度の村だから、それほど小さくはない。壁だって4ヤル近い高さがある。
ここまで12時間以上行軍して来たのだ。白雪姫達は疲れ果てているが、誰も顔には出さない。苦しい時に苦しい顔をするのは負け犬だけだ。苦しい時にこそ、笑わねばならない。動ける限りは、根性を出せばなんでもない。根性に始まり根性に終わる。根性がすべてだ。
中隊に先立って放たれた騎兵が、ボンボン中隊長とひそひそ話をしているのが白雪姫の目に見えた、。
中隊長は無表情な顔に若干のいら立ちを込め、門を石で思い切りぶったたいて叫んだ。念の為言うと、分隊の石で叩いたわけでは無い。
「じゃ、ジャハーンギール第三兵団だ!かか開門願う!」
しばらく待っていると、見張り塔からひょろ長い男が恐る恐る顔を出して来た。
「あんたら本当け?盗賊?」
白雪姫は思った。この男は、バカだ、バカの俺が言うのだから間違い無い。盗賊が「盗賊です」など言うわけがないだろうが。
「わわ私はファルダード・ホライヤーン。わ我らは、じゃジャハーンギールの第三兵団だ。ほほら、これが身分証だ。そそ村長を呼んでこい」
ボンボン隊長は腕章と首から下げているメダルを引っ張り出して男に投げた。
男はそれをしげしげと見てからポイッと投げ返し、
「こんなのじゃわからん。あんた、どもって怪しいど。おどおどしてんのけ?ビビってんのけ?身なりも汚いし、盗賊じゃろ?」
このクソが…!!
白雪姫の頭は殆んど沸騰寸前になったが、貶されている本人であるボンボン中隊長の何食わぬ顔を見て、何とか自制心を奮い起した。いかにバカとはいえ、一応は真っ当らしき民をぶちのめすわけにはいかぬ。ああ…兵士は民に慈悲深くあらねばならぬのだ。
「そそ村長を呼んでこい」
「盗賊じゃろ?」
「いいから、そ村長を呼んでこい」
「いやじゃ。盗賊、じゃろ?」
「もも、もういい。ちゅ中隊、声を上げろ!」
「「「ホウッ!ホウッ!ホウッ!」」」
「ひぃぃぃ…」
中隊の上げる鬨の声に驚いた偉いさんが出て来て、ようやく村に入る事が出来た。
ひょろいバカ男は村長に容赦なくぶん殴られている。白雪姫にしてみれば、同情の余地は一切ない。バカは殴られないと分からない時もあると思う。バカである白雪姫自身の実体験からの考えだ。ただし、この場で最もバカなのは、あの村長だろう。間違いない。
「し食事の用意をしろ」
ボンボン小隊長からようやく食事の許可が出たので、一同は村の広場で食事をする事にした。幸い、井戸も広場の中心にある。
煮炊きに火は使わない。熱魔法で湯を沸かし、その中に塩と荒挽きした麦を入れて、しばらく保温すれば麦粥の出来上がりだ。
細かく砕いた乾燥豆も入れてある。"たんぱくしつ"という奴だ。豪華な時は干し肉を入れるが、今日は無しである。
最後に"びたみん"補給のために、陰干しして乾燥させた各種のクズ野菜を、どばっと大量に入れて、グルグル混ぜれば完成だ。
これは軍曹殿の考えた飯だ。もう百回も作ってきたから、中隊のどんなバカでも簡単に作れる。
「出来たぞ、食え」
「うん。不味いな」
「慣れると美味いぞ」
「キチガイ舌は黙ってろ」
「クソだな」
「ああ、いつも通りだ」
「………」
クソ不味い。
この飯は、中隊内でゲロと呼ばれている。ゲロみたいな見た目で、ゲロみたいな味だからだ。
こんなものを食うのは、犬と中隊兵士くらいのものだ。
だが、簡単に作れて栄養は完璧。重要なのはそこである。
さて、飯の後は風呂だ。体は出来るだけ清潔にしておかなければいけない。これも中隊の鉄則の一つである。
ふさ楊枝でシコシコと歯を磨き、濡らした手拭いで念入りに体を拭く。広場なので、下半身に関しては後だ。兵士にも慎みは必要である。
中隊の兵士たちは全員が丸坊主なので、頭を洗うのも実に簡単だ。濡らしてからキュキュッと磨き上げればそれでいいのだ。これを味わってしまうと、丸坊主以外の髪形など、愚かしくてやる気になれない。男は全員が丸坊主であるべきだ、と白雪姫は思っている。思い極めている。
洗濯は、明日の朝に行う事とした。もう時間が無いからだ。
「なな納屋を借りた。かか各員案内の村人の方に、つつ付いていけ!きき騎馬隊も、う馬屋を借りたから、う馬の手入れを念入りにしておけ!」
各々が自分の体を磨きあげていると、ボンボン中隊長が怒鳴って通達して来た。納屋か…ありがたい事だ。屋根があるなら天国である。
白雪姫はクソ重い背嚢を持ちあげて、案内人を追ってえっちらおっちら歩き始めた。
