第10話 「ギルドからの呼び出しと、長期依頼」
朝食を終え、いつものように拠点の掃除を始めようとしたときだった。
突然、ギルドの使いの少年が息を切らしてシェルターの前に現れた。
「リックさん! エレノアさん、リリアさん!
ギルドの受付から緊急でお呼びです!
重要な依頼の話があるそうです。すぐに来ていただけますか?」
リックは少し驚きながらも頷いた。
「わかった。今すぐ行くよ」
3人は急いで身支度を整え、街の冒険者ギルドへ向かった。
ギルドに着くと、いつもの女性職員がカウンターから手を振って迎えてくれた。
「おはようございます。急に呼び出してすみません。
実は昨日届いたばかりの長期依頼で、ぜひ皆様にお願いしたい案件があるんです」
職員は厚めの依頼書をカウンターに置きながら説明を始めた。
「内容は『古い鉱山の深部で、良質な鉱脈を調査・大量採掘してほしい』というものです。
報酬は採取量と調査成果に応じて支払われ、期間は最低5日、最大10日程度を見込んでいます。
表層〜中層の採掘(1部)と、深部の詳細調査(2部)に分かれていて、危険度が高いため複数人で挑むのが推奨されています」
リリアが目を輝かせて聞いた。
「鉱山!? 素材がいっぱい手に入りそう!」
エレノアは静かに尋ねた。
「深部の危険性について、詳しく教えていただけますか?」
職員は少し声を落として答えた。
「深部は昔から落盤や毒ガス、強めの魔物が出やすいエリアです。
最近は不審な気配の報告も増えていて……
だからこそ、信頼できるパーティに依頼しているんです。
皆様の土魔法と風の加護は、ギルドでも高く評価されていますよ」
リックは依頼書を受け取りながら言った。
「一旦持ち帰って、3人でよく相談してから返事をするよ。
今日中に連絡する」
職員は笑顔で頷いた。
「わかりました。ゆっくり相談してください。
準備するものは食料と回復薬、解毒薬を多めに。
ランタンやロープも忘れずに。
採掘した鉱物は重いので、アイテム収納をお持ちなら積極的に使ってくださいね」
3人は依頼書を持ってギルドを後にし、拠点へ戻った。
シェルターに戻ると、焚き火のそばに座り、改めて依頼書を広げて3人で相談を始めた。
リックが最初に口を開いた。
「正直、長丁場になりそうだな。
報酬は良さそうだけど、深部は危険らしい。
どう思う?」
リリアは拳を握ってすぐに答えた。
「私、行くよ!
鍛冶の素材がいっぱい手に入るし、お兄ちゃんの役に立ちたい!
エレノアお姉ちゃんの風と、お兄ちゃんのゴーレムがあれば大丈夫だよね!」
エレノアは穏やかに微笑みながら言った。
「長期の遠征になりますね。
私の風の加護で気流や危険なガスを事前に察知できます。
ご主人様の大地同調で道を安定させ、リリアの炎で照明や戦闘支援をすれば、十分にいけそうです。
まずは1部から始めて、状況を見て2部に進む形が良いと思います」
リックは2人の顔を交互に見て、ゆっくりと決意を固めた。
「よし、受けるぞ。
これはただの採掘じゃなく、深部の調査も含まれる。
俺の土魔法で崩落を防ぎながら、みんなで協力して成果を出そう」
3人はすぐにギルドへ戻り、正式に依頼を受諾した。
職員は嬉しそうに依頼書に受諾の印を押した。
「ありがとうございます!
では、表層〜中層の採掘(1部)からお願いします。
頑張ってくださいね!」
準備を整えた3人は、ギルドから鉱山へ出発した。
【遠征1部:表層〜中層の採掘】
鉱山の入り口は暗く、湿った冷たい空気が流れ出していた。
エレノアが風の加護で気流を読み、リックが大地同調で地面を安定させながら進む。
リリアは小さなランタンを手に、後ろからついてきた。
中層まで到着すると、良質な鉱脈がいくつも露出していた。
3人は協力して採掘を開始した。
リックが土を動かして鉱物を掘り出し、エレノアが風で軽く運び、リリアがハンマーで小さな岩を砕きながら素材を集める。
作業中、小さな魔物が現れたが、3人で連携して撃退。
リックの大きめのゴーレムが動きを封じ、エレノアの風の矢が急所を射抜き、リリアの炎戦鎚がトドメを刺す。
リリアは息を弾ませながらも笑顔で言った。
「やった! 私もちゃんと戦えた!」
1部を無事に終え、大量の鉱物を確保した3人は一旦拠点に戻り、休養を取った。
ギルドに中間報告を入れると、職員は満足げに言った。
「素晴らしい成果です。
この調子で2部もお願いしますね」
拠点に戻った夜、焚き火を囲む頃。
リックは今日の出来事を振り返りながら言った。
「1部は順調だったな。
みんなで協力すれば、深部の2部もなんとかいけそうだ」
エレノアは穏やかに微笑んだ。
「リリアの採取と戦闘支援もとても役に立ちました。
これからも3人で協力していきましょう」
リリアは少し照れながらも元気よく頷いた。
「うん! 私ももっと頑張るよ!
お兄ちゃんの役に立つからね!」
その夜、3人は焚き火のそばで静かに寄り添うように過ごした。
リリアは少し照れながらリックの隣に座り、エレノアは優しく2人を見守った。
焚き火の温かい光が、ゆっくりと新しい家族の影を長く壁に映していた。
長期依頼の1部を終えた夜、
遅咲きの物語は、静かに次のページをめくり始めていた。




