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集結3◆

タイトルに◆がある時は挿絵アリ

エージェントが配置につき、作戦が始まった段階になっても心暖の中には不安があった。


それはこの奪還作戦の根幹に関わることだった。


【ドライブの受け渡しがなぜ晶河高校で行われると決めつけているのか?】

裃本家は今日、間違いなくこの晶河高校でドライブの受け渡しが行わることを知っている。

だからこそ、学校内外のいたるところにエージェントを配置してこれを奪い返そうとしている。


それはなぜか?

単純なことだ。受け渡しをする張本人の堅城が情報を流してきたからだ。


要するに出来レースなのだ。

堅城の本心はFibe-Aではなく裃にドライブを返したい。

裃もその思いに応えて彼の指示通りに動いている。


(本当にそうだろうか?)

そもそも2重スパイである堅城の言葉を簡単に信じすぎではないか?


実はまったく別の場所で受け渡しが行われていて、自分たちの作戦は徒労に終わるのではないか?

作戦が動き出した今は目の前の動向に集中しなくてはいけない。

だが、心暖の頭の中ではこの作戦が失敗した時にどう動くか。そのシミュレーションが繰り返されていた。


『心暖さん、原巻です』

牒を通してエージェントから連絡が入る。

心暖の心拍数が一気に跳ね上がる。


「どうした?」

『体育館の裏に不審な二人組を発見』

安堵感に自然と口元が緩む。


恐らくその二人組は受け渡し役だろう。

となると現時点において情報は正しいことになる。


挿絵(By みてみん)


『でも、こいつらおかしいです』

エージェントからの要領を得ない連絡に


「現場が混乱する。要点を簡潔に」

心暖が指示をすると


『まったく隠れるつもりが無いです』

エージェントからの回答は簡潔ではあったが、分かりにくいものだった。


『というか、こいつらどこから入ってきた?』


(確かにおかしい)

この点については心暖も同意だった。学校の周囲にはエージェントが目を光らせているというのに誰からも連絡が入っていない。


(空間転移?)

もし、そうだとするとFibe-Aのエージェントが直接、乗り込んできた可能性がある。


(思ったより厄介なことになるかも)


「Fibe-Aが出てきた可能性がある。確認は出来ていないが各自、そのつもりで対応するように」

心暖は校内にいるエージェントに向けて念のため指示を出す。



体育館の裏手には二人の男がいた。

そのうちの一人、アジア系の顔立ちでサラサラの髪に革ジャンを着ている華栄と呼ばれていた方が口を開く。


「ここは、どの辺なんだろう?」

するともう一人の褐色の肌にドレッド、眼鏡をかけたルイと呼ばれていた長身の男が


「どうする?誰かに声かけて訊くわけにもいかねえぞ。分かっているとは思うけど、俺たちは不審者だからな」

「仕方ない、とりあえず進もう」


華栄はそう言うと体育館の奥の方に向かって歩き出した。

ルイは何か言いたそうだったが、黙ってそれについていく。



『照合出ました。北関東財閥です』


心暖の元に原巻が送った顔データを基に本部で照合した結果が返ってきた。


北関東財閥連合は関東北部に拠点を置く大企業により作られた組織で、ゲート関連の下請け的な仕事もしている。

エージェントのような存在もいるが、能力は機関のエージェントより低く今回のような大きな任務を任されるには力不足だといえる。


「Fibe-Aじゃない」

照合結果の内容に心暖は驚きを感じていた。


どうして北関東財閥、裃の中では略して関財と呼ばれている彼らがこの奪還作戦に絡んできたのか。

加えて関財に空間転移を使える能力者がいるはずもなく、そうなると彼らはどうやって侵入してきたのか。


「・・・・」

心暖は状況を整理する。

原巻からの一報を受けた時はこの侵入者が受け渡し役だと考えたが、所属を知った今は力量的に無理だと考え始めている。


だが、このタイミングで晶河高校に入ってきたことをFibe-Aと結び付けない選択もない。


「原巻、聞こえる?」

『はい、どうします?』

「そのまま追跡して、人がいなくなったところで捕獲して」

『了解』

心暖はこの二人組を本命の動きを隠す陽動作戦と判断した。

陽動であれば、こいつらを自由に動き回らせて相手の思う壺になる道理は無い。


(早急に盤上から退場してもらいましょうか)



(なるほど、陽動作戦ってことか)

心暖からの指示を受けた原巻は正確にその意図を理解していた。


(それじゃ、さっさと片づけるか)

人気の無いところで捕えろとの指示だが、体育館裏のここは最初から人気(ひとけ)が無い。

体育館の側面にある扉下に設置された階段の影から二人組の様子を窺っているが、こちらに気付いた様子もない。


(迂闊な連中だ)

苦笑してしまうほど素人同然の動きにもはや待つ必要も無しと判断、原巻は階段わきから真横に飛び出した。

左手には捕獲用のシステムギアを持っている。

それを2歩踏み出したところで二人組に向かって投げつける。

捕獲用の網が中央の持ち手部分から広がり球状になって背後から二人組を包み込んだ。


「な⁉」

包み込んで捕らえたはずだった・・・



『心暖さん!』

原巻からの通信。本来であれば捕獲成功の連絡だろうが、聞こえてきた声の質はそうではないことを心暖に予感させた。


「どうした?」

ただ事ではない雰囲気に自然と心暖の声も大きくなる。


『消えました‼』

(消えた?)

一瞬、原巻が言い方を間違ったのかと思い


「見失ったの?」

改めて聞き直した。


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