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虚構の世界に介入して登場人物を全員幸せにするまでの物語、パーフェクト・バージョン!  作者: 秋乃晃
13回目の偽アカシックレコードの世界=虚構の世界編
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「徐々におかしな日々」


 死んだはずの氷見野雅人と風車宗治が、2年A組の教室にいる。

 初日はテンパってしまったケド、1ヶ月経つと慣れてきた。

 とはいえ、わたしは悲しい。

 作倉部長から色々と聞いていた人物像とご本人がマジで違う。


「まさひとぉ! ババ抜きしようぜ!」

『昼飯は』

「もう食った!」


 これから人生に山あり谷あって成長するのカモ?

 成長する前の姿なのかも?

 うーん。

 憧れの存在が実はこうだったっていうのはショック。

 そっくりさんというコトにしておいたほうが精神衛生上よさそうなの。


「宗治くん、また氷見野くんを困らせてますね」

「ニコちゃんもババ抜きやる?」

「私は……遠慮しておきます」

「氷見野くんが昼ごはんを食べ終わるまで神経衰弱でもやってたら?」

「それだ! いいんちょナイスアイデア!」


 さて、気を取り直して。

 今回は皆々様に学生生活で1番楽しいランチタイムの風景をお届け。

 ミクちゃんニコちゃんが本日もわたしの席まで来てくれました。


「ニコちゃんは今日も焼肉弁当?」

「もちろんです」


 肉食系お嬢様のニコちゃん。

 お弁当箱は運動部の男子みたいな特大サイズ。

 その中身は白米ぎっちりと、その上に敷き詰められたカルビ。

 人は見た目によらないもんだなぁ。

 おしとやかでおとなしそうなニコちゃんだから、サンドイッチとかクロワッサンとか食べてそうなのに。


「ちなっちゃんは?」

「今日もたぶん野菜弁当……ほら」


 クリスさんに頼み込んだらお弁当が必要な日はお弁当を作ってくれるようになった。

 いやぁ、いい上司だ。

 でも蓋を開けてからの緑色率の高さには閉口しちゃう。


「ダイエット?」

「あ、そういうハラスメントか。なるほどですぞ」


 本人からは「残したら次から作らない」と言われており。

 野菜だらけのお弁当を渋々食べるわたし。

 本当はわたしもニコちゃんみたいに焼肉弁当がいい!

 早起きして作ればいいんだろうケド。

 それはめんどくさいじゃない?

 渋々食べてるなんて言っちゃったけどそれなりに美味しいし。

 欲を言えばもうちょっとだけ味付けを濃いめにしてほしい。


「昨日テレビで『イヌ派vsネコ派』っていうのやってたんだけど、2人はどっち派?」


 ミクちゃんは焼きそばパンときたか。

 いっつもパン食べてるなこの子。

 焼きそばパン1個で足りるの?

 あと2時間も授業あるけど。


「私はネコ派です。昔、イヌに噛まれたことがありまして」

「それは災難」


 ニコちゃんはネコ派ね。

 きっとニコちゃんが美味しそうに見えたんだろうなぁ。

 わたしはニコちゃんのお弁当のカルビ1枚とブロッコリーを交換してほしい。


「ウチはイヌのほうが好き。この豆柴カフェに行きたい」


 スマホで豆柴カフェのサイトを開いて見せてくるミクちゃん。

 豆柴ぁ!

 つぶらな瞳で物言いたげな表情が愛くるしい。

 いいなぁ豆柴。


「小さい子なら、まあ」

「大きいイヌに噛まれたの?」

「人の背丈ほどありそうな大きなイヌでした」


 犬種なんだろう。

 人の背丈ぐらいっていうと限られてきそう。

 調べてみようかな?


「秋月さん、このクラスだったか」


 ん?

 名字で呼ばれて教室のドアのほうに視線を向ける。

 教室へ入ってくるスーツの男。


「げぇっ! 風車さん!?」

「はい!」


 勢いよく手を挙げる隣の席の宗治くん。

 お前じゃねぇー!

 そうだ!

 隣の席も風車だったー!


「親父!?」

「ハイハイハイ、見えない見えない、見えてない見えてないよー」


 スーツの男=風車総平の視界を遮るように両手を振る。

 なんで来たし。

 なんで来たし?

 とっさに宗治くん隠そうとしちゃった。

 隠せてたかな?


