表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シルバー・ゴースト  作者: 十夢
2/3

今は昔…

テスト2

明けの明星を見つめる私。

父と城の中庭で剣術の訓練ケイコをしていた。

そこへ1人の兵士がやって来て父の耳元で囁く。

父は目を伏せ覚悟を決める…


魔女狩りで国が二つに別れた。

まず、その戦争から話そう。


民衆は魔女狩りを反対し、シルバー王に立ち向かった。

その主謀者が私の父(将軍 グラウス)だ。

今では東の国の王となっている。

そう、民衆が勝利したのだ。


しかしそれを快く思わない者(貴族や宗教家)もいた。

もともと西に領土を持ち、シルバー王の側近として大臣も務めていたエバンズが

今は西の国の王を名乗っている。

こうして国は二つに別れた。


そんな戦場の中、母(王族の娘 シャルロット)は赤子を産んだ。

手を強く握りしめ私に言う。

「この子の事をお願い、」

「愛してるはシエル。」と、

自分は助からないと悟っていたのだ。

あの日の手の温もりを忘れはしない。


母との約束は叶わなかったのだ。

背後から強く頭を殴られ意識を失う。

哀しむ間も無く私は連れ去られた。

西の国の奴隷として…


私は奴隷として育てられた。

まず背中に蜘蛛の焼印を押される。

奴隷とはいえ商品だ、目に付かないところへ烙印を付けられた。

その蜘蛛は日が経つにつれ巣を大きくしていく。

ムチで叩かれ、死ぬまで逃れられないという意味があるのだろう。

奴隷という立場を覚えるまでムチで殴られた。


この奴隷市場で父が内戦で勝利した事を知る。

同時に西と東で国が別れたことも知り、迎えに来ることのない絶望も知った。


しばらくし、私はある貴族に気に入られ買われる事になる。

色々な趣味嗜好があるものだ。

優しく接してくるが

服を脱がされ、私を押し倒す。

気持ち悪い、自分を棄てることなど出来ない。

その貴族を突き飛ばし殴ろうとした時、扉の外にいた護衛達に取り押さえられた。

ここで私はグラウス王の息子シエルだ。などと名乗った日には殺されるか、政治の道具になるだけだろう。

抵抗した末、奴隷同士が殺し合い、それを見て貴族が楽しむ闘技場(奴隷の墓場)に連れて行かれる事になった。


剣闘士たちは一人一人個別の檻に入れられる。戦う前から傷付け合わせないためだ。

向かいの檻から話しかけてくる。

「お前、なんて言うんだ?」

「可愛い顔してるな。」コイツもか?

歳は15、6といったところか、私よりは年上だがまだ若い。

「…。」私は無視をした。まず自分から名乗るのが礼儀だろう。

「オレはレオンって言うんだ。」

「ここでは食事にも毒を盛られるから気をつけろよ!」

自分が齧ったリンゴを私のオリに投げ入れる。

毒などない友好の証だろう。

少し戸惑ったが答える。

「私はグエル。」父と母の名を入れた偽名で答えた。

「見た目と違って攻撃的な名前だな。」

「これからよろしくな、グエル!」

私は頷きリンゴをかじった。


ここに来る奴隷は戦争捕虜や元兵士の強者つわものぞろい、

女性の奴隷は居なかった。

ここでは賭けの対象として我々より価値のある物や大金、土地などが動いた。

負ければ当然、死の制裁が待っている。

そういった中、私は大人相手でも負けなかった。

父に教わった剣術で身を護る。その華麗な剣技に貴族たちは酔いしれた。

倒した相手に貴族たちは、「殺せ!トドメを刺せ!」と言う。

でも殺しは出来なかった。(心まで奴隷になったつもりはない)

