2-8 ルナと覚醒の儀 スーパー・スリル・コスチュームベルダ
ネーミング、それはすべての作家が悩みに悩む問題。
タイトル、サブタイトル、キャラ、技、地名、店、魔物、素材等をそれはもう悩む。
勿論、名前の語呂だけを追求するのなら簡単…とは行かずともそんなに難しくはない。
でも読者は毎日様々な本を読んでいく。語呂だけが良くて何を指すかを覚えにくい名前をつけすぎるとグチャグチャになる。かと言ってなんの店かとかが簡単にわかる名前で語呂も良いとなると難し過ぎる。
で、ある日私は気づいたのだ!だったら語呂の悪さをキャラのネーミングセンスの悪さにしちゃえば逆にキャラが立ってウィンウィンじゃ?
可哀想なベルダちゃん、この子もその犠牲者だったのだ!
うん、作者は悪くないよ?だって読みやすさと覚えやすさのために中二病を捨てたんだから、読者のためってもんよ~
んじゃ~本編をどうぞ~
セラが泣き止んだあと、一般市民が年単位で稼ぐような大金を迷いなく支払って出ていった一行。正直ダンジョン深層の特別な薬草とかで作ったハーブティーはやばいほど高かった。羨ましいです、変わってほしいです。
それはさておき、なんとも言えない高級品だらけのコアタワー十四階商店街を歩いても違和感無く溶け込めるコーディネートをしている彼女たちだが、実は少女達の服はちょっぴりシワが多すぎたりする。
というのもセラが泣き止んだあと魔法で浄化してあったが、それでも完全に元通りとは行かなかった。涙とかいろいろでグチャグチャだった服は汚れこそ取れてもシワとかは取れないからだ。それでもまあ、子供のやんちゃでシワができて当たり前だからか、それとも着ている三人の素材の良さのおかげか、別に気にされることもない程の問題だ。
でも、折角の祝日である、それを晴れ姿で過ごさずにどうするの?と言わんばかりに、着替える服を探す監護者。そもそもの話としてメイスを持っているルナの物騒っぷりとかに突っ込んではいけない、なぜならこの世界では武器を持ってドレスとかを着るのは別におかしくない、例え本来持つのはナイフだとしてもおかしくないったらおかしくない。
勿論親バカとその愉快の仲間達の考えなど無駄だがね。そもそもの話としてこういうドレスは人に合うようにデザインとかを最初からオーダーメイドするものであって、高級店とはいえどこんなレベルのドレスを作り置きにはしない。買えてもレベルが落ちて逆に意味がない。
「……」ショボーンとしているリンナ、人妻なのになぜかちょっと失敗した高校生のような感じに見えてそそるからすれ違う通行人の視線を釘付けにしている。彼らからするとリンナ達は年の離れた姉妹に見えているかもしれない。
心配そうにそんな母を見るルナとエル、そして申し訳なさそうにするセラを優しく慰めるメイド二人も加えるとなんとも微笑ましい光景だ。
でも趣味人はどこにでもあるものだ、それが変なやつが多い冒険者とかともなれば尚の事。カルデアの高給取りは別に商人とか貴族とかだけではない、実の所稼げる冒険者はそれこそ並の貴族など比べられないほど稼ぐ。そんな彼らのためでもある店は勿論、高級商業エリアにもある。先程出たばかりのメイド喫茶然り、リンナ達の前今堂々と待ち構えているこの店然り。
『スーパー・スリル・コスチュームベルダ』
なんとも微妙な、というかもはや痛いネーミング、なのになぜかショーケースに並んでいる服は皆良すぎるほどの材料とかなりのデザインをしている上、多大な魔力を感じる。それなのにその値段は意外なほどに安い。