「ちなっちゃんの知り合い?」

「知り合いというかまあ、……そう! 前の学校で講師として来ててー」


 怪しまれたので苦し紛れの理由を捻り出す。

 ニコちゃんは納得してくれたみたいで、「そうなんだ」と言ってくれたのでヨシ。


「そうそう。このクラスの担任の先生が明日から育休を取られるそうだから、俺が代わりに担任を」


 そういうことにしよう!

 ね!

 そういうことにしておこう!


「聞いてませんが」


 クラスのいいんちょ、白菊ミクが台パンしながら立ち上がる。

 教室がピリピリしてきた。


「親父だけじゃなくアカシックレコードまでいるのか」


 え、今なんて?

 アカシックレコード?

 スマホで調べちゃえ。


「ウチは39番目の白菊美華。生憎オリジナルではない」

「なるほど?」


 ねー。

 もしもーし。

 白菊美華って誰ー?


「風車さんっていうことは、オレの親戚か何か? おじさん?」


 ミクちゃんと風車さんの間に物理的に割り込んでいく風車宗治(高校2年生のすがた)。

 すごい神経だな。

 見習いたい。


「親戚ってことにしておくのが無難?」


 え、そこでわたしに振る?

 風車さんキラーパスすぎない?


「親戚でいいんじゃないの? 知らんけど」


 未来の息子だよ!

 なんて本当のことを言っても宗治くんが困るじゃん?

 父親が若くなって高校生やっている現実がおかしいといえばそれはそう。

 現実そうなっているんだからそれに対応していかないと。


「確認してきます。本当に風車先生が代わりの担任なのかを」


 風車さんを押し退けるようにして教室を出ていくミクちゃん。

 職員室に向かったのかな。

 まったく!

 もう!

 楽しいランチタイムのはずなのに散々なの。

 わたしも「なんであの七光りの風車さんが高校に来ているのか」をクリスさんに聞きに行きたい。


「じゃ、親戚ということで! 仲良くしてくれよな! 風車先生!」 


 風車さんが大した実績もないのに組織で“ヒーロー研究課”なんていう意味不明な部署に居座れているのは、風車宗治の息子だからだ。

 作倉部長は学生時代からずーっと風車宗治と仲良しさん。

(氷見野博士も同級生のはずだけど、氷見野博士の話はしたがらなかったなぁ)

 首相は多忙だったから基本的には作倉部長が息子の学校行事に出ていたらしい。

 そこまでしなくていいでしょ。

 って無関係なわたしは思ってしまうけど。

 とにかく、風車総平からみたら作倉部長は育ての親みたいなもんなのだ。

 マジでクソ。

 親離れしろ。


「……そういえば、氷見野さんはいるのに作倉さんは高校生になっていないのか」


 風車さんが(風車さんこの教室内に2人いることになるけど風車さんって言った時には風車総平のほうね)一部始終を静観していた雅人くんに気付いたみたい。

 作倉部長、いたらいたで嫌じゃない?

 自分の育ての親でしょ?

 実の親が高校生になっているのも気持ち悪いだろうケド。

 というか、わたしも嫌だわ。

 自分の上司が同級生って。


「作倉さん?」


 宗治くんが反応した。

 やっぱりお前も気になるか。


「って、誰?」

「マジで言ってる?」


 おっと?

 その反応は予想外。

 あんなに作倉部長は宗治くんのことが好きなのに、宗治くんは覚えてないとか?

 そんな一方通行な。

 作倉部長泣くぞ。


「ちなっちゃんの知り合い? 風車先生も知ってるってことは、前の高校のクラスメイト? だとしたら、そりゃあオレは知らないっしょ」


 ……これ、マジな反応だ。

 1ヶ月隣の席で過ごした結果、宗治くんは単純なバカだと判明している。

 演技はできないタイプ。


「〝今回は〟こうきたか」


 風車さんがポツリとつぶやく。

 は?

 何?

 どゆこと?




【A Pot of milk is ruined by a drop of poison】






2009年の状態のままで誕生日を迎えても年齢が加算されない、っていうこの世界で起こっている現象に気付いている風車総平。

推理はだいたい合っているから、もうちょっとがんばってほしいね。

お次は風車総平視点の4話「ヒーロー研究課より愛を込めて」

『平行世界で俺は死ぬ』も読むとより楽しめるらしいね。

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