戦国ミステリー 清洲城下殺人事件
頭が悪いのでなんか中途半端になってしまいました。
第1章行きすぎた人助け
清洲城下 民家
暗闇の中一つの家に灯りが灯っている。
「…どうかっ頼むっ」
明かりの中二人の男は話し合っている。
いや一人の男が一方的に頼み込んでいるといった感じだ。
「だから無理だと言っているだろう、何度言えば分かるのだ」
男はくびを振る。
もう一人の男はその男の両肩を掴み。
「頼む何でもするっだからっ…」
男は突き飛ばされる。
その男の手元には丁度刀があった。
男は刀を睨んだ。
次の瞬間男は刀に手を伸ばし鞘から抜いた。
「ならば仕方がない」
男は怖い笑いを浮かべた。
「やっやめろーっ!」
辺りには血が飛び散った。
ガヤガヤガヤガヤ
「殺しですって物騒ねー」
「本当っ今まで平和だったのに」
清洲城下の裏通り、ここには悪質な金貸しなど何かと危ない店が建ち並んでいる。
信長の楽市楽座政策のおかげで商業は急速に発展したが危ない輩もたくさん集まってきた。
ここも同様、朽木金貸し店、ここの店主朽木直平はちまたでは地獄の金貸しと呼ばれていた。
そんな朽木直平が殺されたのだ。
その為辺りいったいは野次馬で大騒ぎである。
中から若い男が出てきた。
男の名は又米この辺りの被差別人の一員である。
この時代全国的な警察組織はなく基本的には各地の大名が自国の分国法を使って行ったり被差別人と呼ばれる民間の警察組織が行ったりしていた。
「又米どうだ?」
野次馬をかき分け一人の中年の男がやって来る。
男は塚次郎、又米の直属の上司だ。
「殺しですね」
又米は言った。
塚次郎は又米に近づき。
「だろうなぁ」
「はい、胸を刀で一突き、刀はそこに落ちてます」
「こりゃ苦労するぞ、仏さんは地獄の金貸しと呼ばれるやつだきっと恨んでる人間も沢山いる」
二人はため息をついた。
だが犯人は案外簡単に見つかることになる。
清洲城
利家は信長の部屋を目指していた。
その顔はとても暗い。
「師匠どうしたんですか?」
俺は通りがかり様に聞いた。
「んえぇ、あっあぁ、な、何でもない」
利家はそのままスタスタと行ってしまった。
「どうしたんだ?」
俺は一人呟いた。
清洲城 信長の部屋
「領内で殺傷沙汰かぁ」
信長は嘆いた。
その時
「殿…前田殿がおいでです」
小姓が言った。
信長は
「通せっ」
襖が開いた。
そこには利家が立っていた。
利家の顔からは生気を感じられない。
信長はそんな利家に
「どうした?犬竹代…」
利家は信長の前に正座した。
信長はいつもと様子の違う利家に益々疑問を
抱いた。
やがて
利家はようやく口を開く。
だがその言葉は信長に衝撃を与えた。
「領内の殺傷沙汰の犯人はわしです…」
利家は静かにそう言った。
清洲城 馬屋
「藤吉郎殿っ!藤吉郎殿っ!」
誰かが俺を探してる。
気がつけば空はもう紅くなっている。
「あぁ、いたいた。藤吉郎殿っ大変じゃ」
俺を探していたのは恒興だった。
「え、どうしたんですか?恒興さん?」
恒興は荒立った息を整え静かに告げた。
「良いか?落ち着いて聞け…領内のあの殺傷沙汰の犯人が…」
恒興は一度言葉を切り息を吸うと
「前田利家殿だったのだ…」
「え、いやまさか」
俺は信じられなかった。
だが恒興は
「本当じゃ利家殿が自分で殿に申したのだ」
まじかよどうなっちゃうんだ?まさか…
「師匠はどうなるんですか?」
「まだわからん今は牢に入れられておるが殺傷沙汰だもしかしたら打ち首かもしれん」
「うちっ打ち首っ!」
俺は思わず叫んでしまった。
「あぁ、殿は中途半端を嫌うやるならば徹底的にやるだろう。」
俺は絶句した。
「こんなことしておれん殿の元に行くぞ」
俺たちは信長の元に向かった。
清洲城下 被差別人詰所
「又米っ!又米っ!」
塚次郎はものすごい形相で又米を探していた。
「ここですここ」
詰所は他の民家と比べたら広いものの刀など沢山の物をおいている上被差別人も沢山いるため勢揃いするととても狭くなる。
塚次郎は人をかき分け又米に近づくと
「大変だ又米っ」
と叫んだ。
「何ですか?」
「殺傷沙汰の犯人見つかったんだと」
「えっ誰ですか?」
「それが織田家のお侍さんの前田利家っていう奴らしいとりあえず信長様から早く来てくれって、さっさと行くぞ」
二人は清洲城へ急いだ。
清洲城 信長の部屋前廊下
俺と恒興は信長の部屋へたどり着いた。
恒興は
「殿へ繋げ」
と小姓に言った。
小姓は
「信長様恒興様と藤吉郎様がおいでです」
「入れっ」
中から返事が返ってきた。
恒興は襖を開けた。
信長の部屋には見慣れない二人がいた一人は俺と同じくらいの歳もう一人は中年のおっさんだった。
