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虚構の世界に介入して登場人物を全員幸せにするまでの物語、パーフェクト・バージョン!  作者: 秋乃晃
13回目の偽アカシックレコードの世界=虚構の世界編
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「Browse」


 オーサカ支部へ戻る道すがら。


 行く手を阻む女子高生が1人。


 左手には、辞書のような分厚い本。




「初めまして。そして、さようなら!」




 彼女が右手の中指で空間を弾くと、ぼくの身体は後方に吹っ飛んでいく。


 電柱に背中をしたたかに打ち付けて止まった。


 能力による不可視のアタックか!




(白菊美華!)




 シンが脳内で彼女の名前と思しき女性のフルネームを叫ぶ。


 白菊美華。


 本物の“アカシックレコード”を所持するという?


 あの左手に持っていた分厚い本がそれか!




(まさか向こうから現れてくれるとはな。


 もうちょい早く出てきてほしかったけど及第点ってとこか)




 それでぼくはどうすればいい。


 すでに交戦状態では?


 ここから交渉へと移行できるか?


 ぼくとしてはレディーに手を上げたくはない。




(向こうから攻撃してきたんだから正当防衛でしょ)




 彼女の能力は?


 アカシックレコードには記載があった?




(能力は【移動】とかそういうのだった気がするけど)




 これのどこが【移動】だというのか。


 見えない波動を飛ばしてきている。




(わからんけど、まあ、【疾走】で対応できるっしょ?


 大事そうに持ってるアカシックレコードをさっと借りる感じで)




 所有者に許可を取らないのは問題がある。


 お互いに話し合いをしてからのほうがいいのでは。




(いきなり攻撃してきた相手と話し合いできるかってんだよ。


 やらないならおれがやる)






 よし。


 交代できたな。


 あの“正しい歴史“の本を見せれば否が応でも「こんな全滅エンドは嫌だ!」ってなるでしょ。




 能力【疾走】を発動させた。


 ここからおれの10分は、実際の時間の1秒となる。


 本を掠め取って逃亡するならこれで十分だろうと、間合いを詰めて右手を近付ける。




「あなたのような不確定要素が、毎回わたしの邪魔をしてくれます」




 右手首を掴む、白菊美華の左手。


 動けるはずがないのに!




「わたしは“正しい歴史”の管理者として、この本に描かれている歴史の通りに物語を進行させなければならないのです」




 左手に力が入り、おれの右手首が締め上げられていく。


 おれが現実で手に入れた偽の、クリスさんが創ったアカシックレコードはあくまでこの世界の土台。


 物語の中心人物が主人公ならこの管理者は主人公を導くアドバイザーの役割か?




 このビューティフルなぼくが主人公ではないというのか?


 これはぼくの物語だろう。


 他に誰がいる?


 このぼく以外に、主人公にふさわしい存在があるはずもない!




「今回は“正しい歴史”からかけ離れてしまいましたのでここでおしまいです。お疲れ様でした」




 違う。


 アドバイザーではない。




 こいつがアンゴルモアだ。


 恐怖の大王が、おれに差し向けてきた。


 この世界の終わりの使者。




「遠いところからはるばるお越しになってくれたお礼に、あなたには“小さな世界の住人となれる権利”を与えましょう」


「なんだそれ……?」


「あなたは現実世界で死に、創造主クリスの力で虚構の中に生まれ変わりました」




 あなた、って。


 こいつはおれに話しかけているのか?


 現実世界で死んだのはおれだ。


 この物語の外の出来事まで把握しているということか……?




「次回からはあなたがこの世界の篠原幸雄になります。喜びなさい」




 空間が歪む。


 周囲が暗転する。




「この世界の篠原幸雄の人格は、こちらで抹消しておきます」




 抹消!?


 なんで!?


 いや転生モノなら元の人格あるのはおかしいってのはそれはそう!


 前世の記憶と転生先のステイタスでやっていくのがデフォルト?


 だけど!




「消さなくてもいいじゃん!」




 おれは!


 おれ1人じゃ何もできない!


 最初はなんかおかしいって思っていたけど!




 おれは、よその“主人公”とは違う!


 弱くて惨めでどうしようもなくて生きている価値のないクズなんだよ!


 おれはぼくがいてくれないと……というか、ぼくのように振る舞うことなんてできない……!








【Browse】



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