本来、覚醒の儀を済ませていない子供に魔道具などを付けすぎるのは宜しくない。正しく言うと腕のホントに良い職人でなければ子供用の強い魔道具を作れない。覚醒していない子供は魂と体の繋がりが不安定で、魔力や闘気といった魂と体の共鳴によって生み出される力の制御が甘い。子供に魔道具をつけるとそれが魂に干渉してしまい、ときには体内の力を暴走させてしまいかねない。そうさせないには魔力の流れを無駄なく、淀みなく流れさせる必要があるが、そうなれば三等貴族の家宝レベルの値段となる。流石に三等貴族の中ではトップのお金持ちであるマキナ家であっても簡単には買えないレベルだ。
でもどうやらコスチュームベルダでの服装はマキナ家が簡単に負担できる値段でありながらその要求を余裕で満たせる出来のようだ。怪しい、訳あり、そうとはわかるが興味もある。
「ううう~……うん、入って見よう!」
流石はルナの母、娘と同じ天晴なレベルの行動力だ。
チャリンチャリン~
店に入るとそこは謎のデザインのヘンテコ服装に満ちた怪しい空間……ではなく、普通に様々な質のいい服装が並んでいる服屋の光景だったーー見る目のない奴にとって、という但し付きだが。
流れる水のような魔力、不動なる大地のような魔力、燃え盛る炎のような魔力、イタズラぽい風のような魔力、優しい春の日差しのような魔力、ちょっと不気味の影のような魔力……
そこは正しく魔境、されど全ては調和して一つの芸術品であり、この世の全てを凝縮した小さな世界にも見える。
ほおっとため息を吐き、この魔力の調和に見惚れる大人とルナ、そして覚醒してはいない故に魔力を正しく感じることができないが、それでもそれが作った雰囲気を感じ取って何処と無く感動している子供。
一体どれぐらい固まったのでしょうか、そんな彼女たちに一人の幼い声がかかった。
「いつまでボサっとしとるのじゃ!入ってこんかい?」
桃色の髪の十二歳ぐらいの少女から外見にそぐわない老人の喋り方、でもそれが似合っている。来ている服は足元に届きそうな長さの綺麗な白衣に黒の怪しげな魔法陣の刺繍、カルデアでは一般的な研究者な装いな筈だが…どうしてだろう、彼女が着ているととっても危険な気がする。
いや、別に似合っていないわけではないよ?似合ってはいる、似合ってはいるが、何だかマッドで危ない気がするのだ。如何にもやらかしそう、如何にも暴走しそうな気がするのだ、いわばマッドサイエンティストの雰囲気がこれでもかとにじみ出ている。
はてさて、一体この子は誰でしょう?(すっとぼけ)
さて、この子こそがベルダだというのは読者の皆さんならわかっている事でしょう。
で、マッドサイエンティストキャラを出すのは勿論面白くするためというのもあるが、実の所主人公たちのお財布と展開を考えると出さざるを得ないキャラでもある。
主人公が最初から財力無限とかは無理だし面白くない。かと言って主人公達の装備は良い物にしたい、というよりもそうしないと数日で壊れる未来が見えている。ハクスラで数日一世代の装備変えは書きたくない。
趣味人だからすごい装備を安く提供しました、となると腕の良い職人を物語の全編に使えるから読みやすくもなる。でないと職人を変えて行くしかなく、それだとこんがらがっちまうし、それ故に職人を略す小説も多い。成長させるとなるにも師匠がいるし、それはそれで師匠キャラを使い捨てにする未来が見えていて私は嫌と思った。
キャラを作るとどうしても愛着が湧く、だから私はちゃんその子達の未来を描くつもりです。師匠から卒業しました、師匠の後を誰も知らない…それも確かに一つの書き方でしょう、でもそんなキャラは多くいらない。一人ぐらいはあるがそれは装備担当ではない。
何が言いたいかというとつまりこれもある意味しょうがないテンプレだとわかっていてもこう書きました。後悔はありません。ちゃんと設定をひねりますのでベルダはきっとほかの作品とは違う職人になると思います。
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