緊急依頼
「東京って思ってたより近いんだな」
地図見る感じすぐに来られる距離だと思っていたが走ったら本当にすぐ着いた。今回、緊急依頼で初めて東京来たが、いつでも転移出来るようになった。今日は人命救助優先のため浅草ダンジョンの攻略はしないけど、また今度攻略しに来よう。
「とりあえず30階層まで走ってきたがモンスターが邪魔だな」
『うむ、雑魚が鬱陶しいな』
「まだまだ下に向かうぞ」
30階層までに希望の光パーティーは見つからなかった。やっぱりもっと下で何かあったんだろうな、早く行かないと。
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「──どうしてこうなったんだろう…」
私たち冒険者パーティー希望の光は中学からの同級生でみんな親友だ。東京を活動拠点にして地道にコツコツと頑張って浅草ダンジョンを攻略してきた。今回初めて未踏破エリアに行くということで、体調も整え魔導具やポーションもきちんと準備してきた。
「だけど、こんなモンスターが出るなんて…」
53階層に転移してきて、初めは順調だった。
モンスターは強かったが安全に探索していたし、魔法使いの私がこまめに皆に回復魔法をかけて、ポーションもあまり使わず温存していた。あまりにも順調すぎたのだ…
私たちはリーダーの剣士冬弥と盾役の戦士、弘樹。それと魔法使いの私、歩美の3人パーティーだ。59階層まで降りてきて、もしかしたら60階層で踏破できるかも!なんて気が緩んでいたのかな、いやそんなことはなかった。
私たちの前に現れたのは“竜”だった。
過去にワイバーンは倒したことあるが、竜は別格だ。出会ったら逃げろ、戦ったら死ぬと言われている竜だ。すぐに逃げようとしたが見つかってしまい、逃げきれず、盾役の弘樹が全身ブレスで大火傷をしてしまった。弘樹を抱えて逃げようとしたがリーダーの冬弥までも攻撃を食らってしまい、片脚が吹っ飛んでいった。私は後方だから無事だったが、急いで土壁を張りその中でみんなと閉じこもることしか出来なくなってしまった。
上級ポーションは高いし、中々売られないこともあって1本しか手に入らなかった。冬弥には申し訳ないが全身大火傷の弘樹に上級ポーションを使わせてもらい、命に別状は無くなったが完全には治りきっていないのか、まだ体調が良くなさそうだ。冬弥には中級ポーションを使い止血が済んで体力もある程度回復していたが、歩いて逃げることは難しいだろう。
かれこれ何日ぐらいこうしているのかもわからなくなってきたわ。そんな私もあと少ししか魔力がもたないわね。土壁を消せば外には竜がいるし、みんなで逃げ切ることは無理そうだし、ここで終わりかしらね。
「──歩美だけでも逃げきれないか?」
「何言ってるのよ、そんなの無理よ」
「倒すことは無理だろうが、俺と弘樹で注意を引くことぐらいは…」
「そうだよ、このままでは歩美の魔力が無くなったら土壁が消えて竜にやられて全滅だ」
「それならば魔力を少し温存しといて賭けに出た方が勝機はある」
「そんなの私だけ逃げれたって嬉しくないじゃない。それならここでみんなで死んだ方がいいわ」
「歩美…」
3人とももう無理だと悟ったのか、昔話をし始めた。中学で同じクラスになり、みんな将来冒険者になって誰かの希望の光でありたいと語り合った夢。それがようやく叶いつつあり、この東京を守ってきた。
「──もう、そろそろ限界ね…」
ああ、楽しかった。これまでの事が走馬灯のように思い出す。
「な、なあ。なんか外の竜が騒がしくねえか?」
確かに、こんなにうるさいのなんてここに閉じこもってから初めてだわ。そろそろ終わりってことかしらね。
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『主よ、あの竜はこちらに攻撃しようとしてきてるぞ』
俺たちは59階層まで来ていた。ここまで30分程で到着したが、さすがに竜はスルーできそうにないか。…ん?
「フェン!索敵に生命反応が引っかかった!近いぞ!」
生きている。それだけわかればあとは簡単だ。こいつをぶっ倒して助け出せば依頼完了だ。
「ギュアアアアアア!」
「ギャアギャアうるせえぞ、下位竜ごときが!古代竜に比べたらお前なんかただのトカゲと変わんねえぞ!」
全くそんなことはないと、他の冒険者がいたら全員そう思うことだろう。
「───《裂空斬》」
風魔法の裂空斬で翼を切ってしまえばもう本当にただのトカゲだ。
「───《雷閃》」
一撃。たった綺麗な一撃で、竜の首が落ちたのだった。
“ドォォォオオン”
「ひっ…!」
「おい、大丈夫か?」
「あ、ああ。何とか生きているよ」
なるほど脚がなかったのか、それは逃げられないわけだ。こっちの男も体調が悪そうだし、魔法使いの女はなんとか魔力回復ポーション飲んでギリギリ土壁を張って耐えてたってところか。
「ギルドからの緊急依頼を受けて助けに来た。外の竜は倒したからとりあえずポーションを飲んでくれ」
全員に上級ポーションを渡すとなぜかみんな驚いている。
「──これは3本とも上級ポーションにみえるのだが…」
「そうだぞ?エリクサーは必要ないから上級でいいかと思ったんだが」
「え、エリクサー…?あの伝説の?」
エリクサーって伝説なのか。確かに手に入りにくいが、ダンジョンの深層まで潜ればごく稀に宝箱から出てくる。
「大丈夫だ。上級ポーションなら腐るほど持っているから遠慮なんかしなくていい。あ、特に金取ったりもしないぞ」
「腐るほど上級ポーションが…なるほど。それならすまない、ありがたく頂くよ」
そうそう遠慮なんかしないで早く復活してくれた方が助かるんだ。
「ありがとう、全員助かったよ。改めて冒険者パーティー希望の光のリーダーをしている冬弥だ。ところで他のメンバーが見えないのだが…」
「ん?俺一人だが。あ、従魔もいる」
「この階層まで1人と1匹か…失礼だがここまで来られるような冒険者の名前を知らなくて、聞いてもいいだろうか?」
「ああ、リックだ。普段は横浜支部で活動している一応…Sランクだな」
「……っ!君が噂されているSランクか。それは強いわけだ」
噂?そんなに噂されるようなこともしていないはずなんだがな。
「うちのところのギルマスがSランクが誕生したと喜んでいるのをたまたま聞いてしまったんだ、言いふらしたりはしないから安心してくれ」
まあいいや、とりあえずこのダンジョンから脱出しよう。
「来る途中で転移陣見つけたから先にダンジョンから出よう。もう、動けるか?」
「ああ、大丈夫だ。案内してもらえると助かる」
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「ああっ…私たち生きているのね」
「そうだな…」
俺たちはダンジョンから出て浅草支部まで歩いて向かっていた。来る時に寄らなかったので希望の光に案内してもらい、その道中他の2人とも挨拶を交わし仲良くなった。
「今のうちに連絡先を聞いておいてもいいだろうか?落ち着いたら改めてお礼をさせてくれ」
別にいいのだか、それだと納得しなさそうなので後日ということで連絡先を交換し、ギルドに到着した。




