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第1回 保体委員会議。のはずが・・・


「それではこれより、今年度第1回 保健体育委員会会議を始めます。」(峯子先生)

 きょ、今日から保体委員としての活動が始まるのね。よし!頑張らなきゃ!

「まずは、今年から新たに保体委員に加入した6年生を紹介します。1組 奥園隆哉くん。2組 阪本あきらさんと野田みさとさん。3組 須藤真美さんと宇田真衣さん。以上の5名です。」

 私たち5人は、保体委員会議室とも呼ばれてる部屋の中で、皆の前に立ってそれぞれ自己紹介してるところよ。

「5…あ、いや、6年2組の阪本あきらです…。」


アハハ…


 うーっ…。危うく前の学年のクラスを言うところだったわ。でも何とかミスを最小限に抑えられたから、これで何とか自己紹介済ませられたわ。

 それにしても保体委員って、見たところ意外に女子が多いのね。うちのクラスもトモくん以外は皆女子だし、男子は…数える程しかいないみたいね。6~8人ぐらいかな?


 5年生も登場して紹介が済んだ後は…

「続きまして、学年リーダーを決めます。立候補者は手を上げて下さい。」

 小山先生の号令と共に1…2…3…3人が手を上げた…って、トモくんも上げたの!?

「1組の奥園、2組の松本、3組の木村さん。以上の方が立候補されました。では、それぞれメッセージをどうぞ。まずは1組の奥園くんから。」

「自分は、様々な場面でリーダーシップを発揮してきました。知ってる人は自分の活躍を知ってると思うので、自分にリーダーをやらせて下さい。」

「では、2組の松本。」

「僕は、実は去年6年生の学年リーダーを務めてました玖美子さんから、次のリーダーを務めるように言われました。ですので、ほとんど指名されたと言っても良いと思います。もちろん、やるからにはベスト尽くします!」

「では3組の木村さん。」

「私は男子に負けない強さを持ってます。粘り強さ、根気、細かな気遣いが出来るのが私の強みです。私に是非リーダーを任せて下さい!」

 わ、わぁ…。火花散ってるわ。熱い…。


「ではここで、挙手で誰にリーダーを任せたいかを決めます。奥園に任せたい方。」


6年生→5人、5年生→3人。


「松本に任せたい方。」


6年生→6人、5年生→10人


「木村さんに任せたい方。」


6年生→6人、5年生→9人


「全員挙手でが確認できました。という事で、松本、学年リーダー就任だ。」

 やったー!私も投票したトモくんがリーダーになった!しかも、1組の子もトモくんに手を上げてたわね。

 よかった。ホッとしたわ。




 今年度は色々と大変な役目を負うなぁ。カートチームはエースになり、スイミングスクールは初等部キャプテンになり、保体委員では学年リーダーになったし。美術部の部長にはならなかったけどね。


 さて、挨拶だ。5年生は鹿野鈴鹿さ…鈴鹿!?僕が一度は行きたいサーキットの名前があるじゃん!

 どんな挨拶するんだろう?鈴鹿ちゃんは。

「6年生のリーダーが大変なモータースポーツ好きと聞きました。」


あははは…


 そうだとも。3度の飯より大好きと言っても過言でないぞ。

「この「鈴鹿」という名前に負けないように、6年生のリーダー、松本さんからいびられても負けないように頑張ります!」


パチパチパチパチ…


 ふぅ…。次は僕の出番か。

「えー。皆さんありがとうございます。今年は、色んな場面でリーダー的役割を務める機会が増えましたが、期待に応えられる様に何でもやります。あと、選ばれなかった奥園くんと木村さんの分もしっかりやります。」

 まぁ、こんなもんかな。奥園くん、ちょっと泣きそうな顔してるし、木村さんは、もう気にもしてないのか、笑ってる。

 そんなこんなで、組織構成はひとまとまりついた。


 今日は学校全体で手洗いうがいを特に励行する期間いつにするか決めたり、ボールやジャングルジムなどの遊具の使用における更なる注意など、議題は割と軽めに終わらせた。

 あとは親睦会みたいな感じで始めたのだが…

「あきらちゃん、可愛い!」

「愛してるわー!」

「あの男さえいなきゃ、あきらちゃんに遠慮なくちゅっちゅできたのにー!」

 5年生も含めて女子全員があきらちゃんに寄って集ってる。てか最後に言ってた女子のセリフ、絶対に僕のせいにしようとしてるだろ。どうしようもない子らだなぁ…。



さわさわ…


「あふっ…くすぐった…」


むにっ…


「きゃっ!ダメだってばー!」

 どういう状況なの…?どうして私、他の女子に全身触られてるのかな?なんかもう、どこかしこもむずかゆくなってきた…。

「はぁ…んっ…ダメだって…。」

「ほらね。結構感度イイでしょ?こんなにもいやらしくて、可愛らしい反応されたら、もう触るだけじゃ物足りなくなっちゃうわ。」

 かなちゃんってば…

「ボク、あきらちゃんのここを触るのが特にお気に入りなんだ。」

 あっ!ちょっと!ナナちゃ…


むにっ…


「ひゃあっ!」

「柔らかいし、揉むと気持ち良い感触が伝うから、やめられないんだぁ~。」

 分かったから、胸揉まないでー!男子…トモくんも見てるのよー!