「やはりきたか」
信長はまるでわかっていたかの様に言った。
恒興は
「殿っ利家殿をどうするおつもりですか?」
と聞いた。
信長は眉間にしわを寄せ。
「しっかりと取り調べてから決める」
俺は
「事の次第によっては?」
「切ることもあり得る」
やはりか信長の事だいくら家臣であろうと容赦はしないか。
「殿っ利家殿は忠実なる家臣ですその家臣を処罰するとなると殿の器量が疑われますぞ」
恒興はまだ諦めていない。
信長は黙っている。
やっぱり信長も辛いんだいや一番辛いのは信長だだって今まで信用していた家臣が人を殺したんだ無実の人間を裏切られたと思っても仕方がない。
だったら俺が何とかしよう俺だって師匠に死んでほしくないんだ。
俺は腹をくくった。
信長を睨み
「信長様、事の次第によっては殺しはしないこともあり得るんですよね」
「まぁもちろん」
「だったら俺が暴きます。師匠は理由の無い死を嫌う人ですからきっとなにかあるはずです」
「例えそれがお主にとって辛い結果になろう
とも?」
「例えそうでも知りたいんです」
信長は俺の目を見た。
「よしっ許そうだがお主の都合で判決を遅らせることは出来ないそこは分かってくれ」
「はいっありがとうございますっ」
俺は部屋を飛び出した。
信長は又米と塚次郎に声をかけた。
「悪いが猿の手伝いをしてやってくれ」
又米は疑問そうに
「猿?」
「あぁ、さっき出ていった者だ」
「あぁ、俺でよければ」
「そうかありがたい」
そこに塚次郎が
「悪い又米俺は部下に指示出さないといけないからついていけない」
「大丈夫ですよ塚次郎さん」
又米は笑った。
そして二人は信長に会釈し部屋を出た。
信長は一人
「良い結果であることを祈ろう」
と呟いた。
清洲城 大手門
日は既に暮れ辺りは静寂が支配していた。
俺は門を出てとぼとぼ歩き出した。
「ああ言ったは良いけどどうすっかなぁ…」
その時後ろから声をかけられた。
「あのっ、先程お殿様のお部屋にいらっしゃいましたよね」
その男には見覚えがあった。
確かこの男は…
俺が思い出す前に男が
「あぁ私は被差別人の又米ってものです先程お殿様に命じられ貴方のお手伝いをしに参りました」
「あぁ!さっき信長様の部屋にいた」
思い出した、でも被差別人ってなんだ?
「あの被差別人って?」
又米は疑問そうに
「え、あぁ被差別人は簡単に言えば町で起きた事件を解決する組織の事です」
なるほど警察みたいなところか。
「あのっお名前は?」
「あぁ、藤吉郎だ」
「藤吉郎さんですね」
「うんそうだ、又米早速だがあんな大見得切って出てきたが事件の取り調べ何て全くわからないんだ、まずどうすれば良いんだ?」
そう俺はなにも知らないこの時代の警察組織すら知らない俺がこの時代の捜査方法を知るはずが無いのだ。
「まぁまずは聞き込みですがもうこんな時間ですし取り調べは明日からですね」
へーこの時代もまずは聞き込みなんださほど現代と変わらないんだな。
「あ、あのどうしたんですか?」
「んえあ、あぁ大丈夫だ、じぁあ明日またここで」
「はい、ではまた明日」
俺たちは別れた。
翌日 清洲城大手門前
「やべぇやべぇ遅刻だ」
大手門前には又米がいた。
まだ空が少し暗い。
何でこんな時間に集合なんだよ、まだ誰もいないだろ。
心の中でそう悪態をつき。
俺は又米に駆け寄った。
「ゴメンゴメン寝坊しちゃって」
「大丈夫ですよ、さぁ行きましょう」
「行くって何処に?」
又米はイタズラっぽい笑を浮かべた。
「情報屋です」
清洲城下
もう大分歩いている。
空はもう青く澄みわたっている。
「なぁ情報屋ってなんだよ?」
俺は又米に聞いた。
又米は
「情報屋の蔵正清洲一の情報屋です」
「清洲一?」
「はい蔵正は清洲の中ならどんな些細な事でも知ってます国外の情報にも詳しいとかで」
「でもそんな凄い奴なら俺たちが知らないわけないだろう」
「いえ蔵正は侍を嫌っています自分の存在を知られれば確実に利用されますそれが嫌で細々と静かにやっているんです」
俺は相づちをうちながら
「なるほどなでも俺はその侍だぞ大丈夫なのか?」
「そこは藤吉郎さんの説得次第です」
「俺がすんのかよ…」
俺は大きなため息をついた。
清洲城下 蔵正の店
そこは大通りから大分離れた寂しい場所にあった。
周りに人の気配はない。
本当だなまじで細々とやってるなどんだけ嫌いなんだよ俺たちの事。
「さ、藤吉郎さん入りましょう」
俺たちはのれんをくぐった。
中はがらんとしていた。
囲炉裏と日用品が入っていると思われる箪笥以外は何も無い。
蔵正って奴はどこにいるんだ?