すると相手の奴隷は剣を拾い、私に牙を向けてくる。

コイツもただの犬だ…

私は初めて殺しを覚えた。


回を重ねるほど私は注目され、王の目にも留まるようになった。

この国の王、エバンズとは話した事は無いが、前に一度、社交の場で会ったことがある。

向こうは私を憶えていないらしい。格好(見た目)も違えば名前も違うのだから当然だ。

あの時とは全てが違う。


ある夜、何気なく彼は言った。

レオン

「オレさ、13から兵士になってずっと家に帰ってないんだ。」

寝転んだまま檻の天井を見て呟く。

「ここを出たら農家やるんだ。」

「親父は腰やってて、オレがやらないとな。」

「母ちゃんも体悪いくせに人の心配ばかりしてうるせぇんだ。」

小さく笑う。

「妹もいる。」

「お前と同じくらいの歳のな、」

「人形遊びばかりして畑サボってんだ。」

また笑う。

それで兵士になったのか…

どうでもいいはずの話がやけに静かに響く。

「だからさ、」

「帰らないといけないんだ。」

みんな生きているのかどうかも知れないのに…

知らないから帰るのだ。

その言葉は重く、しばらくし沈黙が落ちる。

「お前は、」

「家族はいるのか?」

初めて向けられる問いに、私はすぐに答えられなかった。

「…いた。」

レオンは何も言わず

「そっか。」と返した。

「なぁ、グエルって本名じゃないだろう。」

不意に言う。

「お前はここにいるヤツらとは違う。」

「上手くは言えないけど…」

答えるつもりは無かった…

でもレオンとはながくいすぎた。

「…シエルだ。」

レオンは少し目を細める。

「へぇ、いい名前じゃん。」

それだけだった。

問い直しもしない。

偽名を使った理由も聞かないでいてくれた。

ここにいるヤツらとは違うと分かっているからだ。


次の日、対戦相手はレオンに決まった。

いつかこの日が来ると分かっていた。

レオンは言う。

「勝っても負けても恨みっこ無しだ。」

「楽しもう!」

どう言うつもりだ?

私は返事が出来なかった。



その夜、奴隷たちは立ち上がった。

そう、シルバー王に立ち向かった内戦の様な反乱だ。

当然、私のところにも誘いが来る。

「お前がいれば百人力、いや、それ以上だ!」とレオンは言う。

そう言う事かと私はうなずいた。

檻の中から奴隷なかまを解放し、私も彼等について行った。

城へ入り王の寝込みを襲うのだ。

次々と兵士を倒していく。

城内に居る貴族たちは自分の命が惜しいので逃げていく。

エバンズ王は慌てふためくばかり。

後を追っていたいた私は逃げてきた貴族たちを仕留める。(証拠隠滅だ)

逃げ場のない王。

「死ねー!」

私の友は王へ刃を向けた…

「グサッ」

斬られたのはレオンだ。

「何でだよ…」


斬ったのは私。

「すまない…」小さい声で呟く

涙などは流せない。

ここで全ての覚悟を決めた。


「頼む、助けてくれ。」と王は私にすがる。

私は次々と奴隷を手にかけた。

どれだけの人を殺しただろう…

覚えていない。(嘘で誰が誰だか全て覚えている)

全てを片付けた。

それでも王は怯えている。私が怖いのだ。

「お前も私の命を?」

そうするなら初めからそうしている。

「いいえ、奴隷達が今夜、反乱を起こす事を聞いて助けに参りました。」

私は王に手を差し伸べ、王は私の手を取った。

エバンズ王は私を気に入り騎士ひととしての役割を与えた。

私もその行為に応えた。

今では私も貴族と同じ立場だ。

しかし本当の仕事はこれからだ…


シルバーゴーストが現れるようになったのだ。

密室で、足首だけ残して黒焦げに消滅した遺体。

時計塔に全裸にされ首を吊るされる者もいた。

ひどいものでは村の住人が1人残らず消えた話もある。

次々に怪奇な事件が起きるようになったのだ。

エバンズ王は、シルバー王の亡霊を恐れ外部から侵入出来ない様、奴隷達を使って国境に大きな壁を造らせた。

働き口のある奴隷達。

闘技場の様な事は、もう二度とないだろう。


王は神経、精神をすり減らし日に日に衰えていった。

何故なら、貴族や王の血筋である人々も死んでいったからである。

それでシルバー王が復讐にやってきたと考える様になったのだ。

王はシルバーゴーストを捕らえた者に王座を譲ると言い出した。

次は自分の番だと思い、玉座を降りたいようだ。

私の思い通りになった。

シルバーゴーストを捕まえる?

そんなヤツはいるはずが無い。


私がシルバーゴーストだからだ。

私を怪しむ者は全て消し去る。

私が王となる日はもう少し延ばしておこう。

死んでいった彼ら(奴隷達)のためにも…


貴族や宗教家たちへ本当の恐怖と絶望を与えるために…



最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

こちらが序章になります。


シエルの母は魔女で、シャルロットを庇うため父グラウスは内戦を起こし全てを失いました。

いや、最後の希望、シャルロットの残した赤子がいます。

この子がいるからグラウスは王となったのでしょう。


N様の参考になればと思っています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