お化け屋敷
俺はお化け屋敷でバイトをしている。
もちろん、仕事はおどかすことだ。
今日は友達がこのお化け屋敷に来るらしい。
「確かお昼くらいに来るって言ってたな」
今は昼の1時だ。
「そろそろだな」
いつもの持ち場に行く。
壁に穴が空いていて、そこから手を出して足を掴むという事をしている。
他のおどかし要素は、上からこんにゃくが垂れてきたり、人が立っていたり、誰かに追いかけられるなど、どれもベタのものばかりだ。
それにそこまで怖くないので、カップルや子供連れなどに人気がある。
持ち場について10分。
友達どころか、人1人すら来ない。
「昼休憩終わったよな?」
今この場所にいるのは自分だけだから、不安になる。
(まあ、先輩とかもいつもの所にいるだろ)
気にせずそのまま待った。
すると、誰かが歩いてくる音がする。
(!…やっと来たか)
タイミング良く、ガッと足を掴んだ。
案の定、驚いた様子で逃げていった。
友人は、俺にも分かるように鈴をつけていくと言っていた。
入ってくるお客さんの足を掴んでおどかすが、まだ友人は来てないようだ。
するとチリンチリンと鈴の音が近づいてきた。
「おーい、来たぞー」
そう言いながらこっちへ来る友人。
しめしめと思い、友人の足をいつもよりも強く掴む。
「痛っ!」
(やべっ、やり過ぎたかな)
とっさに手を離す。
(仕事が終わったら謝ろう)
そして仕事終わり。
遊園地の前に友人がいた。
「ごめんごめん!強く掴みすぎた」
「ほんとにやめてくれよー。痣出来たんだぞ」
そう言って服をめくった。
友人の腕には、青紫色になった手形が付いていた。
意味怖というよりただの怖い話になった
しかも長い