その時又米が
「蔵正殿っ?蔵正殿っ?」
と叫ぶと奥から誰かが出てきた。
「キーキーうっせぇーな聞こえてる」
その男はそう言い放った。
男は藤吉郎と同じくらいの歳でいわゆる細マッチョと言われる体型だった。
この男が蔵正?
俺はもっとおっさんだと思ってた。
又米は俺に
「この方が蔵正殿です」
蔵正は俺の事を睨んだ。
「おいっ又米俺が侍嫌いだって知ってんだろ」
「もちろん知っている」
「ならなぜそいつを連れてきたっ!俺がそいつを知らないとでも?織田家の木下藤吉郎だろっ!」
本当に嫌いなんだなでもなぜ?
蔵正は
「もう帰れ…」
そう言うとまた奥に引っ込もうとした。
俺は必死に
「待って下さいっ」
蔵正は足を止めた。
俺は休まず
「何故貴方はそんな頑なに侍を嫌うんですか?」
蔵正は此方に向き直った。
「俺が何故嫌うかそんなの簡単だ俺はお前らに全て奪われたんだよっ!」
「全てを奪われた?」
「あぁそうだっ!俺の父はなぁ強制的に戦に駆り出され戦死した、母や妹は侍女として散々こき使われてあげく殺されたどうして殺されたか分かるか?飽きたからだとよっ!侍はいつもそうだ命を軽く考える命は尊い物なんじゃ無いのか?なぁっ!」
俺は蔵正を見つめた。
「なんだよなんなんだよっ!」
俺は小さく
「それは違う…」
「あぁ?」
「違うそれは違う…少なくとも俺はいや織田家は。
君は悲しいよ…」
「悲しい?何がだっ?俺が悲しいだと?生意気言うじゃねーよ!」
蔵正は俺を押し飛ばした。
俺は蔵正を睨み
「だって悲しいだろっ!お前はそういう人としか出会えなかったんだからっ!俺は全ての人に平等に生きてもらいたいつかもう誰も死んでほしくないでもそれが無理だからせめて平等な世を作ろうと必死に戦っているんだっ!それは織田信長の織田家全員の思いだっ!それをお前のつまらない偏見で片付けるなっ!」
蔵正は呆気に取られている。
俺はまだ続ける。
「でも誰も死んでほしくないのに今大切な人が死にそうなんだ…頼む…」
俺は正座し頭を床に擦り付けた。
「助けてくれ…」
俺何やってんだ?土下座何てなんで?
