1話 蒼昊中学校新入生
2016年の夏頃、ここは蒼昊中学校、神奈川の湘南の中に存在する中学校で有る。
「入学式は終わったし、何しようかな、暑いしアイス食べたいなぁ」
ゾロゾロと何人もの上級生が彼を囲う様に歩いて来て、狭い道、壁際まで行かせる。
「おい兄ちゃん、ここは蒼昊中学校だぜ?まさか知らないとは言わせねぇぞ」
「何がだよ」
「ここは神奈川一番とも言っていい不良高校だぜ!上級生には挨拶しねぇとなぁ、あんちゃん」
スルリと肩を組まれそうになるところを彼はパシっと手で払い除ける。
「あぁ?なんだぁてめぇ、お前なぁ余り調子に乗ってると後悔することになるぜ?」
「後悔?なんで」
すると奥から髪を銀髪に染めてる手足の長いやつがこっちに歩いてきた。
「彼は凄まじい戦歴を持つ不良のエリートなんだよ!やっちゃって下さいよ!」
その肉体のスペックも凄まじい、産まれながらにして出生児にして80cm、15kg!帝王切開で産まれ、今や225cm体重は125kgだ!だが彼も新入生だ。
「ふん!」
ドガァーン!壁際、民家のブロック塀を蹴ったのだ。
「(まるで徹甲弾の様な蹴りだ、やはり彼はあの伝説の小学生!)」
蹴った場所だけに綺麗な円形の穴をブロック塀に打ち開けた。
「トー・ストライク」
「(単なる破壊力や速度だけに任せただけではない、一点に無駄なくインパクトを集約させる精度、技術力は正しく本物、なんと言う)喧嘩はしたく無いなぁ、穏便に済ませられないかな?」
彼は上を見上げて白銀髪の同級生に言う。
「良い訳ねぇだろ?」
最初に肩を組もうとしてきた上級生が嬉々として語る。
「彼はなぁ!神奈川の不良なら皆んなが知る大スター!その通り名を聞いて慄け!白色之悪魔だ!」
「凄い有名人だな、へ〜、怖い怖い」
彼は全く持って感情が漏れてなかった、座った目、虚無感に満ち溢れた無表情、棒読みで全く興味も無かった。
「どうします?赤松さん」
不良が上を見ながら白色之悪魔と呼ばれる同級生へ話しかける。
「舐めてるなぁコイツ、お前ら、やれ」
そう指示した瞬間、五人の不良が彼の右腕、左腕、右脚、左脚、一人は羽交締めをし、皆がガシっと掴む。
「ほら、歯食い縛りやがれ!」
ドゴッ!鈍い音が狭い道の中に反響する。
「あはは!思い知った、、、か?あれ?ウギャアァァァ!」
「どうしましたか松本さん!うわぁ!?」
殴った筈の上級生の松本の右腕の手首が外れて居たのだ。
こいつだってだてに不良をしちゃい無い、ヤシの実や牛の角を殴り漬物石を叩き割っているしそれにドラム缶を一撃でベコベコに凹ませている、なのに正確に入った筈の拳、手首が負けたのだ。
「おいおい、どうなってやがる」
すると本命、赤松が前に出る。
「お願いします赤松さん!」
「拘束辞めて、俺の仲間にどんな手品使ったか知らねぇが、手脚の一本は覚悟しておけよ」
瞬間、赤松の右脚の筋肉が隆起する、深い堀が出て来る、キレてる脚はただそれだけではなく血管まで浮き出て来る。
「(終わったなあの新入生)」
ドゴォン!さっきより重たい鈍い音がより大きく反響した。
「悶絶しとけ、、、あれ?ッッッ!?(指が、感覚が無い?手脚の一本は覚悟しとけと言って手脚に意識を向けさせた、本命で有るレバーに対するトー・ストライクは筋肉が緩んでいたところに入り込めた筈、可笑しい)」
「あ、赤松さん!脛の骨が飛び出して居ますよ!」
プロのサッカーの試合でだって早々は起きない、開放骨折で有る。
「あちゃ〜、、、お前が先に蹴って来たから蹴って来た足の指が全部そんな風に折れた骨が皮膚を突き破り、外部に露出した状態になるんだ、速く保健室に」
「お前が、お前が何かしたんだろ!なんでお前は無傷なんだ!」
「いや、だってね、無傷がどうとか言われても、正直な感想として気持ちが悪いとしか言いようがない、そっちから襲ってきて一方的に殴る蹴るして来た癖に俺に1ダメージすら与えられ無かったからって何かしただろ、だってさ、気持ちが悪い以外に言い表しようがあるのか?あぁ?」
「お、お前ら!全員で一斉に掛かれ!そいつを!その野郎を叩き潰して手品を暴け!」
「うぉぉぉ!」
4人が飛び掛かり、4人がそのまま襲い掛かり、3人は低く沈み込み、ガゼルのように斜め上に跳ね上がりながら下から突き上げる様に襲い掛かる、計11人による全方位からの攻撃!
「オラァ!ぬぁ!?」
「シャア!ウギャア!?」
全ての包囲網を軽々と掻い潜り仲間同士でまるこんがらがらせる。
「反撃して良いの?学校始まったばかりで問題起こしたくないんだけど」
すると彼の髪色が徐々に変わって行く、白髪に。
「あぁぁ、マジ時間の無駄、ストレス溜まるんだが、今からアイス買って食べた後にカラオケ行くつもりだったのにもう5分くらい無駄にしてる、そろそろお前ら調子に乗りすぎだぞ」
「嘘、、、だろ、もしかして貴方は、、、翡翠ヶ丘小学校生、ですか?」
「ん?あぁそうだよ、なんで?」
真っ白、純白の髪色、少し襟足の伸びたウルフカットが靡く、服はとても綺麗で確かに攻撃を受けた筈なのに血飛沫一つとして付着して無かった。
「(いまの今まで黒髪、、、だった筈、今何故髪が白くなった)」
ストレスによって自律神経(交感神経)が過剰に活性化し、放出されたノルアドレナリンが、髪の色を作る色素細胞の幹細胞を過剰に消費・枯渇させてしまい、結果として一時的にこうなるのだ。
いわゆるマリー・アントワネット症候群みたいなものだが少し特殊で有り、細胞の活動自体は停止しておらずストレスが発散されれば元に戻る。
「貴方はもしかして」
赤松が口を開く。
「あの伝説の白色之悪魔本人様でしょうかぁ!」
「えぇぇ!?あんた偽物だったのかよ!この髪染めクソ餓鬼ィィィ!、、、ってことはつまり?」
全員の視線が彼を向く。
「なんだよ」
彼が白色之悪魔と言う事実を理解し始めて居た。
「じゃあ行くからな、じゃあな」
「あの!」
「ん?」
全員がこちらに向かい頭を地に着けていた。
「申し訳ありませんでしたぁ!あのそれで、お名前を伺っても宜しいでしょうか!」
「俺の名前か?堂嶋、堂嶋康太ってんだ」
堂嶋康太の正しくない中学校が、今産声を上げた。