村内を進むと、村人たちが粗末な家々の窓から、こちらを窺うように恐々と中隊を見ているのが分かった。
まあ…そりゃ怖かろう。武器を持った屈強な二百人の男たちなのである。マイマイがこちらを覗いていた女の子に手を振るが、ぴしゃりと窓を閉められた。
「ぶはは、おめぇの顔が怖いってよ」
「うるせぇ。てめぇのツラよりマシだ」
「ふん、まあな」
実の所、中隊の仲間達は、村人に対して絶対的に優しく丁寧だ。特に女どもをからかったり、ほんの少しでも悪さをした奴がいれば、間違いなく古参からの念入りな説得がなされる。一度でも説得された奴は、二度と不埒な言動はしない。いや、できない。
プーリー村で、あの戦いで、白雪姫達は見てきたのだ。白雪姫達はモングじゃ無い。死んでもモングにはなりたくない。軍曹殿だって、決してお許しにならないだろう。……それに、女というのは…本当は結構怖い生き物なのだ。
明日になれば、村人にもこの中隊がどういうものか、わかると思う。そうなったら怖がられる事はないはずだ。
「明日は穴掘りだな」
「おう」
村の壁の周りに、空堀を作るのである。穴掘りなら中隊の右に出る者はいない。魔法とスコップとツルハシを使って、訓練でクソみたいに穴を掘りまくって来た。土木作業は歩兵のたしなみである。「工兵」という奴だ。
白雪姫は小さく気合いを入れて叫んだ。
「まず俺達は掘る!そして、その中で死ぬ!」
マイマイがそれに合わせた。
「なせばなる!」
これらは軍曹殿の故国における工兵の標語である。実に格好良い。これこそが兵士である。工兵の心意気を表している。が、そこまでの根性は白雪姫には出せないと思う。まだ訓練が足りない証拠だ。
案内人についていき、村の外に出て、納屋に着いた。ボロいが屋根がある。壁もある。文句などあろうはずがない。想定しうる限り、完璧な宿である。野原の地面よりも暖かいものがあるなら、そこは全て天国である。
この中で4個分隊24人の男たちが眠るのだ。汗臭くとも、温かく過ごせる事だろう。重要なのは、寒さで風邪をひかない事なのだ。戦場で風邪をひいたら、死ぬ。戦場において空腹と寒さと病は、モングよりも遥かに怖い。
「よし、装備の手入れをして寝ろ」
サンマが分隊の面々に指示をした。皆、思い思いに荷物をおろして淡々と動いている。サンマの言う、装備の手入れをしろ、ってのは体の手入れをしろ、って事だ。白雪姫の場合は膝と膝と膝である。
「豆、おらよ」
「おう」
白雪姫は豆の手拭いに水をぶっかけてやった。これで膝を冷やすのだ。白雪姫も下半身をすっぽんぽんにして良く拭き、濡れた手拭いを膝に巻く。冷やした後に薬を塗って、ごく軽く揉んで寝れば膝の調子は完璧だ。
――友よ酒を持ってこい!それこそ永遠の生命!花咲き乱れる春の季節に、たのしもう一瞬を!それが我が人生!
隣の納屋から支援騎馬隊長であるジャイアンの歌声が聞こえてきた。
相変わらず良い声だ。
あいつが始終歌っててくれれば、気が紛れて長距離行軍も楽になるのだが。
「石、足の調子はどうだ?……ああ、まあなんとか良いな。…てめぇは我慢強すぎんだよ。ちゃんと言えバカ野郎」
サンマは石に声をかけている。石の我慢強さは異常なのだ。いや、単に鈍感なのかもしれない。いや、やっぱりただのバカなのだ。
このバカは、足がマメだらけでも、平気な顔をして走るのだ。コイツは首を刎ねられても槍を振っているくらいの大バカだ。面倒をみるサンマは石の兄貴みたいなもんだろう。ご苦労な事であるが、白雪姫は同情しない。どうせサンマは好きでやってるのだ。
「あああああああ!!ザッケンナコラーッ!!」
白雪姫が寝床を整えていると、突然マイマイの叫び声が上がった。
「くそっ!やられたぜ!」
彼は背嚢からレンガを取り出して、地面にたたき付けた。レンガは粉々に砕けて飛び散った。
「おお頑張ったな!マイマイ!」
「すげぇすげぇゲラゲラゲラゲラ」
「ぶはははは!アホだぜ!」
「これで土木物資が増えたぜ!がははは」
マイマイは納屋の中の兵士全員から英雄扱いだ。40サングもの距離を頑張り抜いて、クソったれレンガ一つを運んで来たマイマイ君。大層ご苦労な事である。
…バカめ。ちゃんと出発前に確認しないのが悪いのだ。油断した貴様が悪いのだ。
白雪姫は作戦の完全なる成功に満足し、ニヤニヤしながら膝の薬を探して、背嚢をあさった。お、あったあった……あ?!
「……クソッ!!クソがっ!!」
背嚢の底には拳大の石が7つも入っていた。