「ボクもこんなに胸大きかったらなぁ。」

 憧れなくていいの!ナナちゃんの発育は普通だから、ナナちゃんはそのまま成長すればいい…って、やーめーてー!誰なのー!太ももの内側を触ってる人はー!

「ええい!松本くんめー!この子と一緒にあんな事やこんな事、小学生じゃ言えない事もしたから、阪本さんがエロ可愛くなったのだわ!」

 木村さん!?やめてってー!それでもって、脚と脚の間にいて、思いっきりパ…下着見てるしー!

 わーん!助けてよー!今なら、男子に誰か触られても殴らないからー!



「松本くん、阪本さんっていつもああいう風に弄ばれるの?」

「そうですね。特に女子からはもう日々どこか触られますねぇ。」

 男子ら、これは見ちゃいけないものと思い込み、あきらちゃんを助け出そうとしない。まぁ、出来ないけどね。あきらちゃんは男子苦手だから。

 何とかして、僕があきらちゃんに集ってる女子の様子を見る事ができたが、これはひどい有様だったな。あんなに体触られて、よくあきらちゃんは泣かずにいられるなぁ。中には、足の裏、足の指の間をくすぐってる子もいるのに。


「たっ、助けてー!」

 あっ、ついにあきらちゃんが叫んだ!

「さっ、松本くん、出番よ。」

「松本、行ったれ。お前以外で助け出せる男子、俺も含めてだが、それは松本しかいねぇんだ。」

 顧問の赤崎先生も小山先生も、僕が助け出してくれるものとなんか急かしてる様子だなぁ。教育者だろ!注意しないの?

「ちょっと皆よ、あきらちゃんがかわいそう…」

「あんたは引っ込んで!私らはこれから、この子と良い事するんだもーん。」

 あぁ、そうですかい。だったら、強引な手段だけど、あきらちゃんの背中を誰も触ってないので、背後に回り込んで…

「いよいっしょっと!」

「ちょっと!何してるのよ!松本くん!」

「僕のセリフだよ!」

「邪魔をしないでよ!」

 おっ、弄んでる手を休ませたな。その隙に…


ヒョイ


「わっ!」

「あっ、こら!あきらちゃんをどこに拉致る気なの?」

「人聞き悪いな!救ったんだよ!」

「皆、やり過ぎは良くないよ…。ほどほどにね。」

 あら、珍しいな。あきらちゃんが誰かに向かって注意するなんて。急いであきらちゃんを担ぎ上げてしまったから、お姫様抱っこもどこか崩れた格好になっちゃった。まだ右脚を抱えてないんだ。

「ご、ごめんなさい、あきらちゃん。」

 やっと分かってくれたか。へぇーえ。手間のかかる女子らだこと。


「トモくん、ありがとね。誰も助けてくれなかったら、私、最悪の場合死に至ってたかも。」

「お、大袈裟だな。呼吸困難か何か?」

「多分それ。息ができなかったのよ。」

 僕とあきらちゃんは今、下校してるところ。訳あってあきらちゃんは今僕の家に泊まってる。避難してると言った方が正しいかも。

 それで人目につかないように、最低でもあきらちゃんの親父に見つからないように気を付けて僕の家に向かってる。

 なので、まぁしょっちゅう下級生男子に

「ラブラブ?付き合ってるの?」

なんてからかわれたりする。この子らにムカついて蹴り飛ばしても仕方ないので

「結婚したんだ。」

と大ウソついてよくやり過ごした。これ、あきらちゃんと取り決めて作った嘘だから問題無いぞ。

「ま、まぁ、僕も結構大変だったんだよね。あの子らを出来る限り傷付けないように、そしてあきらちゃんに怪我させないように救わなきゃならなかったから…」

「ふふっ。優しいのね。」

 わ、わぁ…。何と眩い笑顔なんだろう。この笑顔見ると、何か神聖なものを見た時の、心が浄化されるような気分になる。と同時に、ちょっとだけ恥ずかしさを感じるんだ…。

「ま、まぁね。あの…また何かあったら、僕を呼んで、ね。」

 ヤバい。言葉がたどたどしくなってきてる。

「はーい。あなた。」

 だぁーっ!「あなた」だって!本気であきらちゃんと結婚したような感覚になっちゃうよー!いかん、嬉しさのあまり卒倒しそうだ。気を立て直さなきゃ!

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