その時すすり泣く声が聞こえた。
それは蔵正だった。
「なんだよなんなんだよ…お前良いやつじゃないか俺の偏見どうりでいてくれよ…そんなに優しかったら俺もう誰かのせいに出来ねーじゃねーか…」
俺はそんな蔵正に
「お前はもう随分他人のせいにしただろもうそろそろ自分で背負えよ」
「分かってるよこのままじゃ駄目だってでも止められなかったこのままでいた方がずっと楽だったからでももう背負える気がつかないうちにもうこんなに軽くなっていたんだからこれなら背負える…」
蔵正は涙を拭き
「手伝ってやるよ!助けたいんだろっ」
俺は蔵正に頭を下げて。
「ありがとう!ありがとうありがとう…」
そう言い続けた。
清洲城信長の部屋
「信長様っ塚次郎にございます」
「入れっ!」
塚次郎は信長の部屋に入った。
「なんだ?」
信長は聞いた。
塚次郎は
「被害者の家から利家殿が朽木に借金を帳消しにしてくれと書いた文が見つかりました。借金帳簿にも利家殿の名が…」
信長はしばらく動かなかったが何かを決心したように立ち上がり
「今日の夕刻家臣達を呼び判決を下すお主は関わった被差別人を読んでこい」
「はっ、わかりもうした」
信長は頷き。
静かに出ていった。
塚次郎は誰もいない部屋で一人
「早くしろ又米…」
そう呟いた。
清洲城下 町外れ
ここはさらに人気がなかった。
細い路地に淡々と長屋が並んでいる。
まるで現代の団地を思わせる。
蔵正の話だったらこの辺りなんだけどな。
蔵正にもらった情報それは利家には惚れている女がいるという物だった。
だがその女にはもう婚約者がいるらしい。
でもその婚約者がどうにも怪しいとかなんとかそういう物だった。
女がらみの殺しか、師匠はそんな単純な人じゃ無いと思うんだけどなぁ。
その時又米が
「あぁここです」
そこは長屋の一角だった。
俺は又米とアイコンタクトすると戸を開けた。
そこには若い男女がいた。
二人とも少し痩せている。
又米は二人に
「まちさんと兵米さんですね」
と静かに言った。
二人は怯えている。
そんな二人に藤吉郎は
「別に怪しい者じゃない俺は織田家家臣木下藤吉郎だこっちは被差別人の又米二人に聞きたいことがある」
兵米が答えた。
「き、聞きたいこと?」
「そうだ、前田利家って人知ってるか?」
二人の顔が強ばった。
知ってるな何かあるな?
「知ってるか?」
そんな俺にまちが
「しっ知りません」
だが声が裏返っている。
くっ言うつもりは無いって事か。
俺は二人にゆっくりと話始めた。
「利家殿は俺の師匠だ師匠は今殺傷沙汰の犯人として牢に繋がれている師匠は殺されてしまうかも知れない…」
不思議と涙が溢れてきた。
俺は二人の目を見ながら。
「師匠はどこから来た何者なのかもわからない俺に初めに話しかけてくれたそして武術を教えてくれた。師匠はいつも力は人の為に使え人を生かすために使えと言っていた師匠は単純で馬鹿だから困っている人がいるとすぐに助けたがるんだそのせいで自分が損することだってある、でもなそれで助かる人だっでたくさんいるんだ俺だって信長様だって俺はまだ師匠に人を助けてもらいたいだから教えてくれ真実を頼む…」
俺は頭を下げた。
だがまちは
「しっ知らないっで行ってるでしょ。出てって」
そう言って俺たちを追い出そうとした。
その時兵米が
「もういいっ!もういいっまち」
そう叫んだ。
兵米は俺たちに向き直ると
「朽木を殺したのは俺です」
まちは兵米に
「兵米さんっ!」
「良いんだっ俺はやっぱり耐えられない誰かになすりつけるなんて」
「兵米さん…」
まちは一歩下がった。
兵米は続けた。
「俺は朽木に多額の借金をしていたんですでももう返せそうに無くてそんなとき朽木にうちで下働きすれば借金をちゃらにしてやると言われたんです。でもその仕事はただの仕事じゃなかった。
取り立てや金を返さない人の家に押し入ったりとかたまには犯罪も…でもある日聞いちゃったんです朽木が一生俺をこき使おうとしている会話をそれで俺朽木に頼みに言ったんです解放してくれってでも無理だったそれで…」
又米が
「殺ったんだな」
「はい、でもそこを利家さんに見られてもう駄目だと思ったでも利家さんは俺を逃がして自分に繋がる証拠まで作ってくれた俺はそんな利家さんに甘えたんですでももう耐えられない朽木を殺したのは俺なんです」
俺は兵米に近づき
「いっしょに来てくれ」
俺は兵米と又米を連れて長屋を後にしようとした。
その時まちが
「行ってらっしゃいっ!」
その声に兵米は足を止め振り向いた。
兵米はまちに
「行ってきます夕飯は旨い物を頼むよ」
