12,先生
五月になった。今日はゴールデンウィーク前日だ。
「やれやれ、やっと授業が終わった。あとは部活だけか」
「あばばー」
「部活、面倒だな。サボろうかな」
「あば!?」
「……分かってる、ちゃんと行くよ。帰ってもやることなんてないし」
「あば、あば」
「…………なんで宇宙人(仮)に諭されてるんですか」
「あ、瀬川先生。シグ、結構しっかり者みたいなんです」
「あばば!」
「……それより、学校にそんなものを持ってくるんじゃありま」
「というか先生、(仮)ってなんですか。シグは正真正銘本物の宇宙人ですよ?」
「そんなわけないでしょう。宇宙人なんていません。それはおもちゃです! そして話をそらさない!」
「あば!? あばーばばー! あーばーばー!」
「ほら、先生がおもちゃだなんて言うから怒っちゃったじゃないですか。謝ってください」
「は!? なんで私がそんなこと……!」
「先生、人にものを教える立場だと言うのにそれはどうなんですか? 今のは明らかに先生が悪いですよ。先生だって他人から『お前はおもちゃだ』って言われたら嫌でしょう?」
「それは、そうですけど……。それとこれとは違います!」
「違いません。シグはたしかに他の動物とは違います。それでもこうして生きているんです。感情もあります。先生は人間様が一番偉い、とでもお考えなんですか?」
「あば! あばば、あばー!」
「いや、そんな……」
「さ、先生」
「……ごめんな、さい……?」
「分かってくれたらいいんです。さて、もう部活の時間なので行きますね、さようなら」
「あ、はい。さようなら…………って、あ!? また逃げられた! ああ、もう無理! あと十一ヶ月もあんな生徒の担任だなんて嫌! だれか助けてぇ!」
瀬川先生は宇宙人を学校に連れてくることを認めていないらしい。




