表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新たなる世界へ  作者: パルス
第1章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
42/69

第42話 「開戦、本丸攻略」


夜明け前、空気は冷たく張り詰めていた。新拠点――洞窟の奥で、リックは短く告げる。「旧拠点は捨てる」


一拍の間。リリアが眉を上げる。「え、あれもう使わないの?」


「必要ない。結社は来ない。カインも来ない。役割は終わってる」


即断だった。洞窟内に沈黙が落ちる。滴る水音がやけに大きい。(誘導は完了した)旧拠点は“見せる”役目を果たした。ここからは無駄だ。


「切り替える。戦場は二つだ。前線で結社を叩く。ここは維持する」


視線が集まる。リリアが拳を鳴らす。「前に出るってことね」エレノアが頷く。「本丸近くの拠点を軸に、侵入と撹乱を同時に」セレスティアも息を整える。「支援は前線に回します。持久戦になります」


洞窟側に残るのは少数だ。ルナが壁に触れたまま言う。「……閉じる」シルヴィアが応じる。「……準備はできています」リックが確認する。「ここは動かない。維持する」


(カインは、ここに来る)前提は変わらない。そして(猶予はある)“闇の結社を潰すまで、手を出さない”――軽い言葉だが条件は明確だ。(時間制限付き)結社戦が終われば、次はここだ。


「急ぐ」


短い一言で、全員が動いた。


 


本丸近くの前線拠点は、すでに戦場の空気を帯びている。無駄口はない。点検、調整、配置確認。すべてが実戦前の動きだ。


リリアが息を吐く。「空気重いね」エレノアが周囲を見渡す。「各パーティーとも準備完了です」


他パーティーのリーダーが歩み寄る。「予定通りでいいな?」リックが頷く。「正面は叩かない」「外周を崩して穴を開ける。内側に同時侵入だ」「遅れた方が死ぬ」


短い確認。それで十分だ。


「開始は?」「合図で動く」


視線が一点に集まる。リックが言う。「……始める」


 


一斉に動いた。


結界が震え、魔力が爆ぜる。外周の守備隊が即応する。「来たぞ!」怒号と同時に魔法が交差する。


リリアが最初に踏み込む。「開ける!」一気に距離を詰め、前衛を押し崩す。エレノアの矢が風に乗り、角度を変えて回避を潰す。「右、空けています!」セレスティアの光が広がる。「無理はしないで!」


外周戦は瞬時に激化した。結社の対応は速い。統制がある。「前出るな、ライン維持!」「後方、詠唱来るぞ!」指示が飛び、連携が組まれる。


他パーティーが一瞬押される。「硬い……!」リックが即座に指示する。「押すな、削れ」


動きが変わる。無理に突破しない。削って崩す。流れを作る。エレノアが位置を取り直す。「上を取ります」リリアが応じる。「下は任せて!」


連携が噛み合い、戦線が安定する。


 


だが――


「来る!」


空気が変わる。外周の奥から、異質な気配が立ち上がる。重い。ただの戦力ではない。


現れたのは人型。だが歪んだ魔力が身体を覆い、圧として周囲に広がる。


「……幹部クラスか」エレノアが低く呟く。リリアが舌打ちする。「ちょっと、聞いてないって」


敵が一歩踏み出す。それだけで空気が押し潰される。「下がれ!」前線が一瞬で揺らぐ。


リックが切り替える。「止めるな。散らせ」


正面で受けるな。分散し、削れ。


エレノアが動く。「足を止めさせます」矢が放たれ、動きを制限する。リリアが側面から突っ込む。「硬いけど、いける!」セレスティアの光が追いつく。「持ちます!」


戦線が持ち直す。


(時間は稼げている)


 


洞窟。


静寂の中で、ルナが顔を上げる。「……来る」シルヴィアの手が止まる。空気が変わる。遠く、だが確実に――何かが近づく。


 


リックは前線に意識を置いたまま、その変化を捉える。


(……早い)


結社戦はまだ終わっていない。だがカインは、動いている。


 


リックは短く言う。


「……間に合わせる」


 


戦場は二つ。時間は一つ。


開戦は、すでに終わっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