そう言ってまた歩き始めた。
長屋を出た俺たちに恒興が駆け寄った。
「藤吉郎殿っここにいたのか」
「恒興さんどうしたんですか?」
「もうすぐ殿が利家殿に処罰を下す藤吉郎殿も急ぎ城へ」
「はい、もう調べつきました」
「よしならば急ごう」
俺たちは駆け出した。
清洲城 評定の間
日はもう沈みかけ空は紅くなっていた。
評定の間では既に報告が始まっていた。
評定の間の中心には手かせをかけられ縄で縛られた利家。
その前一段上がった所に信長。
利家を囲む様に家臣と被差別人が座っていた。
既に被差別人の塚次郎が報告をしていた。
「朽木の家には利家殿の名が入った帳簿と利家殿が朽木に宛てた文がありました。よって利家殿が朽木を殺したと見て間違いないかと」
信長は頷き利家に
「そうなんだな?」
と聞いた。
利家は弱々しく
「俺が殺しました…」
と答えた。
信長は
「そうか…ならば処罰を下す。いくら我が家臣団の一人だとしても人を殺める事は重罪だよって利家をうち…」
「待ってくれっ!」
俺は何とか間に合った。
辺りはざわついた。
塚次郎は心の中で
「間に合ったか…」
と安堵した。
藤吉郎は息を整え
「待って下さい真実は真実は違います…」
と言って利家の隣に立った。
信長はなにも言わずに藤吉郎を見ている。
「師匠は犯人じゃありません」
辺りから声があがった。
『どうゆう事だ』
『じゃあ誰なんだ?』
その時信長が
「では誰なんだ?真実はどうなんだ?」
俺は信長の目を見て
「真実は本当の犯人は…」
俺は隣の兵米を見た。
兵米は俺に頷き返した。
俺は続けた。
「隣にいる兵米さんです。兵米さんは朽木に金を借りていたんですが返せなくなり借金帳消しの代わりに朽木の下で下働きする事になんたんですでもある日朽木が一生兵米さんを下働きさせるという話を聞いてしまいその日の夜解放して欲しいと説得しに行ったのですが断られ勢いで殺してしまったそうです」
信長は兵米を見て
「本当か?」
と聞いた。
兵米は
「はい、本当です」
俺は信長に続けた。
「でもその時師匠に見られてしまったんです。でも師匠は兵米さんを逃がし自分に繋がる証拠まで残したそうです」
信長は
「それが帳簿や文という訳か」
「はいこれが真実です」
信長は利家を見た。
利家はおどおどしている。
信長は利家に
「本当か?」
と聞いた。
利家は必死に
「違う違うっ!俺だ俺が犯人だっ!違うちがっ…」
「もういいっ!」
そう叫んだのは兵米だった。
「もういいです利家さん…」
利家は兵米を見て固まっている。
「惚れてたんですよねまちに…」
辺りが静寂に包まれる。
兵米は続ける。
「じゃなきゃ俺たちにあんなに親切にはしてくれませんよね困っている俺たちにお金かしてくれたり俺がいない日まちの事護ってくれたりそんなこと…」
「違うっ!それは違う…」
利家は叫んだ。
「違うんだ、確かにまちには惚れていたでも好きな女だったからじゃない困っていたからなんだ困っていたから放っておけなかった…」
兵米は唖然としている。
俺は兵米に
「師匠はな困っている人を放っておけないんだだから助けたんだよ君たちの事ですよね師匠」
「うわぁーあ」
利家はうずくまって泣いた。
信長はしばらく利家の背中を見ていたがやがて口を開いた。
「処罰を下す。直接手を下して無いとしても殺人に手を貸すのは重罪、よって利家をしばらく出仕停止とするっ!これにて解散」
助かったのか師匠は死なないのか。
良かったぁ。
俺は大きなため息をついた。
清洲城 信長の部屋
俺は兵米といっしょに信長の部屋に招かれた。
「今回は良くやったな」
信長は俺に言った。
俺の隣に座っている兵米は恐縮しながら信長に聞いた。
「あの私の処罰は?」
信長は疑問そうに
「お主の処罰?何を言っているんだ、朽木は自殺そういう真実を導き出せたのはお前のお陰だありがとう。褒美を出そう」
兵米はポカンとしている。
俺は兵米に微笑んだ。
数日後清洲城下森
あの事件からしばらくたった。
蔵正達は信長からもらった褒美でどこか違う場所に行った。
利家は今のところは家で大人しくしているらしい。
俺は冬の光を浴びて光る葉を見上げた。
たまには散歩もいいな。
そんな事を思いながら森を歩き続ける。
ふと奥に人影が見えた。
あれは?倒れている!
俺は驚いたが直ぐ様駆け寄った。
「大丈夫ですか?」
近づくにつれ段々と分かってくる。
女?若いな
そして絶句した。
その女は制服を来ていた。
俺はその人のそばで膝をつくと肩を揺すった。
女は目覚めこちらを向いた。
女は
「藤吉郎…?」
俺は驚き
「ねね…」
と呟いた。