規則
皆さんどうも日本から異世界転勤してきた死神ライと申します。
今日も大量に回収が入っておりますので向かいましょうか。明け方から仕事で数も日本の時の倍って、ふざけてんですか。
最初はご老人。ライからすれば年下ではあるけども。まあそこは気にせずに。
「おお、儂もついにお迎えか・・・どうもどうも。初めまして」
ほっほっほ、とザ・老人といった笑い方のご老人。
「ああ、はい。初めまして。あの、落ち着いてらっしゃいますね?」
この反応はあまり予想していなかった。地球ではないタイプだし。
「十分生きましたので」
「左様ですか。では逝きましょう。御案内させていただきます」
「よろしくお願いします」
大変丁寧な方でした。以上。
大抵は直ぐに受け入れて次へ向かわれるので大変ありがたい。だが忘れてはいけないのは此処は異世界だという事。
ライの所属する輪廻組合には、世界に合わせた規則とが存在する。当たり前ではあるけども。
そしてこの世界と地球とではかなり内容が異なっている。
・町など、平和に暮らしていた者の回収は80歳以上の者、又は生前に死のみを切望していた者。未練の無い者。
纏めるとこんな感じだ。
尚、
『魔物(魔獣、魔族、これぞ魔物!というもの)との戦闘(異種族間、国などの戦争も含む)はその限りではない)自業自得や自然の摂理での死亡は問答無用で輪廻の輪行き』
ともなっている。ライの上司――クダがかなり要約したものだが。
メモにまで個性を出すな読み難い。
取り敢えず地球とは大分違うとだけ。
向こうでは蘇生なんて無かったし。ライとしては無いままが良かったのだけど・・・世界の基盤がまだ整っていないからそこは仕方ない。現状死神はライだけであるし。
何故こんな話になったのかと言うと、これから蘇生対象の許へ向かうから。昨日も一度したけれど、今回の対象は・・・なんというか、うん。惜しいとしか言えない。
さっさと片付けて仕舞おう。
「どうも」
声を掛ければ目が合った。
「おお、儂もついにお迎えか・・・どうもどうも。初めまして」
「初めまして」
薄らと透け、魂の姿をした彼は白い髪をそっと撫で付ける。
「十分生きさせていただきました」
満足そうに笑う魂に、何とも言えない気持ちになってしまう。
「・・・・・・」
「おや、どうされました」
「えっと、ですね・・・」
言ったら気まずくなるだろうなと若干遠い目になる。
「はい」
「その、大変申し上げ難いのですが・・・」
「なんでしょう?」
「・・・・・・まだ」
「まだ?」
「寿命が、残っています」
この死者、ギリギリ七十代であった。
「は?」




